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強制入学者 後編

肩を落としながらグレンは影に入ったままのローに案内され教室の前まで来た。


教室の中からは生徒達の談笑する聞こえてくる。

それを聞いたグレンは一つため息をつくと


「めんどくせ、」

グレンはそう一言呟くと無造作に教室の扉を開けた。


教室に入るとさっきまで談笑していた生徒達は一瞬で静まり返った。視線が一斉にグレンへと集まった。


教室を見渡すと、不安な表情をする生徒や不機嫌な表情をする生徒、期待を持った表情をする生徒など、様々な面持ちでグレンを見ていた。


その表現を一通り見て、グレンはまたため息をついて、教室へ入って行った。

そして教壇に上がると影からローが出てきてた。


すると生徒から感嘆の声が上がり、みんな驚いた表情をした。

「おい、見たか!ロー先生のブラインド・シャドーだ!初めて見た。」

そう最前列の生徒が言うと他の生徒も驚きの声をあげた。


それもそのはずだ、この学園の講師のほとんどが自分で作り上げた固有魔術を持っている。

そして、固有魔術を見ることなんて、学園生活を送っていてまず無いからだ。



そして、影から出てきたローはグレンの両肩を掴んで生徒の方に向けた。

「はい!静かにね、みんな知ってるとは思いますが編入生です。ではこれから挨拶していただきましょう。」

そう、にこやかに笑うとローはグレンの両肩を叩いた。



それに明らかに嫌そうな顔をして

そして、気怠げに自己紹介を始めた。


「えーっと知ってると思いますが、オールDの強制入学者です。今日にでも自主退学の予定ですので名前は知らなくて良いです。以上」


そう言うと、教室の空気は一瞬で凍りつき

その後一瞬にして険悪な空気になった。


そして、その空気を察してローがフォローに入った。



「はい!彼の名前はグレンって言います。学園の総合魔力判定は確かにオールDですが、とても強いですからね。それにグレン君、王立魔術学園には自主退学制度はありませんから、みんなと仲良くやっていきましょう」


そう言うと一番右奥に座っている男が立ち上がった。

「お言葉ですが、オールD、最低ランクの評価が出てるのに強いですか?そこの男がどうやって学園に入学出来たかは知りませんが、この様な男を学園に入れては学園の品格が損なわれます」

そう、ローに言うと掛けてる眼鏡を少し押し上げた。


するとローは声をあげて笑った。

「フェルドくん、確かに君は強い二学年生にして学園総合評価Aランクで学年ランクもA、それに魔術の覚えも早い。」


そう言うとフェルドと呼ばれる、生徒は誇らしげに眼鏡を押し上げた。


「でもそれは学園の決めた魔術評価にしか過ぎないんだよ。彼の強さはもっと別の強さがある。」



「別の強さって何ですか?力の差は魔術評価で出てるでしょ」

そう言うとフェリドは呆れた表情でやれやれと首を振った。


「私を助けた彼の実力が信じられないと?」

そう言うと生徒全員が黙り込んだ。


「話をを大きくするな、」

そう言うとグレンはローの頭を叩いた。


「痛たっ、、、叩かないで下さいよ、まったく」


その光景に生徒は絶句した。

生徒が先生の頭を叩くなんて、、、


「貴様は自分の立場がわかってない様だな」

そう言ってフェリドは立ち上がり、グレンの所まで歩いて行き目の前に立ち塞がった。


「貴様はおこぼれで編入の許可頂いてる分際で、私達の通う学園を侮辱し尊敬する講師にまで手を挙げた、部をわきまえろ教会育ちの平民が!」

そう挑発するとフェリドはグレンの胸元に指を立てた。


そんな一触即発の雰囲気にローはおどおどしている。

そしてその挑発を聞いたグレンは憎たらしい笑みを浮かべ両手を横に広げてわざと大きい声で挑発仕返した。


「あれー?おかしーな、俺はこんな学園来たくなかったけど、学園がどーしても俺様に来て欲しいって、この平民の教会に兵隊さんの使いまで出して毎日家に来るものだから、今日だけ仕方なく、仕・方・な・く、来てやったんだよ。」


そうグレンが言うと、一瞬でクラスが殺気立った。



「どうやら、魔力総合評価だけではなく、頭の出来もDランクらしいな」

そう言うと、フェリドは右脚で地面を踏みしめると、地面が少しずつ揺れ始めた。


それを見てローが急いで止めに入った。

「フェリドくん、魔術行使の私闘は禁じられています。早く魔術の行使をやめなさい」


そう言うとフェリドは強張った顔を少し緩ませ、魔術の行使を止めた。


「確かに私闘は禁じられています。しかしランク戦ならロー先生の立会いがあれば出来ますよね?」


「出来ますが、グレンは今日編入して来たばかりなのですよ。それにフェリドくんあなたはそれで良いのですか?一年に一度の貴重な機会をただの喧嘩に使って」


そうフェリドにローが問いかけた。


「ただ喧嘩ではありません!この王立魔術学園を侮辱した、礼儀知らずに少し礼儀を教えてあげなくては、教会では教えて貰えないらしいですからね。私が少し教育をしてあげようと思いまして。まさか、あれだけの挑発をしておいて、やりませんって事は無いですよね?グレン」


そう言ってロー先生に制服の内側からAの文字のピンバッジを渡した。


「グレンくん、今回は止めておきましょう、いくらあなたが強くても、いきなり学年Aランクの生徒とランク戦では、」

そう心配そうにローが言っている途中から


「いきなり呼び捨てとかやめてくれる友達じゃないんだから、気軽にグレン様とでも読んでくれよ、お前になんかに教わる事はないが、そのランク戦とやら受けてやるよ」

そう言うとグレンの制服の内側のピンバッジとローの手に握られているフェリドのピンバッジが輝いた。


そして、学園の中庭の空中に

ランク戦Aランク フェリドVS Dランク グレンの掲示板が出現した。







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