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強制入学者 前編

ある晴れた日の朝


「ったく!めんどくさいな!なんで、俺がこんな学園に通わなきゃ行けないんだー!!」


多くの学生が石畳の道を学園に向かって歩いている中、一人の男が周りの視線を集めていた。


ダルそうな顔付き、黒い髪に黒い瞳、下ろし立ての制服はすでに着崩されていた。この学園の生徒だろうが周りの生徒から避けられ、何かひそひそと話をされている。


それもそのはず、何せ彼はーーーグレンは王立魔術学園始まって以来の強制入学者なのだから。



王立魔術学園

この学園は魔力に目覚めた子供達を対象に魔力適性検査を受ける決まりがある。


そして、この学園は一定以上の魔力保有量の子供達を集めて育成する機関であり、みんな、魔術師の最高位の魔術騎士になる為に日々魔術の勉強に励んでる。



彼の姿を見てみんなが周りで噂する


「あれが、噂のDか?」

「嘘!本当なの?Dなんて?」

そう隣を通った女生徒が友達と並んで歩かながら話す。



「教授の強い推薦での特別入学らしいぞ。」

「だからDでも入れたのか?」


「しかも略式魔術も詠唱魔もDなんだとよ!」

「じゃあ何も出来なくね。」

「魔力総合評価Dなんだと」

「絶対嘘だって。」

そう奥の木陰では男子生徒が話してる。


そんな、周りの言葉と多くの視線に心から深くため息をついた。


「はぁー帰りたい。」


なぜなら、本当にグレンの魔力保有量、略式魔術、詠唱魔術も最低ランクのDランクのオールD、この学園には魔力総合評価B以上でないと例え貴族であっても入学を許されないはずなのだが。




しかし、このグレンだけは特別だ。


グレンは再三の学園からの入学審査を拒否し続け、最後には魔術師に拘束されて魔力測定をした問題児であった。

そして全ての測定で最低ランクのDを出し、魔力総合評価で歴代最低のDと言う数値を叩き出し入学審査で不合格のはずだった。



いや、実際に不合格だった、、



しかし、不合格になったその日の帰り道、

学園の魔術講師がB級指名手配を複数相手に、劣勢になってたいる所に現れ、一瞬にして魔術も使わずB級指名手配を複数倒した。


そして助けられた魔術講師の強い推薦によって、学園の入学許可が降りた。




「てか、いい加減、隠れてないで出てきたらどうだ?」


そうグレンが足を止めて呟くとグレンの影が揺らめき、影の中から眼鏡を掛けカバンを持った優男でこの学園の講師ローが出てきた。

「あれ?バレてましたか。」

ローが頭を掻きながらグレンの影から出てくると

周りの女生徒から黄色い声が上がった。


「バレてなかったぞ、適当に言っただけだ。どこかにいると思ってたからな。でも、まさかそんな所に居るとは思わなかっけどな。」

そう言うとグレンは再び歩きだした。


「なっ!騙しましたね!」

そう言いながらグレンの後を追いかけ、並んで歩いた。


歩いている途中ローは女生徒からの黄色い挨拶に笑顔で手を降っていた。



しばらく歩いてるとグレンは振り向きローに向かって静かに訊ねた。

「で?お前はいつまで付いてくるんだ!」


「学園までですが?」

そう当たり前の様に答えた。


「やめてくれる、ただでさえ目立ってるのにお前まで一緒に歩かれたら、目立ってしょうがないわ!もう学園の目の前だし大丈夫だから消えてくんない。」

そうグレンがまくし立てると


ローは右手で眼鏡の下から指を当て、ぐすん、と泣いた振りをしてグレンの影に徐々に沈んでいった。


「だーかーらー!そーじゃなくて、目障りだから先に行けって言ってんだよ。」


「それは、ダメです!君は強制入学者なんですよ。だから私が監視していないと、だ、、め、って、痛い痛い」

そう言いながら影に身体が沈んだ所で

グレンはしゃがみローの白い髪を上に引っ張った。


「分かった、良いから出てこい。今日は逃げないから。」


「そんな事言ってまた、騙す気でしょ!その手に何回引っかかったか、、、あなたが逃げる度に他の講師陣に何度嫌味を言われた事か、」

そう言うと髪を引っ張るグレンに抵抗して影に潜ろうとした。


グレンは入学許可が降りて以来、ずっと学園への登校を拒んできた。しかし、学園も半信半疑だがB級指名手配犯を複数相手に倒しきった話をローから聞き、特別入学許可を出した以上学園に来てもらわないと周りに示しがつかないという事で、推薦したローが責任を持ってグレンを学園に連れて来ると言う話になったのだ。


何度も、何度も、何度も、

ずっと逃げられて今日ようやく学園の制服を着せて学園間での道を歩くにいたっている。





「今日と言うと今日は絶対に逃がしませんよ、アナタの影に埋まり続けてやりますからね。」


「じゃあ、一生埋まってろ!」

そう言うとグレンはローの髪から手を離し、立ち上がると思いっきりローの頭を踏み付けた。



「痛い、いた、、」


半ば強引に影にローを押し込めて

ため息を一つ付いて学園に向かって歩いた。


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