愛された少女の物語
おはようございますこんにちはこんばんは白猫大好きざっくの実です!見に来て下さり、ありがとうございます!
双剣ティナゲット祈願を兼ねて、ティナちゃんが主人公となる物語を書かせていただきました!
それではお楽しみください(駄文ですが)
ティナ「にんにく、玉ねぎ、マヨネーズ…パセリにかぼちゃ、アジの切り身…。うん、大丈夫だね。」
ファルファラさんにお使いを頼まれた私は、帰り際、買い忘れた食材が無いか確認していた。
今日の晩御飯は何だろう?ファルファラさんの料理はどれも美味しいから、毎日楽しみなんです!
ティナ「また料理、教えてもらっちゃおうかな♪」
料理のレパートリーだって多いし、何より教え方が上手なので、習っているだけでも楽しかったりする。
自然と帰路につく足が早くなる。
その時ふと足元に、何かが落ちている(倒れている?)のが見えた。もう少しで見逃す所だった。
つまみ上げて、観察してみた。お人形さんかな?それにしてはあんまり可愛く無…
???「可愛くないとか言わないでください!」
ティナ「うわあ!びっくりした!」
人形だと思っていたものにいきなり叫ばれて、肝が飛び出るかと思ったぐらいびっくりした。心の中を読まれたこととかはもう頭の中には無かった。
ティナ「もう、いきなり叫ばないでよ!」
とりあえず反論してみた。
???「も、申し訳ありません…。」
素直に謝られてしまったので、私も少し落ち着いてきた。こういうのが手乗りサイズ、って言うのか分からないけど、手のひらに乗っけて話を続けた。
ティナ「わかったならいいよ。ところであなたは誰なの?」
不思議とあまり混乱していないのが自分でもわかった。まずは、当たり前の質問をしてみる。
???「まあ、話せば長くなるんですが…。とりあえず、氷をいただけないでしょうか?」
ティナ「氷?家にあるから、来てもらうけどそれでいい?」
???「助かります…!お願いできますか?」
ティナ「わかった。じゃあ家行くから待ってて。話は後でね。」
こうして私は、不思議なものを持ち帰ることとなった。
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ティナ「ただいま~!」
ファルファラ「お帰りティナちゃん。ちゃんと買えた?」
家に帰ると、ファルファラさんが満面の笑みで迎えてくれた。私はそれに親指を立ててウインクしながら返す。
ティナ「はい、バッチリです!…あ、私冷蔵庫に入れますね。」
ファルファラ「ほんと?助かるわ。お釣りあげちゃう!」
ティナ「わーい!ありがとうございますファルファラさん!」
冷蔵庫に全部入れ終わった私は、こっそりと氷を二粒取り出して、自分の部屋に戻った。
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ティナ「はい、もういいよ。」
ポケットに入っている彼(何て呼べばいいんだろう?)に促したが、中々出てくる気配がない。
???「ふぁ、ここは中々居心地が良いですねぇ…。」
ティナ「氷、あげないよ?」
???「ハッ!すいません!出ます!」
慌てて這い出てきた彼(?)に苦笑しつつ、氷を与えた。
???「バリボリ、はぅ…ガキッ……生き返りますぅ~ゴキッ」
あ、結構ダイレクトに食べてる。
ティナ「それで、聞いてもいいかな?あなたは誰?あ、私はティナだよ。」
雪の精「あ、僕は雪の妖精です。普段は雪山の奥の方で一族で暮らしているのですが。僕はどうしても海というものを見てみたくて旅をしていたわけなんですけど、最近暑いじゃないですか。」
雪の妖精さんは、また氷をバリボリとかじってから話を続ける。
雪の精「僕たちは、しばらくの間雪とか氷とかアイスとかを補給しないと冷気を保てなくて溶けてしまうんですけど、中々ありつけなくて…。力尽きて倒れていたんです。」
アイスも食べるんだ…。私が気付いていなかったら危なかったかもしれない。
ティナ「雪の妖精さんかぁ…。名前とかはあるの?」
雪の精「いえ、名前は与えられていません。序列があるんですけど、僕はペンテカイデカと呼ばれていました。」
ルーンナイトで言うところのルビィさんも確かペンテカイデカだったはずだ。序列十五位がこんな所フラフラしてていいのかな…?
そもそも、雪の妖精の序列って何だろう?
ティナ「じゃあ、長くて呼びにくいし、名前付けてあげるね。」
雪の精「えっ、本当ですか?!」
ティナ「うん。え~っと、何がいいかな…。」
雪の精「wktk」
ティナ「融太、とか?」
融太「融太、ですか…」
ティナ「何、嫌なの?」
融太「いえいえとんでもない!凄く嬉しいです!ただ独創的なネーミセンスだなあと!」
融解し(溶け)そうだったから融太…。安直かな?
ティナ「なら決まり、融太ね。それじゃあ…」
ファルファラ「ティナちゃん?入るわよ~」
突然ファルファラさんの声がしたので、あわてて融太をポケットに突っ込んだ。
ファルファラ「あら、今何か隠した?」
ティナ「なっ、何も…」
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ブラッド「ティナはよ、嘘つくときに絶対髪飾りをいじるんだよ。すぐわかるから面白れぇんだよな~!」
ヴィンセント「でも、そういう所も可愛いのよね~♡見逃してあげたくなっちゃうワ♡」
ティナ「むー…」
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ファルファラ「?」
ティナ「断じて何も隠しておりません!」
スカートのすそを掴みながら力強く答えた。
ファルファラ「そ、そう…?それなら良いんだけど…。」
ティナ「そ、それで、どうしたんですか?」
ファルファラ「あ、そうそう。ちょっと味見して欲しいんだけど。」
ティナ「わーい♪します!」
危なかった…。別にファルファラさんだけだったら別にいいんだけど、おじさんたちに知られると何となく面倒だし、ね。
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ファルファラさんの相変わらず頬が落ちそうなほど美味しい晩御飯を食べて、お風呂に入った後、私は融太に切り出した。
ティナ「じゃあさ融太。明日、海行こっか。」
するとなぜか融太はキョトンとした顔をした。あれ?私、なんか変なこと言った?
融太「そ、それはもしかして、連れて行ってくれるという事ですか?」
ティナ「え、あ、うん。」
融太「ティナさん…!なんとお優しい…!」
ティナ「あ、初めて名前呼んでくれた♪って、ちょっと?!泣かないで!ねえってば!」
融太「うっうっ…、僕はっ…、あなたに出会えただけでっ、悔いはありましぇん!」
なんて大げさなことを言い出した。あ、一応命助けたんだっけ。あんまり実感無いけど。
ティナ「何言ってるの。まだ海だって見てないでしょ。ほら、準備しよ準備!」
融太「ZZZ……。」
ティナ「ってもう寝てるし…」
まあ、疲れてるよね。仕方ない。別に融太が何か準備しなきゃいけない訳じゃないし。
それにしても、安らかな寝顔だな。まるで、一切の不安を取っ払ったかのような。
私も、融太の期待に応えられるようにしなきゃ。
融太をベッドの隅にそっと置くと、私は明日の準備を始めた。
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夜が明け、朝になった。
ティナ「ふぁああ……、お早う融太。よく眠れた?」
目が覚めると、ベッドの縁に腰かけていた融太に声をかける。
融太「ティナさんお早うございます!いつ寝たか記憶が無いですが、おかげ様で良い夢が見れました!」
ティナ「へぇ~、どんな?」
融太「海を見に行く夢です。直前で終わってしまいましたけど…。」
ティナ「そっか。じゃあ海は、行ってからのお楽しみだね♪」
そう融太に言ってカーテンを開けた。天気が悪かったらどうしよう、なんて思っていたけど、空に雲はほとんど見られない。つまるところ、いい天気だった。
融太「あの、ティナさん…」
ティナ「ん?どうしたの?」
融太「本当に、ありがとうございます…。僕のためにこんな…」
ティナ「ふふ、お礼は着いてから言ってほしいな~」
融太「でも、僕は…」
融太はまだ何か言いたげだった。彼なりに思うところがあるんだろう。
ティナ「いいからいいから♪じゃあ着替えるから、あっち向いてて。」
融太「あっ、はい(´・ω・`)」
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ファルファラ「あら、ティナちゃんどこに行くの?」
ティナ「ちょっと海まで行ってきます!」
ファルファラさんに聞かれたので、正直に答えた。ファルファラさんは不思議そうな顔をした。
ファルファラ「海?海開きはまだのはずよ?」
ティナ「はい、そうなんですけど…。単純に海を見に行きたいというのもありますけど、夏になったらみんなで遊びに行く場所の下見がしたいなと思って。」
確かに海開き前に海に行きたいというのは違和感がある。昨日のうちに考えてあった訳を話すと、ファルファラさんは納得のいった顔で微笑んだ。
ファルファラ「そうだったの。後で私にも教えてね♪」
ティナ「もちろんです!じゃあ、行ってきます♪」
ファルファラ「行ってらっしゃい、気を付けてね!」
ティナ「はい!」
ドアを開いて外に出る。海までは、ルーントレインを乗り継いで行く必要がある。
ティナ「融太、お腹空いてない?」
カバンの中にいる融太に話しかけてみた。
融太「あ、少しだけ…」
ティナ「そっか。後でアイス買ってあげるからね。」
なんだか融太が、だんだん弟みたいに思えてきた。
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ルーントレインを乗り継いで、目的の駅に着いた。ちなみにアイスは、途中の駅で買って食べている。
私はカバンから融太を出してあげると、手のひらに乗せてあげた。
ティナ「もう少し歩いたら、海に着くからね。」
融太「…っ!はいっ!」
早まる気持ちを抑えて、海の方角に向かって歩みを進める。
ティナ「空は青く澄み渡~り♪」
融太「海を目指して歩く♪」
ティナ「怖いものなんてな~い♪」
融太「僕らはもう一人じゃない♪」
背景までカッチリ歌詞と重なっていたので、思わず口ずさんだら、融太が続いてくれた。なにこれ楽しい!
テンションがMAXになりかけていた、その時。
融太「ティナさん、気を付けてください。何かが、来ます…!」
そういえば、辺りはやけに静かだ。こんな時は…!
ティナ「魔物が来る!融太は隠れてて!」
反射的にそう感じた私は、融太をカバンの中に押し込む。ギルドの魔物討伐の時にも感じた、この気配。
間違いない。私は融太の入ったカバンを、そっと目立たないところに置いた。
ティナ「かなりの数…!でも、なんとかしなきゃ…。私が融太を守らないと…!」
小声でそう呟き、私は背中にコンパクトに納刀されていた夫婦双剣を手にした。意を決して魔物に切りかかる。
魔物「ガァァアアッ!」
ティナ「はぁぁあああっ!」
魔物「ジャアアアア?!」
魔物は一撃で息絶えた。休んでいる暇はない。次の魔物に焦点を当て、次々と斬撃を与えていく。
ティナ「力が……溢れ出る!」
戦いながら、横目でカバンを確認する。魔物はカバンには見向きもしていない。一安心して、再び魔物を見据え…
魔物「ガァァアアア!」
ティナ「きゃあっ!」
突如思いもよらぬ方向から飛んできたミノブーメランにはじき飛ばされてしまう。
融太「ティナさん!」
ティナ「?!」
いきなりの融太の声に、ティナと魔物が全員振り向いた。
ティナ「融太!カバンから出ちゃ駄目だって!!」
小さな融太が非力だと判断したのだろうか。魔物は、標的を次々と融太に変えていく。
融太「ティナさんを傷付けさせるぐらいなら…!僕は……!」
ティナ「一体、何をするって言うの?!」
融太「守られてばっかりなんて嫌なんだ!」
魔物は融太の目前まで迫ってきている。
ティナ「駄目っ!間に合わない!」
先頭のウッホのハンマーが融太を捕えて叩き潰そうとする、直前
融太「コンジェラシオンッ!」
そう叫んで融太は、辺りに凄まじい冷気を吹き付けた。ウッホは一瞬で凍りつき、後に続いていた魔物も次々と凍っていく。
ティナ「この細腕は…」
すかさずとどめを刺すべく、強くこぶしを握りこむ。
ティナ「共に勝利を掴み取る腕だぁぁぁあああああああっ!!!」
連なった氷の塊に向かって思いっきりこぶしをぶつけると、一瞬で粉々になって砕け散り、すべての魔物は絶命した。
ティナ「はあ……はあ……、融太、大丈夫?!」
戦いが終わった私は、急いで融太の安否確認をした。
そして、息をのんだ。
ティナ「嘘…!なんで?!」
融太は、徐々に体が溶け始めていた。
ティナ「すぐに氷を!」
私は大急ぎで水筒を出し、氷を取り出そうとする。
融太「ティナさん……もう、僕は……無理なんです………。あれだけ大きな力を使ったら………。」
ティナ「どうして…?!なんで、そんな無茶をしたの?!」
融太「守りたかったんです、ティナさんを…。守ってくれるのも嬉しかったですけど……。」
満足げな顔で言う融太。こっちは涙が止まらないというのに。
ティナ「そうだ…、海!」
私は力の限り走った。15秒もしないうちに、果てしない水平線が見えた。静かなさざ波の音も聴こえてくる。
融太「これが……海…。思ってたより………、全然凄いです………。」
ティナ「っ……」
融太「あの時あそこでティナさんに拾ってもらえなければ……、僕はこの景色を見ること無く死んでいたんです……。名前まで付けてもらえて………、命がけで守ってくれて………、最後にこんなに素晴らしい海まで見ることが出来て、僕は幸せ者ですね………。本当に……ありがとうございます……。」
ティナ「ばか…。そんなこと、言わないで……!」
融太の下半身はもう完全に溶けている。両手で融太を抱える指の間からは、止めどなく水滴が流れてゆく。
融太「ティナさんが……好きです……。これからも、ずっと……。」
その瞬間、心の中で何か温かいものが弾けた。きっと、融太の言う好きとは、普通の好き嫌いとは違う感情なんだろう。
心臓の鼓動が速くなっていくのを感じた。
ティナ「ありがとう。私も忘れないから。あなたも、あなたと見たこの景色も。」
涙が止まらない。最後ぐらい笑顔の方がいいに決まってるのに。
融太「ティナさん……、さようなら……!」
ティナ「ん。バイバイ、融太。」
別れを告げ、完全に溶けきった融太を、私は、最高の泣き笑いで見送った。
私は泣き続けた。融太が溶けた水と、涙が混ざってぐちゃぐちゃになるぐらいに。
忘れるわけがない。たった一日だったけど、私にとって大事な大事な思い出。
こうして、雪の妖精に愛された一人の少女の物語は、幕を閉じた。
いかがだったでしょうか?
なかなか作成途中でも感情移入してしまって、泣きそうになりながら書いていたんですが(笑)
皆さんにもその部分が少しでも伝わっておりましたら幸いです!!
あと、ひたすら融太になりたい人生でした!私だってあのポジションだったら人生に一片の悔いもないわーーー!!(笑)
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どうかよろしくお願いします!!
それではまた書くことがありましたらその時も是非見てください♪
ざっくの実でした〜!