18話
その手を掴んで止めた。
「他人のプレゼントを奪うのはよくないなぁ」
「はっ!! 殺戮者が何を言ってる」
「あなたは!!」
珍しくミスティが怒気をはらむがそれをサンタ――いや、高城は手で制する。
「任せて」
「……はぁ、あとでたくさんたくさん愚痴を言いますから」
そしてミスティは他の兵士とドラゴンを何とかするために離れる。
「ふん!! 自身を踏み台にした奴と情を通わせるなんてな」
「その口を閉じろ、アイスヴァイン」
言われた方は余裕の笑みを浮かべる。
「知ってるんだぜぇ、お前のサンタは自分へのプレゼントを出せない」
そして、と言葉をつなげて新たな月の光の槍を手にする。
「心を折らなきゃ袋に入れることもできない、だからお前は詰みだ」
なんということだろうか!!
サンタの弱点はプレゼントを与えるものということを見抜かれてしまっている。
そして自然物では攻撃を受けないという加護が絶対の守りになっている。
どうするサンタ!?
「ふぅ……」
息を一つだけはき、そして吸い込み。
「メリィィィッ!!」
背に担いだ袋に手を入れて黒光りする何かを取り出し、振り下ろすようにプレゼントする。
「っは、馬鹿が」
嘲りきった表情でまったく防御せず槍を突く。
「クリスマス!!」
「っがぁ!!」
わるい子は反省の言葉を少し漏らした。
その目には驚愕と疑問が満ちている。
「なんだぁ? それ? 炭――か?」
そうこれは間違いなく炭である。
ただちょっと不純物が多くて九割以上タングステンなどの金属が混ざっている。
この炭(化タングステン)ならば加護を打ち抜けるのだ。
「く そがぁぁ!!」
発狂したようにアイスヴァインは槍を突いてくる。
がわるい子の駄々をなだめすかすのはサンタにとって朝飯前だ。
「ジングル!!」
炭(化タングステン)を振り上げて、音速を突破した速度で踏み込み。
「ベル!!」
わるい子にプレゼントし終わったサンタは満足げに振り返る。
「くそ!! くそ!! くそ!! なんでなんだよ」
「わるい子はしまっちゃおうねぇ」
何度でもいう。
決してピンクのおじさんではない。
「ひ!!」
その声にはもう反抗する意思はこもっていない。
だから――
「わるい子はいねぇがぁ!!」
袋の中に収めた。
一時間後にお願いします。