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16話

「は、はい!! (生/逝)きます」


 地面に木の槍を突き立てる、すると地響きを立てるように天へと広がる。


「最初の門ケテルは天を示す」


 天に広がった木の上そこに王冠のような光の輪が広がる。

 そこには金剛石の牙を持つドラゴンが寝そべる姿が一瞬だけ見えた。


「最終の門マルクトは地を掴む」


 大地を掴むような膨大な根が張り巡らされ城壁の如くドラゴンの群れを飲む。

 そこには水晶の体を足で立つドラゴンが一瞬だけ見えた。


「隠匿の門ダアトは知を守る」


 薄い膜のようなものが生命の樹を包みブレスを受け止める。

 銀の尾をした竜が一瞥だけして立ち去ったのが一瞬だけ見えた。


「第二の門コクマーは智を記す」


 枝が広がりそこの葉には様々な文字と図形すなわち問題が描かれている。

 それをトルコ石の目で嬉しそうに眺めるドラゴンが一瞬だけ見えた。


「第三の門ビナーは解を渡す」


 舞い散る葉を小枝が貫く、その枝には葉が一葉ずつついており答えが書かれている。

 自慢げに真珠の指で小枝を投げているのが一瞬だけ見えた。


「第九の門イェソドは礎を組む」


 根がうねるようにしてより強固な大地を作る。

 月の光を持ったドラゴンが悲しげにどこかを見ているのが一瞬だけ見えた。


「第八の門ホドは栄を保つ」


 鈴なりの果実がなる。

 それを水銀の舌を持つドラゴンが食べているのが一瞬だけ見えた。


「第七の門ネツァクは勝を得る」


 いくつもの金銀財宝がどこからともなく湧き出始める。

 その様子をつまらなそうな様子でエメラルドの爪でつまみ上げているドラゴンが一瞬だけ見えた。


「第六の門ティファレトは美を映す」


 瑞々しい葉が生い茂り、露で煌めく。

 金の体を持つドラゴンは優しげに微笑み薄れゆく。


「第四の門ケセドは慈を満たす」


 どこからともなく温かな風が吹く。

 それに気持ちよさそうにサファイアの瞼を下ろすドラゴンが一瞬だけ見えた。


「そして――」


 生命の樹を育てる少女は宣言した。


「第五の門ゲブラーは巌を与える」


 その言葉を聞いて赤い竜はルビーの鱗を震わせ哭く。


「皆――皆そこにいるのだな――そこに至ってよいのか?」


 自身のブレスで身を焼きながら最後のエンシェントドラゴンが崩れていく。

 それにこたえるように十の巨大な気配が満ちる。


「すまぬ、とは言えぬなぁ、意固地に生きた道だが最後はあっけないものだ」


 灰が吹き払われるようにエンシェントドラゴンが死にながら、赤い衣の存在。

 サンタに語り掛ける。


「おぬしだな? おぬしがあのヤドリギの少女を至らせた、そうだな?」


 そこでサンタは首を振り否定する。


「ほーっほっほほ サンタはわるい子にもプレゼントは渡すもの、これは君へのプレゼントだ」


 どこまでも嬉しそうに最後のエンシェントドラゴンは目を伏せ永い眠りにつく。


「ああ、忌々しい、このような小さき者たちに終わりを告げられるとはな」


 そして生命の樹の周りに針山のごとき岩が乱立する。

 それを打ち砕きながらそっぽを向いた赤いドラゴンが立ち去った。

 しかし口元にはかすかだが穏やかな笑みを浮かべている。


 それを見届けた後、生命の樹を持つ乙女ミスティがつぶやく。


「最期は笑って行ったねぇ」


「うん、よかった」


 傍らの乙女に遠慮気味に少年は手を伸ばす。

 それに気付いた乙女は手を取り指を絡める。

 天を覆っていた生命の樹は少女の槍へと戻っている。


「あと少しだね」


「頑張ろう」


 少年は乙女を抱き上げ空へと飛んだ。

一時間後にお願いします。

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