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10話

「おとなしく、してください!!」


 助けを求めるような声で木槍を振るう緑の髪の乙女。

 それはまるで踊っているようだ。

 風に舞う木の葉の如く円を描くステップを刻んだかと思えば、天を衝く巨木のような鋭い突きを放つ。

 穂先が床を削るたびに新芽が生えて、石突きが空気を打つたびに木の葉が舞う。


「ほっほっほ、元気みたいで良かった」


 懐かしむ感情をこめて話しかけながら踊りの相手を務める真紅の少年。

 付かず離れず手を取れるその距離を保つ。

 雪を踏むようにやさしく踏み込み、氷に滑るように身をひねる。

 身を振るたびに鈴の音が鳴り、袋が揺れるたびに物がぶつかり合うのが見て取れる。


「心配したんですよ!! とってもとってもです」


「それは――」


 泣くように乙女は抗議の声と共に穂先で突く。

 少年は返す言葉を思い浮かばず身をひねりよける。


「なんで!! なんで全部背負ったんですか!!」


 新芽を地面をつかむ楔として足裏を固定し。

 落ち葉は滑るような加速を乙女に与える。


「だって、僕があの封印を解いたから!!」


 新芽は足にまとわりつき転ばせようとする。

 落ち葉の感触はおぼつかずうまく地面に力を伝えられない。


「なら私にだって責任はあるはずです!!」


「でも!!」


「でもじゃないです!!」


 朝露のように涙をこぼしながら抗議と共に槍を突く。

 その先にはついに足を滑らせてしまった少年。


「――ごめん」


 ただ一言だけ少年は言葉を漏らした。

 と、それを聞いて乙女は槍を静止させる。


「ほんとうのほんとうに心配したんですから」


「ごめん」


「共犯者にしてほしかったんですから」


「ごめん」


 そこで乙女は首を振る。


「違います、私が本当に欲しいのは――」


 少年はやっと何かに気づいたように顔を上げる。

 ゆっくり立ち上がりながら。


「心配かけてごめんミスティ、そして、ありがとう」


 そして少年は乙女をゆっくりと抱きしめる。

 その表情はどこか何かが一つ終わったように穏やかだ。

 抱きしめられた乙女は顔が紅潮しながら。


「――ず、ずるいです高城さん、言いたいこととかいっぱいいっぱいあったんですよ」


「聞くよ、いくらでも、何度でも」


 その答えとしてなのか乙女は少年を抱きしめる。

 もう全部なくなったとでもいうように。


「高城さん変わりましたね、今は暖炉の温かないい香りがします」


「ミスティは相変わらず森の涼しい香りがするよ」


 そこでどこかへ去ったはずのゼニゲバが戻ってくる。


「くっくっく時間稼ぎごくろう、では二人とも死ねぇ!!」


 ゼニゲバは背後に巨大な魔方陣を浮かべてそこから何かの光を発射した。

一時間後にお願いします。

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