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善宗と図書委員会

皆様こんにちは、島北悠凪です!

この話から可愛い女の子がたくさんでてきます。

可愛いは正義。

ということで、第3話「善宗と図書委員会」、どうぞ楽しんでください~!

凛華さんの電撃転入から1日明けて、俺は目を覚ます。



どうやら、昼寝と称して寝てしまった時から、ずっと眠ってしまっていたらしい。



「いてて……」



ブレザーこそ脱いでいたが、ワイシャツで寝てしまっていたためか、体が少し痛い。伸びをして、体をボキボキ鳴らしてベッドから起き上がる。



部屋から出て台所の部屋に向かうも、すでに母さんも父さんも家を出ているみたいだ。母さんからの置手紙と、朝食のスクランブルエッグとトーストが置いてあった。



「……いただきます」



俺は一人、目の前のごはんを食す。共働きで忙しいのは知っているから、あまり会えないのは分かっていることだが、やはり寂しい気持ちは少なからずあるものだ。



「……風呂入るかな」



食事を終えた俺は、ゆっくりと風呂場に向かい、風呂に入る。



「……富士凛華……」



俺は、シャワーを浴びながら、ぽつりと彼女の名を呟く。



俺の記憶を取り戻すトリガーと成りえる人は「凛くん」だけだと思っていた。だが、そうじゃなかった。凛華さん……彼女もまた、俺の過去を知っている。



「……ううぅっ……!!」



深く考えると、またひどい頭痛が襲い掛かる。シャワーの水に濡れた俺の体が静かに震えるが、頭痛が収まると、震えは止まった。



「……まあ、考えずとも、あちらから色々と話してくれるだろう……そこから記憶を紐解けるはずだ……」



体を洗って、風呂場から出る。新しいワイシャツを着て、学校指定のズボンを履き、自分の部屋に置いてきたブレザーを上から着る。



用意を整えた俺は、静かに「いってきます」と玄関に残して、ドアを閉めて、鍵をかけた。




☆☆☆☆☆




超窮屈な満員電車を降りて、学校に到着する。下駄箱でローファーから上履きに履き替える。



「……あら、おはようございます、古賀君」


「あっ、天馬先輩……おはようございます」



彼女は、俺の所属する図書委員会の委員長の天馬文奈先輩だ。長い髪を三つ編みに束ね、おしとやかな雰囲気を醸し出している。いつも静かな人で、一つ一つの仕草が可愛らしくて……実は、俺が気になっている人でもある。



「今日は委員会の日ですね……また放課後に、図書室でお会いしましょうね……」


「は、はい!」



天馬先輩は静かな笑みを零すと、そのまま3年生の教室に続く方へ歩いて行ってしまった。



「……ねぇ?」


「うおっ!?」



俺は珍しく素っ頓狂な声をあげてしまう。後ろを振り向くと、そこには可愛らしく頬を膨らましていた凛華さんがいた。



「今の人、誰なの?」


「あ、ああ、今の人は天馬文奈(てんまふみな)先輩。俺が所属してる図書委員会の委員長さんだ」


「へぇ~……」


「……な、何か俺の顔についてるのか?」


「いや、善宗くん、今の天馬先輩って人ににやにやしてたでしょ?」


「そ、そんなことはない!」


「嘘だ~?怪しいなあ~?」



こういう時の女の感って怖いな……。



「ま、まあ、凛華さんには関係ない話だよ……うん」


「え~!!なんか心外~!!」



凛華さんは足踏みして悔しがっている。



……その都度、上下に揺れている凛華さんのおっぱいが、俺の視線のやり場を失わせている。



「ほ、ほら、早くしないと出欠確認に間に合わないぞ。教室に行こう」


「むぅ~……」



俺の後ろに凛華さんがついてくるように、教室に向かう。



……相変わらず、周りの視線が痛すぎる。男子どもの殺意の視線は、常に俺の体を射抜いている。



教室に入っても、やはり、強烈な視線をこちらに向けられる。男子からは殺意に満ちた視線を、女子からは興味に満ちた視線を……。あ、千本院だけは女子の癖に殺意の視線だ。



「あっ!凛華ちゃん!おはよー!!」


「優奈ちゃんっ!おはよ~☆」


「う~ん!やっぱり素晴らしいですのお、このお乳は!」


「や、やめてよ~!」



……朝っぱらから何をやっているんだ。



「くっ……女子同士がくっついてもセクハラじゃないもんな……羨ましいことこの上ないぜ……」


「俺も抱き着いておっぱいモミモミしてみたいなー……」



おいお前ら、女子に嫉妬してどうするんだ。



―――凛華さんに抱き着いて、彼女のたわわすぎるおっぱいを貪るように揉みしだく活発な女の子は、天馬優奈(てんますぐな)。……そう、苗字からわかるように、天馬先輩の性格真反対な妹だ。



天馬先輩と同じ血を分かつだけあって、容姿端麗の美少女ではあるが、姉とは似ても似つかぬファイヤーぶりである。運動も得意で、陸上部に所属している。ショートカットの茶髪が、彼女の活発さを表現している気がする。



「天馬さん!富士宮さんが困ってるでしょ!」


「ぶ~、いいじゃんか~」


「亜凪実ちゃん!おはよ~☆」


「おはよう、富士宮さん」



天馬を凛華さんから引きはがした長身の女子。このクラスの委員長の井頭亜凪実(いかしらあなみ)だ。勉学、スポーツともに優秀で、女子からの人気も高い。



「まったく……男も女もおっぱいおっぱいって……くそっ!!」



俺の席の隣で、千本院は悔しそうに机を叩く。



「まあまあ、気にするなよ千本院」


「な、何よ、日下部」


「ちっぱいが好きな紳士っていうのもいるものだ。貧乳はステータスだ、気にするな」


「とりあえず死ね!!」


「がはぁっ!!」



継定、お前の馬鹿さ加減には心底感服するよ。



「……な、なによ古賀、あんたも私の貧相な胸を憐れむのか?殴るぞ!」


「そ、そうじゃないよ」


「本当かしら……?」



千本院は懐疑的な視線をこちらに向けるが、すぐさま俺から目を背けてしまった。



……黙ってれば美少女なのになあ……残念な奴だ。



「……さっきから私の顔を見て、何のつもりよ?」


「い、いや!すまない……」


「な、なによ……フンっ!」



顔を赤らめて、再び目線を逸らされた。



「やっぱり、善宗くんって、美緒ちゃんと仲いいよね?」


「んなわけ、あるかーーーっ!!」


「ぐはっっ!!」



俺の席の後ろから、凛華さんは何を血迷っていることを言うのか。おかげで、俺が盛大にぶん殴られたじゃないか……。



そんなこんなクラスが和気藹々としていたら、朝のホームルーム開始の予鈴が鳴る。安定の適当な感じを醸し出すクラス担任の蒲田先生が教室に入ってくる。



さて、今日は放課後になれば図書委員会がある……天馬先輩に会えると思えば、今日の授業だって乗り切れるはずだ……今日も一日、がんばるぞ……。




☆☆☆☆☆




よし!やっと放課後だ!!



俺は、勢いよく椅子から立ち上がり、カバンを右肩にかける。



「ねえ、善宗くんっ!今日も一緒に帰らない?」



後ろから、可愛らしく、それでいて甘い、凛華さんの声が聞こえてきた。



「悪い、今日は委員会があるから無理なんだ」


「えぇ~!?そんなぁ~!!」



おいおい!!凛華さんと一緒に帰るのを断っただけで、男の目線が強烈に放たれた矢のように突き刺さるんだけど!?



「……ちっ……」



ん?今、舌打ちのような音が聞こえたようだが……気のせいかな。ってか、周りの雰囲気怖すぎだろ……。



「まあ、しょうがないよね☆」



凛華さんは席から立ち上がると、カバンを手に持った。



「それじゃ、またね、善宗くんっ☆」



凛華さんは笑顔を見せて小さな右手を振ると、そのまま教室を去ってしまった。……少し断り方きつかったかな……?



「……おい、善宗」


「な、なんだよ継定……」


「てめえ、凛華ちゃんと帰るのを拒否するなんて……いいご身分じゃねーかゴラァァァァァァァ!!」


「ちょっ!まっ!やめろ馬鹿!!」



継定の鉄拳が俺の顔面にヒットする前に顔を退ける。



「今日は委員会だろ!継定は所属してないけど、俺は所属してるから!」


「委員会なんてサボってしまえ!」


「んなことできるか!!」



せっかく天馬先輩と長い時間話せるタイミングなのに、それをみすみす見逃すわけあるか!!



「俺はもう委員会だから!んじゃあな!」



バッグを肩にかけて、継定を退け教室を駆け出る。



委員会が行われる図書室は、教室を出て階段を上って、一番奥。



俺は足早に図書室に向けて歩き続ける。さっき天馬先輩に会ったが、また天馬先輩に会えると思えると心が躍る。



「失礼しまーす……」



横スライド式のドアを開けて、図書室の中が視界に映る。



「早いですね、古賀君……」



天馬先輩は分厚い歴史書を閉じて、静かに机に置くと、俺を見て優しい笑みを零す。



「古賀君が一番乗りですよ」


「そ、そうでしたか……」


「ええ、偉いですね」



天馬先輩は椅子から立ち上がって、俺の頭を撫でてくれる。はあ……近づくと俺の鼻腔を擽る天馬先輩のシャンプーのにおいが心地よくて……。



「……あら、遠くから他の委員の人たちが近づいてきてますね。さて、委員会の用意をしましょうか……」



図書室の外から、他の図書委員の人たちが近づいてくるのが聞こえてくる。天馬先輩は俺の傍から離れて、委員会の資料を用意し始めた。



俺は残念に思いながらも、座席に着席する。



暫くして、委員会のメンバーが全員揃うと、静かに委員会が始まった。




☆☆☆☆☆




およそ40分ほどの委員会は終わり、それぞれ委員会のメンバーは図書室から退室していく。



「ありがとう古賀君。私の手伝いなんかしないで先に帰っていいのに……」


「いや、大丈夫ですよ」



天馬先輩と一緒にいるこの時間こそ、俺の至高なのだ。あわよくば、このまま一緒に帰れるかもしれないかもだし……。



「ふぅ……これで終わりですね……」



天馬先輩は胸に手を当てて一呼吸する。凛華さんほど馬鹿みたいにでかいわけではないが、控えめな性格とは裏腹に、かなり主張の激しい胸部が呼吸に合わせて膨らんでいた。



「さあ、日が暮れてきましたし、今日は帰りましょうか」


「は、はい」



天馬先輩は図書室の鍵をスカートのポケットから取り出し、図書室から退室する。



俺も忘れ物がないかを確認して、天馬先輩の後に退室する。



天馬先輩は鍵を閉めると、ゆっくり廊下を歩き始めた。



「……綺麗だなあ……」


「何か言いましたか?」


「い、いや、なんでもないですよ!」


「ふふっ、面白いですね、古賀君は」



天馬先輩はいつもの静かな笑みを零して微笑む。



窓ガラスの外からの夕暮れの橙色の日に照らされた天馬先輩は、女神のようにも見えた。



俺は、再び歩き始めた天馬先輩の後姿を追うように、ゆっくりと軽い放心状態のままで歩を進めた。




☆☆☆☆☆




「わざわざついて来てくれなくても大丈夫だったんですよ……?」


「家に帰ってもやることないんで、心配しないでください」



職員室に鍵を返してきた天馬先輩と俺は、1階の玄関に向かって歩く。



玄関に到着した俺と天馬先輩は、学年が違うので、一度分かれることになる。



「今日はお疲れさまでした。では、また後日、会いましょう」


「あっ、あの……」



天馬先輩はどうやら先に帰ろうとしていたつもりらしい。俺は、頭に何か浮かんだわけでもなく、条件反射のように言葉を出してしまう。



「はい……どうしましたか……?」



ど、どうしようか……つい引き留めてしまったが……も、もうここまで言いかけちまったなら、言ってしまっても大丈夫だよな……!!



「て、天馬先輩……」


「はい……」


「あ、あの、もしよかったら……」


「……はい……」


「お、俺と一緒に…………」


「やっと来たぁ☆善宗くんっ、委員会お疲れ様っ!!ずっと待ってたんだよ!!さ、一緒に帰ろ☆」



り、凛華さんんんんんんんんんんんんん!?!?!?



な、なにしてくれたんじゃあああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!

第3話「善宗と図書委員会」、読んで下さり有難うございました!

凛華ちゃん、美緒ちゃんに続いて、天馬姉妹と亜凪実ちゃんが登場しました!

優奈ちゃんは「ゆうな」じゃなくて「すぐな」と読みます。

文奈先輩の包容力に癒されたいです。

余談ですが、亜凪実ちゃんのキャラは初期設定とはずいぶん変わりました。最初ははっちゃけキャラだったのですが、何故かいつの間にかクール気味な女の子になってました。


では、ここからは次回予告を。

第4話「無自覚なる女の戦いの勃発」では、凛華ちゃんと文奈先輩の2人がバチバチする話になります(笑)。凛華ちゃんの動の攻めと、文奈先輩の静の攻めをぜひお楽しみに!

次回、第4話は6/3(土)に投稿予定です!

Twitterでも告知や宣伝をしていますので、よろしければフォローお願いします!

それでは、また次回お会いしましょう~!

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