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困惑の善宗

読者の皆様、こんにちは。島北です。

2話を投稿するときって、何故か1話を出すとき並みに緊張します。

何故かって?1話よりも読者が減っていたら心に来るからです(笑)

では、第2話「困惑の善宗」、楽しんで読んでいただければ嬉しいです~。

俺の眼の先には、さっきまで写真集の中で可愛らしい笑顔を見せていた、富士凛華の涙を流して喜んでいる顔が映る。


一瞬の沈黙の後、教室中が、一斉に騒ぎはじめた。



「お、おい!善宗!!い、いったいどういうことだよ!?」


「善宗君、富士凛華さんと知り合いだったの……?」


「てめえ、羨ましすぎるんだよ!!」


「どこで知り合ってたんだよこの野郎!!知り合ってたなら俺にも紹介しろやぁ!!」



俺の机の周りにいきり立った男子どもが集まり、富士凛華と俺を囲んで尋問のように問い詰める。



「ちょっ、ちょっと待ってくれ!俺は富士凛華と会ったことはない!今日が初対面だ!!」


「何嘘ついてんだよこのリア充野郎!!」


「とりあえず、殴らせろや!!」


「ほ、本当だ!!俺は富士凛華に会ったことない!!絶対だ!!」



―――富士凛華の顔は、俺の言葉を聞くと、呆然とした表情に変わり、顔を俯かせた。



「ご、ごめんね、お、覚えてないなら大丈夫だよ!」


富士凛華は手を豊かすぎるおっぱいの前で横に振って、どう見ても無理矢理作ったような笑みを零した。



―――――ぐぅっ―――!!



まただ!頭に激痛が走る!何故だ……何故、富士凛華を見ていると……!?



「ほら、とりあえず席につけお前ら!ホームルーム始められないだろ~!」



蒲田先生は手をパンパンと2回叩く。男子たちは俺の席から離れていく。舌打ちをする者もいれば、恨み節を呟く者もいた。



女子たちも、奇異の眼で静かに俺を見つめていた。



どういうことだ……?何故、富士凛華は俺のことを知っている?やはり、俺の失った記憶に関係あるというのか……?



「……仲良くなって、近づいてみれば、何か分かるかもしれないな……」


「うわ、小さな声で何を言ってるの?気持ち悪っ」


「なっ、なんで聞こえてるんだよ!」


「普通に声に出てたわよ」



俺の右隣に座るのは千本院美緒(せんぼんいんみお)。俺の手術を行った都内有数の大病院の院長の娘だ。命の恩人の娘ではあるのだが……。



「気持ち悪っ、何こっち見てるのよ?」


「別に」



こんな調子ですこぶる性格が悪い。背が小さく、艶やかな金色のロングヘア、きれいなエメラルド色の瞳、見た目だけならとても可愛らしい美少女なのだが、今まで親に甘やかされて生きてきたのか、傲慢な奴である。



「くそっ、男は結局おっぱいでかい女がいいのか……」



千本院は自分の慎まやかな胸に両手を当てて、小さな声で嘆く。



「私だって大きかったらもしかしたら……」


「何をぶつぶつ言ってるんだ?」


「う、うるさいわね!あなたには関係ないでしょ!ふんっ!」



千本院は顔を赤くしてそっぽを向いてしまった。



千本院に気を取られているうちに、富士凛華は俺の後ろの空いていた席に着席することになったらしい。蒲田先生は俺の後ろの席を指さすと、富士凛華はこっちに向かって歩き始めた。



富士凛華は、学校指定のブレザーの胸部をぱっつんぱっつんに膨らませ、たゆんたゆんとおっぱいを揺らしながらこっちに来る。目に毒すぎる光景だ。



「今日から宜しくね、善宗くんっ」


「あ、ああ、よろしく」



―――可愛いなあ。俺はなんでこんなに可愛い女の子を忘れてしまっているのだろう。




☆☆☆☆☆




波乱のホームルームが終わり、1時間目までの待機時間が始まった。



女子たちは一斉に富士凛華のもとに集結し、男子禁制の女子トークが展開されていた。



「くそっ……俺も凛華ちゃんと早く話したいぜ……」


「ていうか、凛華ちゃんは善宗を……羨ましすぎるぜ!!」


「おい、善宗!!凛華ちゃんのおっぱいの柔らかさはどうだったよ!?なあ、どうだったよ!?」


「……めちゃくちゃ柔らかかった」


「くぅぅぅっ!羨ましい!羨ましすぎるぞこの野郎!!」



継定たちは今にも俺に襲い掛かりそうな雰囲気だ。



「ていうかよ、本当にお前は、凛華ちゃんと会ったことないのか?」


「あ、ああ、少なくとも、俺の記憶の中に、富士凛華の名前や姿はない。あれだけのナイスバディな可愛い女の子だぞ?一度会ったら、忘れないと思うぞ」


「そ、そういうことか……それなら筋は通るかもな」



後半は冗談半分に語ったが、継定は納得する。



俺の小学生以前の記憶は、家族や故郷の近場の地形、そして「凛くん」の存在くらいしか残っていない。いったい、富士凛華とは、どこで会っていたんだ……?



俺は頭の中で考え込んでいると、富士凛華が自分の席から離れて、俺の席の傍にやってきた。



「善宗くんっ」


「な、なに?」


「他の女の子たちに聞いたよ、善宗くん、小学生の頃から前の記憶がないんだってね」


「ああ、そうなんだ」


「……やはり、私のことも覚えてない?」


「……ごめん……」


「…………」



長い沈黙が続く。空気に圧せられたのか、継定たちも声を発することはない。



「そっか……でも、また一緒になれて嬉しいよ!」


「ぐっ……!!」



まただ!俺の頭はかち割れそうになる!富士凛華……君は一体何者なんだ……!?



「えっ、よ、善宗くんっ!?だ、大丈夫!?」


「あ、ああ、大丈夫だよ……俺、たまにひどい頭痛に襲われることがあるんだ……他の女子から聞いただろう、俺は交通事故以前の記憶がない……その事故のときの後遺症か何かだろう」


「そ、そっか……」



目線を富士凛華の顔に向けると、酷く悲しそうな、辛そうな、そんな表情をしていた。



「ま、まあ、これからよろしく頼むよ、富士さん」


「あっ!」



富士さんは、俺が差し出した手に手を差し出さず、自分の口を隠すように両手を添えた。



「ど、どうしたの?」


「わ、私のことは、凛華って……呼んでほしいなあって」


「えぇっ!?」



い、いきなり話が飛躍しすぎじゃないか!?



……おいおい、周りの男子の目つきが更に殺意に湧き始めてるじゃないか……。



―――いや、だが待てよ。



ここで富士さんと仲良くなって、お近づきになれば、俺の記憶を取り戻すトリガーがあるかもしれない……。それにこんなに可愛くてナイスバディの女の子に言い寄られて悪い気はしないしな……。



「わかったよ、凛華さん、よろしく」


「う~ん……まだ距離を感じちゃうけど……よろしくね、善宗くんっ!」



富士……いや、凛華さんは俺の手を握って、縦にぶんぶん振り回す。



1時間目開始の予鈴がなった。凛華さんは俺の手を離して、手をバイバイっと振って俺の席の傍をあとにした。



「よ~し、授業始めるぞ~」



1時間目は現代文だ。再び、蒲田先生が教室に入ってくる。俺は机の横のバッグから現代文の教科書を取り出すタイミングと同時に、蒲田先生の授業が始まった。




☆☆☆☆☆




「は~、やっと今日の授業終わった~」



俺は机にベターっと前傾する。腕をブランブラーンとさせる。こうしていると、体の疲れが抜けていく気がする。



「善宗くんっ」



だらしない恰好をしていると、横から凛華さんが前傾姿勢になって俺を見つめていた。



「うおっ……!なっ、なに……?」


「一緒に帰らない?いろいろお話したいなぁ☆」



やばい。俺の周りの男子たちの目線がやばい。おい、継定、はさみを手で握りしめてこちらに刃先を向けるのやめんか。このまま突撃してくるつもりか?



「お、俺は構わないけど……」


「やった!嬉しっ☆」




むぎゅううううううっ




「なぁっ……!!」



俺の右腕に、とんでもなく柔らかいものが押しつけられている。凛華さんのたわわ過ぎるおっぱいが、俺の腕に当たって潰れていた。



「へえへえ、まったく、イチャイチャしていて幸せそうね」



隣の席に座っている千本院が眉間にしわを寄せて、暗黒色のオーラを発しながら俺を見つめていた。



「お前なんて、おっぱいに篭絡されて死んでしまえ~~~~!!」



千本院は腕を目に当てて、「が~~~~~~っ!!」と謎の雄たけびをあげて教室から猛スピードで去っていった。



「なっ、なんなんだあいつは……」


「千本院さんと、仲がいいみたいね!」


「どっ、どうしたらそういう風に見えるんだ!?」


「善宗くんが記憶を失ったって話は、さっき千本院さんから聞いたんだよ!」


「それは、千本院が俺の手術をした大病院の先生の娘だから、親父の功績を言いふらしたいだけなんだよ」


「そうかな~?」


「そうだよ」


「まっ、いいや!それじゃ、帰ろっか!」


「あ、ああ」



俺はバッグを右手に持って席から立ち、そのまま凛華さんと共に教室をあとにした。



背後の教室の中から感じる殺意の塊は、ある意味、俺がたびたび感じる頭痛よりも痛く突き刺さる感覚だった。



それにしても、本当に信じられないスタイルしているなあ。グラビア写真集で写っていたそのままの可愛らしい童顔だし、あり得ないくらい胸でかいし。こんな女の子と一緒に帰れるなんて、幸せ者だな俺って。



正直、以前の記憶がないこともあって、あまり人付き合いというものはしたくはない。女子との接点というのも極力避けてきた。遊びに出かけたりする仲のいい友達だって、正直、継定くらいしかいない。



―――自分のことすらはっきり分からない俺が、他人を分かることが出来ないんじゃないか。正直、怖い。だが、凛華さんは、俺の記憶を取り戻すトリガーなんだ。そう思い込むのは、精神的な救いにもなっていた。



しかし、女子のことが興味ない訳ではない。誰にも話してはいないが、実は密かに気になる女子もいる。勿論、青春真っ盛りな今、可愛い彼女を作って青春を謳歌したい。当然だが、思春期な男である俺は、エッチなことにも興味はある。凛華さんのナイスバディを見て、興奮しないわけがない。



「さっきからぼーっとして、どうしたの?」


「あっ、いや、なんでもないよ」



……いつの間にか、自分の世界に入り込んでいたみたいだ。知らぬ間に下駄箱に到着していた俺たちは、それぞれ外履きのローファーに履き替える。



「視線が気になるなあ」


「そう?私はもう慣れちゃったよ!」



俺の隣には、最近、テレビでも取り上げられているほど人気急上昇の現役JK爆乳グラビアアイドル富士凛華がいるんだ。視線を集めないわけがない。興味や羨望の眼差しもあるが、大抵は男の嫉妬や殺意の眼差しだ。俺、明日生きているかなあ。



「あっ、そうだ」



凛華さんはバッグから何かを漁り始めた。綺麗に整頓されたバッグの中から手に取っていたのは赤色の眼鏡ケースだった。ケースから赤ぶちの眼鏡を取り出し、装着した。



「度はないけど、身バレ防止用の眼鏡だよ~☆」



可愛い。眼鏡っ娘っていうのも趣がある。確かに、顔の印象は少し変わるが、そのダイナマイトボディは隠すことはどうしても出来ないみたいだ。相変わらず、ブレザーの胸部はぱっつんぱっつんだ。いつブレザーのボタンが弾け飛んでしまわないかヒヤヒヤしてしまう。



俺の通う篠宮(しのみや)高等学校から徒歩10分ほど、地下鉄駅に到着する。


「俺はこの電車で帰るけど、凛華さんはどうやって帰るの?」


「奇遇だね!私もこの電車だよ!」



凛華さんはニコニコして俺の腕にくっつく。



通りかかる人たちは俺たちのことをチラチラ見ているようだ。凛華さんが富士凛華だとばれているわけではなさそうだが、これだけのナイスバディだ。世の人たちが気にしない訳がない。



「と、とりあえず、行こうか」


「うんっ!」



地下駅に続く階段を下りて、改札を通り、電車が来るのを待つ。凛華さんは俺と一緒にいるのがそんなにも楽しいのだろうか、終始笑顔を零している。



駅構内で待っていると、すぐに黄緑色の本八幡(もとやわた)行きの電車がやってきた。帰宅ラッシュよりはまだだいぶ早い時間なので、電車の中は閑散としてた。



「善宗くんはどこまで行くの?」


「俺は大島(おおじま)まで」


「あっ、そうなんだ……私は本八幡なんだ」


「そ、そうなんだ……」



凛華さんは少し寂しそうな表情をしている。



「……覚えてないよね?……昔は、同じ駅だったんだよ?」


「えっ……?」



……残念だが、全く覚えていない……。昔……山梨県に住んでいた時のことか。ということは、富士吉田(ふじよしだ)駅周辺に住んでいた……ってことだよな。今は富士山駅って名前らしいが。



―――――ぐぅっ……!!



頭が割れるように痛い……!なんだ!?なんでいきなり……!?



「だ、大丈夫……?」


「あ、ああ、大丈夫だよ……」



―――やはり、凛華さんには俺の記憶を取り戻すトリガーがある……!砂嵐のような映像が脳裏に映るが、中身は全く見ることができなかった。……凛華さんの話を聞いて、俺の失われた記憶が蘇りかけたのだろう。きっと、そうだ……。



「……あまり昔の話はしないほうがいいのかな?」


「いや、気を使わなくていいよ。もしかしたら、凛華さんのことも、思い出せるかもしれないから……」


「そ、そう……?」



背が小さい凛華さんは、俺を下から覗き込む形で心配そうに見つめている。つぶらな瞳は、眼鏡越しに俺の眼を見つめていた。



頭痛に悶えていると、いつの間にか、俺の自宅の最寄り駅に着いていた。



「俺はここで降りるよ……それじゃ、凛華さん」


「う、うん……」



電車のドアが閉まり、俺は凛華さんを見送ってから改札を出て、地上に出る。



入り組んだ小道を通って、俺は自宅のマンションの一部屋に到着する。



「ただいま」



と言ったところで、誰かが待っているわけではない。両親は共働きで、家を留守にしている。俺は、自分の部屋に入って、ベッドに体を横たわらせる。



「……なんか今日はいろいろあったなあ」



富士凛華の転入……これが意味するのは何なのだろうか。だが、俺の過去を知っている。彼女は、俺の失った記憶を取り戻すことができる、「凛くん」以外の唯一の希望なのかもしれない。もっと、彼女を知って、彼女と仲良くなれば、俺は、俺を取り戻せるかもしれない……!



「ふぁ~あ~……昼寝しようかな……」



もう昼寝というには遅い時間ではあるが、疲弊した俺の体は、睡魔に襲われていた。俺はそのままベッドの上で横になり、静かに、目を閉じた……。




☆☆☆☆☆




善宗が電車から降りて、更に静かになった電車の中、凛華は静かに笑みを零して呟いた――――。




「やっと会えたな……善宗……」




第2話「困惑の善宗」、読んでくださりありがとうございました!

凛華ちゃんに続いて、千本院美緒ちゃんが登場しましたね!

美緒ちゃんはまだまだきっつい性格でツン8割デレ2割くらいですが、これからどれだけデレるのか、楽しみですね(笑)。

あと、首都圏や近郊に住んでいる人は分かったと思いますが、作中で登場した電車は都営新宿線です。善宗たちが通う篠宮高等学校も、都営新宿線沿線にあったりします(もちろん、架空の高等学校ですよ!)。

そして、最後の凛華ちゃんの一言……あの言葉は一体何だったのか……気になりますね。


では、ここからは次回予告を。

第3話「善宗と図書委員会」では、篠宮高等学校の善宗の学校生活を取り巻く生徒たちがたくさん登場する回となります!美緒ちゃんは既に登場しましたが、まだまだ可愛い女の子たちはいますので、そちらもご期待ください!

第3話以降は隔週もしくは隔々週土曜日の投稿となります。できるだけ隔週ペースで投稿する予定ですが、進捗度合いによっては隔々週になりますのでご了承ください。

次回、第3話は5/20(土)投稿予定です!楽しんで待っていただければ嬉しいです!

あと、Twitterもやってますので、「島北 悠凪」で調べてみてください(下ネタ多いのでご注意を)!

それでは、また次回お会いしましょう~!!


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