それでいいのか! ~転生~
結論:全設定の決定権は、作者にある。
さて、今回はなろうの大黒柱の一つに挙げられる『転生』である。
え?
大黒柱が複数あるのはおかしいだろ、なんて野暮はいいっこなしだ!
『転生』
皆さんにはもう今さら説明する必要もないとは思いますが、おさらいということで一つ。
~死んで生まれ変わる。肉体が滅んで受肉する~
という意味合いですね。
さて、この『転生』には大きく2パターンが見られます。
丁度、今期(2017年夏期)はなろう作品がいくつかアニメ化され放映中(2017年7月現在)なので、それらを例に挙げてみましょう。
『Knight's & Magic』(天酒之瓢 著 N35560)
主人公の”倉田翼”が帰宅途中に交通事故に遇い他界、気がつくと異世界で、”エルネスティ・エチェバルリア”として生まれ変わるという、
『現地生物への転生型』
対するは
『異世界はスマートフォンとともに。』(冬原パトラ 著 N1443BP)
主人公の”望月冬夜”は神の手違いにより死亡、詫びとして生き返らせて貰うが元の世界には戻ることが叶わず異世界で新たな生活を始めるという、
『元の肉体への蘇生型』
である。
注:『異世界はスマートフォンとともに。』の作中では『転生』という言葉は使われていないので、厳密に言えば参照例には相応しくありませんが、パターンとしては当てはまるのでご了承ください。
一応タグには「異世界転生」とはいっているので……
『現地生物への転生型』は死んだ肉体とは別の肉体(個人)として生を受ける。
つまり魂は同じですが、外見が違う事になります。
赤子から意識(前世の記憶込み)を持つパターンや、ある程度成長してから事故などの要因で前世の記憶を取り戻すなどのパターンがあります。
気がついたら過去の偉人(信長とか)に成っていた! というのもありますがこれも混ぜちゃっていいのかな……生まれ変わっているのだからいいのか……?
といった『転生』という言葉の意味として正しい使われ方だと思います。
で、『元の肉体への蘇生型』が私は引っ掛かるんですよ。
肉体は死ぬ前と寸分変わらないんですよ?
まあ色んなチートもらってスペックは違うかもしれませんが……
外見(肉体)と中身(魂)が同じ状態に復元されることを、果たして『転生』と呼んでいいのだろうか?
普通に考えれば『蘇生』ではないのでしょうか?
恐らくではあるが『異世界転移』が絡んでいるのでなあなあで済ませていると思うのだが、これを現世のままだとより分かりやすくなると思う。
「会社員田中」として死んだ。 → 「会社員田中」の記憶を持ったまま「赤子鈴木」として生まれた。
「学生佐藤」として死んだ。 → 「学生佐藤」のまま息を吹き替えして余生を過ごした。
後者はやっぱり『転生』というには違和感ありますよね?
と言うわけで……
それでいいのかッ!! 『転生』ッ!!
と声を大にして問いかけたい。
あなたの作品の『転生』、それで使い方あってますか?
さて、異世界での物語を書くに辺り、生前の知識や異能といったチートでヒャッハーさせたいのは理解します。
その理由付けに一度殺害し現世に要られなくする導入も否定する訳ではないです。
でも同じ肉体(外見)で異世界生活を送ると言うならば、
それはもう、『異世界転移』でいいのではないでしょうか?
一応、現世には死んだ肉体が存在していて、新たに神様等によって生前と同じ肉体を再構築してあるから『転生』でいいのでは?
という考えもありかなと思ったのですが、漫画の『亜人』(桜井画門 著)の死亡→蘇生パターンが近いと思うのですよ。
それだとやっぱり『転生』とはいえないんじゃないかなーと。
同じ肉体、同じ魂ならばそれはやはり『同一人物』ですから。
「ポーション」は鋭意製作中です。
アニメみてたらふとおもっちまったんだからしかたがないじゃないか……