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細波

作者: 覚岐ケイ

 こんばんは、覚岐ケイと申します。あらすじに示しました通り、今年の3月末頃までにブログを閉鎖することにしまして、そちらに載せていた作品をこちらに移動中です。

 あの日から私の中の海のイメージはこんな感じです。生き死にに関する描写があります。そしていつもながら暗いです。苦手な方はご注意ください。大丈夫だという方は読んで頂ければ幸いです。


細波が響く

白く染まった柔らかな泡が

また飲み込まれていくのを見る

僕がまだ泳げていた時を

思い出そうとする

ぱくりと口をあけ

温もりを求め叫び声をあげるより前

僕は冷たさに泣いた

本気でみんなが泣けば海になると思っていた

海に帰れると思っていた

ぱくりと口をあけ

涙を求めてさまよった

尾骨を振り回し

溺れるように死ぬのだと思っていた


細波が響く

押し寄せ、引き去る振動が

足首に心地よい

僕を奪い去るには及ばない

安らぎを覚える力

だから僕は二本足でいられる

尾骨を突き出さずに済む

ぱくりと口をあけ

軽やかな酸素を飲み込む

声もあげられなかっただろうあの日

声を失う代わりにひれを手に入れられるのだったら

ぱくりと口をあけ

嘘みたいに黒い涙を飲んでも

飲み込まれることはなかったのだろうか


細波が響く

頭の奥に響く

痛みに涙する

ぱくりと口をあけ

唄声をまねる

酷く冷たい底に

飲み込まれた温もりを信じても

白い泡は足首を掠るだけで

痛みにも冷たさにも

僕は決して

馴染めなかった



 お読みいただきありがとうございました。

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