シンパシー
麻里は仕事帰りにDVDレンタルショップに立ち寄っていた。お目当ての新作ミステリーは、残りわずか1枚。麻里は急いで手を伸ばした…と同時に、もうひとりそのDVDに手を伸ばした人物が―。
「真田さん!?」
「高岡さん!?」
お互いに驚いている。
「あ、どうぞ。僕はいいから…」
「いえ…、私はいいですから、どうぞ」
そう言って、お互い譲り合うかたちになってしまった。そんな時、
「よかったら…、一緒に見ませんか?」
麻里は思い切って真田を誘ってみたのだった…。
会計を済ませると、ふたりは一緒にマンションに帰ることに。
「今日はお休みだったんですか?」
真田は、いつものスーツ姿と違って、TシャツにGパンといったラフな格好をしている。
「えぇ。久しぶりの休みだったんで、昼まで寝てたら退屈しちゃって…」
と苦笑いしている。マンションに到着すると、
「あの…、僕の部屋、散らかってて」
麻里はクスッと笑うと、
「うちにどうぞ」
と、真田を招待した。
真田をリビングに通すと、麻里はベッドルームでルームウェアに着替える。
「夕食、済んでますか?」
麻里はキッチンに移動すると、グラスなど準備している。
「まだなんですよ~」
真田の返事に、
「ピザでも取りましょうか?」
麻里は手早く注文を済ませ、キッチンで忙しく動き回っている。
「なにか…、手伝いましょうか?」
真田がキッチンへとやってきた。
「いえ、大丈夫です。サラダくらいなら、用意できそうなんで…」
麻里がリビングテーブルに取り皿など、すばやくセッティングをして、サラダを運んでくると、ちょうどインターホンが鳴って、ピザが届いた。買い置きのビールで乾杯し、それがなくなるとワインを用意した。
お腹も満たされ、DVD鑑賞をすることに。しかし、ワインボトルも空になり、すでにほろ酔い状態だった。麻里は、真田の肩にもたれかかり、今にも眠りに落ちそうになってた。すると、ストーリーの序盤でいきなりベッドシーン…。麻里は、思わず真田から離れ、気まずいムードに。すると、真田は麻里を見つめて、そして優しくキスをした…。
ドラマが終わる頃には、ふたりとも深い眠りに陥っていた。麻里が目を覚ますと、0時をまわっている。テレビを消して、真田にタオルケットを掛けると、麻里は静かに後片付けを始めた。しばらくすると、真田も目を覚まし、ボーッとしている。
「あ、ごめん。眠ってたね」
と、大きなあくびをしている。
「私も眠っちゃってたから…」
麻里は真田のとなりに座って、冷たい水の入ったグラスを渡した。
「ありがとう…」
そう言って飲み干すと、真田は麻里の頭を撫でて、もう一度キスをした―。




