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アルビス 自由なる魔法使い  作者: ぼん@ぼおやっじ


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03-14 アルくんが遊んで? いる間のあれやこれや

第14話 アルくんが遊んで? いる間のあれやこれや



 ちょっと話がそれるが物事というのは同時進行でいろいろ起こっているものだ。

 アルビスは当然のように魔法を駆使して孤児院の建物を改修というか、魔改造するわけだが、それをしている間もいろいろなことが起こった。


 まずは先日の魔物の擦り付け事件が動いた。


 大人の世界の話なのでアルビス君は情報収集にちょっと苦労したりしたのだがそこは根性で。あるいは愛嬌で何とかした。


「ぼくも当事者なのに」


 とか思うほど苦労したのだが、仕方がないのである。アルビスには判決に口を挟むような気は毛頭ないので、偶に子ども扱いされるのも、まあ、それほど悪くはないと感じる。

 だが頑張った甲斐はあって顛末は把握できた。


 まずケイト・セスタ男爵令嬢。


 彼女はこの事件の後、なんとスクード城に就職が決まった。仕官したのだ。しかもスカウトされて。

 所属はマイアの部下になる。マイアは宰相のような役割なので文官仕事全般の見習いということだろう。

 人となりを見込まれて、将来的に行政方面の主戦力になることを期待されているらしい。


 腕を磨いていたのにそれってどうなの? と思わなくもないアルビスだったが、この国は文官といえども尚武の気風が強いので、問題ないらしい。むしろそこも好ましいと思われているようだ。

 成人と同時に『騎士爵』の爵位が与えられて正式にスクード辺境伯の部下になる。

 独立した貴族扱いだ。

 ケイトならきっと出世していくことだろう。


 まあ、このスクードではレムニアが主君で、ケイトたちは臣下なので選択肢はないのと同じなのだが本人が喜んでいるからいいのではないだろうか。

 そしてケイトが使えるのであればその親兄弟はどうかという話になる。


 つまり子は親の鏡ということだ。


 ケイトを立派に育てた親なら期待できるし、その親に育てられたケイトの兄弟ならやはり期待できる。

 むろん盲目的に採用などはされないのだが、彼らにチャンスが巡ってきたのは紛れもない事実。

 ある程度仕事ができて、人格的に問題がないのであれば彼らも取り込まれるのだろう。うん、頑張ってほしいものである。


 逆にダッツ男爵家はきついお咎めを受けることになった。


『君は跡取りに、そして部下にどういう教育をしているのかね?』


 という話になる。

 それに現実的な罰則の問題もある。


 男爵は結構な罰金を払わされることになったようだ。もちろんそれは国庫に入るのだ。


 ゼント少年は未成年であることと、実際やったことはドーリーの首にしがみついていただけなので直接のお咎めはなし。その処罰は男爵家に任せられた。


 ただ男爵家が大きく評価を落としたのはやむを得ないところだろう。


 ここでも子は親の鏡。という発想が働くのだ。


 そして直接擦り付けをした護衛隊長はといえば…すたこらさっさと逃走した。


 どこから情報が漏れたのかわからないが冒険者ギルドではっていた網を見事にかいくぐっていなくなってしまったのだ。

 なぜこのタイプの人はその有能さを役に立つ方向で発揮しないのだろうか?

 困ったものである。


 あと、山に残った、というか逃走したはずの男爵家の家臣たちは冒険者ギルドの救助隊によって発見された。

 色々な意味でぼろぼろになって全滅していたところを。

 見捨てられた一人だけが助かったのは皮肉というものだろう。


 アルビスに助けられた彼女は恩返しに燃えていて、そのためにエレウテリア家ではたらいている。どんな人かわからないからとりあえずは試用期間である。

 問題がなければエレウテリア家の家臣が一人増えることになる。


 アルビスが工事に邁進している間にこんなことがあったのだ。


 ちなみに週一ぐらいでアファナトスには呼び出されているぞ。みんな修業しているが、アルビスは半分おさんどんをしているのだ。

 頑張れアルビス。


◇・◇・◇・◇


 さて、他にもいろいろ動きはあるのである。


 というわけでここは『勇壮なる都アファナシア』つまりここアファナシア王国の首都である。

 この国は山と湖の多い国で、この都も美しい山、美しい湖を背負っている。

 スクードとは違って計画的に都市全体が設計された都なので、全体が勇壮で壮麗。手の込んだ多層構造の町であり、白と黒(蒼)を基本にしたそのデザインは機能的だ。

 というのはこの王都は建国からかなり経ってから遷都として作られた町だからだ。


 その中心にあるのが王城、竜凱城ドラゴントライアンフである。

 実用的な石(本当はコンクリートみたいなやつ)の城で、かなり壮大で質実剛健なデザインの城だが、この城こそ白と黒(蒼)で、そこに赤と金のワンポイントがその城をとても美しいものに見せる。

 近隣諸国に名をとどろかせた城なのであった。


 その城の執務エリア。


 その御前会議室の玉座に座っているのがこの国の王様。イロス=アファナシア(さんせい)である。

 鍛え抜かれた青年の姿。黒髪を長くのばして後ろで無造作に編んで、その頭に簡易冠を頂いている。

 なかなかの美形である。


 実はレーンの従弟に当たる人物だったりする。


 その部屋には国王の他に10人の人間がいて、玉座ほどではないが立派な椅子に座っていた。

 いや、一人だけ国王の脇に立っているか。


 宰相、そして紋章院、内務院、外務院、司法院、学芸院、工部院、軍務院、宮内院、財務院の9長官。

 この国の重鎮たちだ。


 まあ、他にも護衛とか雑用とかもいるのだが、彼らはいないものとして扱われる。

 そのメンバーに国王は『ふふふっ、良い知らせだぞ』と笑って見せた。

 若くて精悍な人物なのでちょっとワイルドっぽく見える。


 その話を国王の脇に立つ宰相が引き継ぐ。

 宰相も国王とそう変わらない年齢に見える。20代の後半。あるいはもう少し上ぐらい。

 彼は言う。


「先日来、話題になっていたスクード領の塩の話です。今回の報告でそれが塩の鉱脈、しかも迷宮であることが確定しました。

 おめでとうございます」


 祝福の言葉は国王に向けたものだ。


「これを持ちまして長年我が国を悩ませていた塩の供給の問題が恒久的に解決することが確定しました」


 おおーっ、と声が上がる。


 そう、塩を他国からの輸入に頼るこの国は、塩の輸入という一点において、どうしても隣国の後塵を拝することを余儀なくされていたのだ。


「おおっ、おめでとうございます」


 重鎮たちも口々に祝いの言葉を述べる。内心はともかくとして。


「しかし喜んでいてよいのでしょうか?

 確かに我が国はこれで隣国の無茶振りからは解放されるかもしれないのだが、今度はスクード辺境伯の顔色を窺わないといけなくなるのでは?」


「しかりしかり、であれば塩鉱脈を国の管理下に置くべきではないですかな?」


「それにこのままではスクード一強という状況が…各貴族家の力関係を考えますと」


 否定的な意見。というより利益の独占を恐れる意見か?


「いや、あそこはアファナトスの聖域だ、国の管理にしたところでうまくいくとは思えん」


 国王は鷹揚に頷いた。


「当然だ、あそこは王国発祥の地であり、王国最後の砦、あそこを治めるのは王家に連なるものでなくばならん。

 そうでなくば聖アファナトスがどう動くか想像もつかん」


 アファナトスの名前を出されると反論が難しい。


 それは建国神話につながる話。この世界に生きる者にとっては手を出せない神聖な領域。

 よくわからないけどなんかヤヴァイのである。

 スクード家は王家がこの地方に移ったときに其処に残されたもう一つの王家なのだ。


「しっ、しかしですな。レムニア閣下は体を壊して職務を王都のそれに限定していたはず、であれば何らかの手を打つ必要があるのではないでしょうか?」


「そうですな、治ったという話を聞きましたが、王都にいたときの状態を考えますとにわかには…」


 喧々諤々である。

 めでたい話なのだが、それだけで終わらないのが人の世というもの。


 エレウテリア家のことなども議題に上る。

 もともとはエレウテリア家の開拓地での出来事だったのだ。

 開拓地は開拓したものに与えられるのが決まり。

 そうでなければ誰が辺境の開拓地などに住みたがるだろう。


「まあ、なんにせよあの地は王国ではなく王家の管理する土地だ。

 他の貴族家を中に入れるわけには行かない。

 その開拓した貴族家にも報いねばならんしな。

 一度、様子を見に行ってくるとしよう。


 宰相、スケジュールの調整を頼む」


「仕方ありませんな。御止めしたいのですが、ことは国の大事です。どうにかしましょう」


「うむ、朕がおらぬ間のことはその方に任せる。

 頼むぞ。

 そのほうらもここが聖地である以上、これは王家に任せてもらわねばならぬ。

 そのつもりでおるがいい」


 そう言われればこれ以上の議論は意味がない。

 重鎮たちは『ははーっ』と頭を下げて従うしかなかった。


 もちろん、それで納得したわけではないのだけれど。


□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □


 8月アルビス7さい11か月。双子5歳7か月






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