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アルビス 自由なる魔法使い  作者: ぼん@ぼおやっじ


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03-12 アルビス、子供たちのみらいに思いいたす。

第12話 アルビス、子供たちのみらいに思いいたす。



 はい。アルビス君は現在冒険者ギルドに来ています。

 ケイトさんたちはお城においてきました。詳しい事情聴取を受けています。

 双子はお家に帰りました。ママに会えてキャッキャしてます。


 一応の話を聞いてレムニアは『まだそんなのがいるのね』と肩を落としていたが、まあ、改革には時間がかかるものだ。


 さて、なんでアルビスたちが冒険者ギルドに来ているかというと、ユマちゃんの妹が預けられているからだ。


 事件の方はエカテリーナに丸投げしました。

 そこにいたのが運の尽き…というには 彼女(彼?)は極めて有能で、アルビスもエカテリーナが適切な対応をとってくれることを疑っていない。

 事情聴取を受けるケイトたちはエカテリーナの存在のあり様にちょっとビビっていたが、すぐにあの人の有能さに気づくだろう。


 問題になったのはユマの方で、彼女は薬草探しに行く際に、幼い妹をギルドに預けてきていた。


 これはぶっちゃけアルビスたちのせいで出来たシステムで、働く人のための託児所である。

 近衛騎士の調査で小さい子供を抱えて働くに働けない冒険者というのも一定数いることが分かって、であればギルト内に子供を預かってくれるシステムを作ろう。という意見が出たのだ。

 それとなくアルビスから。


 冒険者ギルドというのは独立行政法人のような物で、行政とかかわりつつも独立性を維持する形態なのだが、現在のスクードのギルドは先年の大改革の影響でほとんど行政府の管理下にある。

 今なら改革やら改造やらがやり放題なのだ。


 ちなみにあまりメンバーは変わっていない。

 ギルマスとかも残留している。

 ただし行政側の監視下に置かれて馬車馬のように働かされながら。他の怠け職員もこき使われていて、それでもダメなものはたたき出された。

 まあ、人手の問題があるのでこき使わないといけないというのがあるのだけれど。


 というわけで。


「すみません。キュールのお迎えに来ました」


 妹の名前らしい。

 3歳だそうだ。

 血のつながった兄弟ではなく、スラム街で知り合って助け合っているのだとか。


 ユマちゃんはかなりの人情家のようだ。

 そして人情家がもう一人。


「おう、待ってたぜ、チビ助もってなんだある坊も一緒か、どういう組み合わせだ?」


 食堂のおっちゃんことマギイ・レマさんだった。


「マギイさん、子供好きだから、食べ物関係では結構協力してくれているのよ」


 ギルドの職員さんがそう耳打ちしてくれた。


 話はそれるがここで冒険者の稼ぎの話。


 冒険者はギルドの依頼をこなしたり、品物を納品したりでお金を稼ぐわけなんだが、当然にギルドの運営費や税金もかかってくる。

 報酬額や素材の買取価格から15%が税金として、15%がギルドの手数料として天引きされているわけだ。

 ただ天引きなので冒険者はこれを負担に感じたりはしていない。

 そこまで考えていないともいう。


 託児所を利用する場合は利用料としてさらに10%が引かれている。

 ユマのように低所得の場合大変じゃないかと思うかもしれないが、ユマの報酬額はもともとかなり低いし、そこから10%引かれても大した額ではない。

 ぶっちゃけ一日、子供を預かってもらえてしかも子供のご飯も出るのだ。

 そちらの方がありがたいぐらいだったりする。


 10%が子供の食費プラス安全よりも大きくなって、自前で用意する方がお得になったら別の方法を考えればいいだけの話なのだ。


 それにこういうのが稼働すると、稼ぎの大きい冒険者が寄付などしてくれる場合も結構あるので、おおむね問題なく回っていたりする。

 ただ。


(これって、子持ちの女性を対象に作ったんだよね…)


 とアルビスは思う。

 託児所というのは働く親御さん、特に女の人のためのものだというのは日本の感覚だ。

 小さな子供がさらに小さな子供を預けてというのは想定外だった。自分のことは棚に上げて。


(こうなると、やっぱり孤児院とか養護施設とか考えないとだめだよね…)


「ねえね、おあえりー」


「キュール、ただいまー」


 ムギュッと抱き合う子供二人。


(尊い!)


 そんなやり取りを見ながらアルビスはこれからのことを考えていく。


(いっそ、神殿勢力に支援という形で許容量のアップを図るべきだろうか。

 それとも別に施設を用意すべきだろうか。

 でもその場合、院長先生みたいなポジションには信用できる子供を守ってくれる人が…)


「アルくん!」


「ほへ?」


 振り向いたらすごい子供好きの女が立っていた。


 ◇・◇・◇・◇


「アネモ姉ちゃん! どうしたの?」


 アネモネはいきなりガバッとアルビスを抱きしめた。

 そして。


「うううっ、ごめんね、お手紙もらったのに、助けを求められたのに何もできなくて…」


(あー、そういえばそんな手紙も出したような…)


 はい、アルビス忘れてました。


「うちの宿六が手紙を隠してたんだよ。

 貴族が相手だからって…

 コンラートさんにはお世話になったのに…」


 そんなことを言いながら涙を流すアネモネの背中で、背負われた女の子がすやすや眠っていた。

 赤ちゃんである。


 ◇・◇・◇・◇


 そしてエレウテリア家。


「そうね、それは許せないわね」


「でしょ? いくら相手が貴族だからってやり様はあるのよ、赤の他人じゃないのよ、出来る範囲でと考えるのが普通でしょ!」


 アネモネの亭主ネオテロスの悪口です。というかアネモネの愚痴かな。


 アルビスは本当ならユマとキュールの姉妹の住んでいる所を確認して、必要ならば(まあ、おそらくそうなんだけど)何らかの手を講じようと思っていたのだが、アネモネとの遭遇でそうもいかなくなって、また全員で城に戻ってきたのだった。

 アルビスはお城は完全に顔パスなので、さらにユマの顔も知られていたのでアネモネの身元確認だけでお城に入れたのだ。

 キュールは三歳だしアネモネの娘はまだ一歳だしね。


 ちなみに娘の名前は『ソレイユ』ちゃん。もうすぐ二歳だそうだ。

 現在は全員エレウテリア家に落ち着いて女子会の真っ最中だ。

 女子率高しである。


 アネモネの話ではアルビスの出した救援要請の手紙はちゃんと届いていたらしい。

 だがアネモネはそれを知らなかった。

 なぜならネオテロスがその事実を隠匿したから。


 ネオテロスは傭兵らしく情報通で、エレウテリア家のトラブルが上位貴族がらみであることを把握していた。


『もしここでエレウテリア家に肩入れすれば自分たちもその貴族ににらまれるかもしれない。

 そうなれば自分も女房も幼い子供も危なくなる』


 そう考えた彼は救援要請を黙殺することにした。

 これが例えばコンラートからのものであったなら、その判断は妥当だろう。男気に疑問符はつくわけだが…

 しかしそれならアネモネも心配はしつつも涙をのんだかもしれない。


 だが手紙はアルビスの出したものだ。

 小さい子供が助けを求めているのに何もせずに黙殺した。


 その事実はアネモネにとって許容できるものではなかった。

 同時にアネモネは思うのだ。


『貴族に睨まれるのを恐れて友人を恩人を見捨てる男。果たして彼は自分たち母娘が命を預けるに足る男だろうか?』


 ネオテロスにしてみればすべて家族を守るため。ということになるのだが、前述の通り、支援の方法は貴族と真っ向勝負するだけではない。

 アルビスをそれとなく助けたりとかできることはあったはずなのだ。


 また、手紙の話が所在地のギルド職員から伝わったのもまずかった。


 喧々諤々でケンカした。とかではなく、冷静に話し合い、アネモネはいったん離れて様子を見ることを決断した。

 彼女も冒険者であり、優れた魔法使いである。生きていくすべはある。

 子供の安全を確保できれば生活はどうとでもなると考えた。


 その結果が現在ではある。


 ベアトリスはアネモネに同調して愚痴こぼしに参加しているが、アルビスから見ればどちらの主張もわかったりする。

 ネオテロスの男気に疑問符がつくにしても、実際に何らかの裏切り行為をしたわけでもない。まあ、手紙の件はアネモネ的には裏切り行為なのだが、手紙を出した本人であるアルビスには『まあ、無茶振りだったよな』みたいな分析がある。


 アルビスの立場としては『悪いことしたなあ…』みたいな気分なのだ。


(すまん、ネオテロスさん)


 まあ、それはさておき。


 アルビスは疲れて眠る子供たちを見る。

 ディアーネとエドワードはいつものことだが、今日はその隣でユマとキュールが眠っている。


「まあ、こっちを先に考えるか」


 アルビスは立ち上がり、自分の領域から出てレムニアを探しに行くのだった。


□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □


 6月アルビス7さい9か月。双子5歳5か月


□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □


 拙作を読んでくださる皆様。ありがとうございます。

 皆様の応援が作者の力です。










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