03-10 マニアックすぎるオークが出た!
第10話 マニアックすぎるオークが出た!
一方こちらはケイト・セスタ男爵令嬢。現在14才の見目麗しい少女だ。
金髪縦ロールでなかなかゴージャスな美少女だったりする。
見た目のゴージャスさからは想像もできないほど子供好きで世話焼きで穏やかな性格をしているお嬢さんである。
「おねえちゃんみて、薬草があったの」
「ええ、良かったですわ。これで今日のお仕事は万全ですわね」
話しかけているのはまだ幼い女の子だった。
ケイトがこの魔境に入ったのはこれまたアルビスたちと同時だった。
その後アルビスたちと別れて地道に魔物を狩り、腕を磨いていったのだ。
この世界、残念なことに魔物を倒してレベルアップとかはない。
ないのだが、そのはずなのだが、実は魔物を倒すと魔力が伸びる。などという話がまことしやかにささやかれていたりする。
この世界は魔力が伸びるといいことづくめなのである。魔法使いなら魔法に余裕ができるし、戦士も強くなれる。
原因は知られていない。
だが経験としてそうなのかな? 見たいな認識はあるのだ。
アルビスが精霊に聞くと教えてもらえる可能性があるが、アルビス自身は魔力潤沢なのでそんなこと気にもしていない。だからそれを聞く日は来ないだろう。
まあ、そんなわけで角ウサギやゴッグバウ(出目蜥蜴犬)とかと戦って修業に余念のないケイトだったのだ。
そんなケイトの耳に助けを求める子供の声が届いた。
ケイトの頭をよぎったのは先日知り合ったアルビスたちだった。
すわ一大事と駆けつけてみればそこにはアルビスたちではないが、かわいい女の子が兎に襲われていた。
もちろんケイトは躊躇することなく助けに入り、現在に至るのだ。
子供はまだ8歳の女の子。
俗にいうスラムの子で、8歳ならば冒険者として薬草採取などで稼げると聞いて、登録し、果敢に魔境に挑んだ子供だった。
まあ、子供用のお手伝い依頼というのはあるのだ。
ギルドに対するテコ入れがなされたおかげでアルビスが町に来た時とは比べ物にならないくらい状況がよくなっている。
自分の食い扶持ぐらいなら町の草むしりとか清掃のお手伝いとかで稼げるぐらいに低年齢層の冒険者(見習い)に対する配慮がなされている。
ただそれはあくまでも一人分。もしくはプラスアルファ程度のもので、人を養えるほどの稼ぎではない。
ここがポイントで、現在ユマには妹がいて、その妹の分も稼がないといけない。お姉ちゃんとしては妹に苦労などさせたくないのだ。
なのでちょっと背伸びして魔境での薬草採取に挑戦した。
はっきり言って無謀である。
アルビス? あれは異常である。
もちろんこの事情はケイトの胸を打った。
母性本能なのだろうか、保護欲全開だった。
「お姉ちゃんのいるところなら安全だから近くでお仕事しなさい」
まあ、性格のなせる業だ。
ケイトはそう言って女の子を保護し、お土産として兎のお肉を焼いたものをもたせてあげようなんて考えている。
と言うわけでケイトはより安全性の高いエリアに後退して修業中なのだったりする。
「お嬢様、今回はそろそろ引き上げた方がよいかと思います」
ある時護衛の女性騎士の一人がそんなことを言い出した。
「どうかしたのですか?」
「はい、ミーメのやつが風がにおうと言っています」
ミーメというのも護衛の女騎士の一人だ。妙に勘がいいときがあったりする。ケイトもそのことは把握していた。
「そうなのね、わかりましたわ。では撤収の準備をしましょう。
ユマちゃん、そろそろ終わりにしましょう?」
「・・・うん、わかった。
今日はいっぱい薬草取れたから。
お姉ちゃんありがとう」
「まあ、よい子。
ウサギのお肉を妹さんに持ってお行きなさい」
「わあ、ありがとう。これなら?」
女の子は見た。
ミーメと呼ばれた女騎士が必死なというには無表情ながら走ってきて、荷物を剣で裂いて撒き散らしているのを。
「ミーメ!」
「だめ、間に合わない。囮に使う、戦闘態勢。お嬢様だけは逃がす」
その瞬間彼らの前をドーリーが走り抜けた。
二羽。
なぜか走るドーリーからはいいにおいがした。ものすごくお腹がすくようなにおい。
そしてなぜかドーリーの一羽がわざと彼女たちの近くを走るようにコースを変えたように見えた。
もちろんドーリーを駆っているのは言わずもがな。
「お嬢様、やられました。
魔物を擦り付けられました」
それは魔境に生きる者の間で最も忌避される行為だ。
そしてその言葉が正しいのを証明するかのようにたけり狂ったオークが山を駆け下りてきたのだった。
◇・◇・◇・◇
はい、こちらアルビス君です。
アルビスは今、空を飛んでオークの追撃をしていた。
ふらふらと空を飛んで魔境の探索をしていた時、眼下の草原というか花畑から煙が上がっているのが見えたのだ。
火事か!
と思ったが、燃えている所ではなく鎮火してくすぶっている所らしい。
そこで一人の女の子がオークに辱めを受けていた。
「変態だーっ!」
アルビスは絶叫した。
そこにいたオークは三匹。
三匹のオークがまだ若い女の子を嬲っていた。
女の子は半裸に剥かれ、全身に何か黒っぽい液体を塗られ、小突きまわされよろめきつつ歩いている。
オークは彼女をいじめながらその黒い何かを塗られた女の子を嘗め回しているのだ。
「と…特殊な趣味のオークでしょうか」
アルビスが変態とよんだ理由が分かっていただけただろうか。
アルビスは即座にオークを殲滅し、少女を助け出した。
変態は見つけ次第殲滅である。サーチ&デストロイなのである。
そして少女を確認。
その少女に塗りたくられていたのは最近アルビスが広めている焼肉のタレであることが判明した。
よだれと焼肉のタレでべとべとの少女にきれいな水をぶっかけ。さらにクリーンの魔法もかけてきれいにした。
少女はやっと正気を取り戻した。
そしたら事情聴取である。
アルビスは全然覚えていなかったけど、少女の方はアルビスを覚えていた。少女は先日あった子豚公子のお世話係の人だった。
彼女の話によるとここで盛大に焼肉パーティーをやっていたらいきなりオークが襲ってきたらしい。
アルビスはバカを見るような目で見た。
カナリアはかわいそうなものを見る目で見た。
双子は特に何も考えていなかったが、兄が変な目で見ているのでとりあえず変な目で睨んでみた。
少女はたじろいだが、まあ、ほぼ自殺行為なのでこのぐらいは甘んじて受けるべきである。
臭いにつられたのだ。あれはものすごくいいにおいだから。
さて、状況説明。
いきなりオークが乱入し、場はパニックになった。
肉塊が宙を舞い、野菜が転がり、子豚公子が焼肉のタレをかぶった。そばにいた少女もかぶった。
そこまではギャグだったが、そこからは惨劇だった。
荷物持ちがあっという間にオークに殺された。
騎士隊長は逃げ出した。
ドーリーに乗って真っ先に。
子豚公子がそれにとりついた。
騎士隊長はさすがに護衛対象を捨てて逃げれば自分の首が飛ぶことを思い出したのか子豚公子を回収し、群れの習性で追いかけてきたドーリーと一緒に山を駆け下りていった。
残されたメンバーは茫然唖然。
だが戦って勝てるとも思われなかったので逃げた。
一丸となって逃げた。
だが当然オークの方が速いのだ。
お世話係の女が一番若い少女、つまりこの彼女の足をかけて転ばせた。
オークへの生贄として転ばせたのだ。
彼女のその時の絶望は計り知れないものだった。
少女もオークのことは知っている。彼女だって辺境に生きる女なのだ。
あっという間に追いつかれるだろう。
服をはぎ取られ、あっという間に凌辱される。
そして命尽きるその時までオークの玩具。欲望のはけ口。
なぶり殺しにされて死んだら食われるのだ。
だから辺境の女はオークやゴブリンにつかまったら自死を選ぶようにと教わる。少なくとも苦痛は少なくて済む。
それに魔物に穢されて死んだ人間は、魂が汚れてしまって次に生まれてくるときに魔物にしかなれない…などという迷信もあったりする。
真実は分からないがそれは恐ろしいことだった。
すぐにオークが追い付いてきて服に手をかけた。
すごい力で服が引き裂かれ、一瞬で半裸に。
自分を置いて逃げていく先輩。そして本来自分を守るためにいるはずの騎士たちが目に映る。
まあ、オークの半分以上が彼らを追いかけていたのでざまあとか思った。
すぐに押し倒されて、ひどい凌辱が……始まらなかった。
少女の服をはぎ取ったオークは手についた強いにおいを発するものにきょうみをひかれたのだ。そしてそれを口にして、次の瞬間から大騒ぎを始めた。
焼肉のタレの味はそれほど衝撃的だったのだ。
オークはキャンプ地を回り、たれを見つけ出して舐め、そして少女の手についたたれもなめた。
その時の少女の反応が気に入ったのか、オークは少女にたれを塗って舐めるというマニアックなことを始めた。
これが時間稼ぎになり彼女は助かったのだが、恐怖の時間であることに違いはなかった。
てなことを少女は燃え滾る鬱憤とともに吐き出した。
かなりメンタル強めの女の子だったようだ。
ただほぼ全裸で仁王立ちして怒り狂うのはやめた方がいいとアルビスは思った。
双子はまだそういうのを全く気にしていなかったのは不幸中の幸いである。
とりあえず状況が分かったので。
「まあ、放っておくわけにもいかないから助けに行くか」
アルビスは決断した。
だから現在空を飛んでいるのである。
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6月アルビス7さい9か月。双子5歳5か月
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