03-06 どないしよーからのなるようになるさ
第6話 どないしよーからのなるようになるさ
「あ~、どないしよー、どないしょー、どないしょーーーーーっ」
変なポーズで思わず歌ってしまうアルビス。
「落ち着きなさい、でも本当にどうしたのかしら…三人一度に熱を出すなんて…」
急遽病室が作られ、双子とカナリアが寝かされていた。
よる、かなり遅い時間までは平気だったのだ。
というか子供たちは寝ていた。
なのでカナリアがいきなりふらふらっといった。
普段はアルビスつきのメイドみたいなカナリアなのでやはり一番に気づく。
おでこを触ると結構な熱。
(今日魔境に行ったことが原因なら二人は大丈夫か?)
そんなことを思ったアルビスは即座に双子を確認。やはり熱を出していた。
ベアトリスを呼んで三人を寝かせて、冒頭の『どないしよー』に戻るわけだ。
しかし救いの手はすぐそこにあった。
《落ち着くであります。鑑定するであります》
おお、それがあったかと鑑定をしたら。
※ ※ 鑑定 ※ ※
状態:成長熱…魔力回路の急速な発達に伴う一時的な発熱だよ。魔力回路が安定すると元に戻るよ。なぜ発達したかはお楽しみ。
※ ※ 以上 ※ ※
とのことでした。
「はー、知恵熱か~っ、じゃあ心配はいらないわね。でもなんでいきなり魔力が? 何か良い修業でもした?」
「えー?」
と言ったがすぐに思い出した。
アファナトスの〝ズビシッ〟だろう。
(たぶんお礼のつもりで三人の魔力的な成長の手助けとかだったんだろうな…)
となると自分のおでこは何だったのか?
それは分からないがとりあえず心配はいらなさそうだ。
案の定翌日には三人の熱は下がった。熱が下がればじっとしていられないのが子供というもの。
二人は開口一番言い放った。
「「兄さま、ぼく(わたし)たち、空属性っでた」」
「え? マジ?」
◇・◇・◇・◇
知恵熱? が出ると精霊が付いたり、精霊が成長したりするのは割とよく知られているらしい。なのでベアトリスも三人の成長に興味津々であった。
でも『空属性』は完全に予想外だった。
じつのところこの世界で空属性というのはよくわかっていない属性だ。
基本属性や回復属性ではないのでとても珍しいのだ。
しかもここには重力とか空間とかの概念がない。
なので空属性というのは『空間収納』の魔法が使えるだけの属性だと思われている。
空間収納は権能であって魔法ではないのだが。
ただこの国においてはちょっと意味が違う。
それはこの国がアファナシア王国だから、つまりアファナトスの国だからである。
アファナトスが伝えたとされる『重合剣』だが、これはいまだに王家の秘剣として伝えられている。そしてこの重合剣、完全に会得するためにはこの空属性が必要だと考えられているのだ。
まあ、重力を味方にする闘法なので大体あっている。
そもそも重力を利用する武技で成り立っているような武術だからね。
こうなるとレーンに相談しないといけなくなる。
「うーん、まさかこの三人がねえ…どうしてかしら…あと、なんでアルくんだけが別なのか…かな」
そんなことは分かっているのである。
「え? 僕は元々使えるから?」
「「「ええーーーーーーーっ」」」
「あっそうか、そういや収納魔法使ってたっけ」
忘れていたらしい。ちょうどいろいろあったからね。
「でも困ったわね、どうしようか…重合剣を教えようかしら…でもそうするとこの子たちの情報が洩れるし、国王の許可とか…ちょっとめんどい?」
普段は微妙にポンコツなレーンだった。
「それもそうだけど、なんで三人いきなり空属性なのかしら?」
ベアトリスの素朴な疑問。
「ああ、それなら…」
とアルビス君、山であった変な動物の話をしました。
アファナトスだというのは確信はあったけどそこは言わないで。
すると思惑通り。
「それって、絶対アファナトスだよね…伝承の通りだから」
アファナトスの姿も王家の秘事みたいにして伝承されていたのだった。
理由はよくわからない、たぶんめっちゃ可愛いからではないだろうか。
「じゃあしばらく様子見ね。そうしましょう。その方がいいわ」
「それでいいの?」
「いいのよ、アファナトスの話はとてもデリケートなの。
基本アンタッチャブルね。
余計なことをしてアファナトスを怒らせたりしたら大事だし、基本的になるようになるさで行くことにしているの」
ケセラセラ。
アルビスは大いに納得した。
(なるほど、触らぬ神に祟りなしか)
日本人にはおなじみの感覚である。
「じゃあ、そういうことで」
どういうことだ?
「そうですね、知恵熱を出したのは間違いないので、二つ目の属性を手に入れたということにしてごまかしましょう。現時点で子供たちに注目が集まるのは好ましくありません」
「そう、問題は何の属性にするかよね。それっぽくてごまかせるもの…」
はい、ここで子供たち動き出しました。
「はーい、ぼくは無属性と火属性もってまーす」
「あたしは無属性と風属性でーす」
爆弾投下。
大人たちはぎょっとして目を剥きました。
今まで双子は一属性だとみんな思っていたから。だが元が二属性。今度新たに空属性が加われば三属性になる。
この世界において三属性は一流の魔法使いだ。長い修業の果ての一流の座。
四属性など伝説の中にしか出てこないのだから。
まだ幼い子供が三属性。これはもう驚天動地の出来事だ。
つまり双子はこれで『三属性』なのだから。
あっけにとられるがそうなると気になるものがあった。
ベアトリスは考えた。
(アルっていったい何属性を…)
聞くべきか聞かざるべきかそれが問題だ。
もっと言うとここにいるレムニアなどの耳にも入れていいものかどうか。それも問題だ。
だが他の人はそれを気にしていないようだった。
この時代三属性以上はない。という固定概念が強すぎるのだ。
なのでアルビスも三属性。
それがみんなの常識なのだ。
ベアトリスはこの話をアルビスと二人だけですると決めた。
この質問がなされていたらちょっと大騒ぎになっていたかもしれないがそれは避けられた。
「まっ、アファナトスは気まぐれに加護を与えるといわれているし、辺境伯領に天才レベルの魔法使いが三人も現れたのはすごくいい事よ。
でもいくら何でもばれると大騒ぎになるからこのことは当面内緒ね」
この場に集まっているのが一握りであることでそれができる、運がよかった。
レーンの一言で当面の方針が決まったのだった。
◇・◇・◇・◇
「アルくんって何属性持ってるの?」
「えっと、えへへ、5属性?」
ベアトリスは目を回した。
なんてことがその晩あったがまあ、それ以上できることもないので放置だ放置。
「何にせよ魔法関係は基本スルーしてもらえるから助かるよ」
なんて思う。
現状、魔法や魔力の修業に関しては第一人者と言えるのはアルビスなのだ。
小神様の弟子。
その肩書が万能すぎる。
それはレムニアの精霊が属性を増やしたことによって証明されているのだ。そしてアルビスの指導で魔力修業を始めた近衛騎士隊の人たちはみな確実に成長している。
一応みだりに人に教えないように。とくぎを刺されているが、それはまあ当然だろう。
だがアルビスに言わせればそれは健康法のような物で、魔力修業をすれば誰でも魔法使いになれるものではない。ということになる。
やはり魔法使いになるためには才能が必要なのだ。
まあ、それでもこの修行法が確立されれば埋もれるはずだった才能が花開くようなことは増えるのだろうけど、それでももっと先に行くには導師が必要なのだ。
そう、導師。
アルビスは今それを感じていた。
遥かなる山の呼び声なのである。
アファナトスが自分を呼んでいるのを感じた。
ぐりぐりされたおでこ、そこにある種のつながりを感じる。
サードアイのバージョンが上がったような。
「やはりこれはいかなくちゃいけないな」
「「わーい。ピクニックだー」」
絶対違うぞ。そして当然のようについていく気満々だ。双子もかわいいのに会いたいらしい。
「まあ、ピクニックというよりキャンプだよね
はっ!」
アルビスはとんでもないことを思いつきました。
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6月アルビス7さい9か月。双子5歳5か月
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お知らせ
今まで魔力回路、魔力神経とごっちゃになってましたが、魔力回路に統一することにしました。
よろしくお願いします。




