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アルビス 自由なる魔法使い  作者: ぼん@ぼおやっじ


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02-37 破落戸~アジト~アルビスの怒り

第37話 破落戸~アジト~アルビスの怒り



 少し戻ってその日の朝の頃。

 アルビスの秘密基地は賑やかだった。


「うわーい。かわいいのー」

「かっこいい? かっこいい?」


「うんうん、いけてるよ」


 ファッションショーの真っ最中だったりする。

 子供の成長というのは早いもので、もともとの服を持ち出したのが春。そして現在は冬だ。

 子供たちの服は以前に下着関係は魔法で作った。シームレスの肌着だとかね。だが季節は冬。室内は暖かくていいのだが、出かけるときには冬用の装備が必要になる。


 もともと持っていた服があったのだが、このところ成長著しい双子たち。サイズが合わなくなって作り直しを余儀なくされた。


 双子が着ているのは裏起毛のあったかスウェットだったりする。


「ほんと錬金術、神」


 ケリュケイオンを抱いてアルビスは独り言ちる。

 変成と築城の合わせ技でほとんどの素材の分解と再構築が可能になったので毛皮のコートとか、毛皮の靴とか、かなり簡単に作れるのだ。ズボンも。

 あと革の飛行帽を合わせれば防寒具は完ぺき。


 まあ、ペチカのおかげで室内ではそんな必要はないのだけど、外に行くときには必要なものだ。

 余分も含めていくつか作る。


 そしてカナリアのものも作る。


 先日つくったばかりだったが別に服が一つでないといけないわけではない。

 ましてあの頃に比べると格段に寒い。寒くなっているのだ。

 ならば寒さに強い戦闘服が必要だろう。


 といっても最初から服をデザインするような才能はないので町で冒険者用の服(古着)を買ってきてそれを手直しする。


「じゃあ脱いで」


「はい♡」


 カナリアはスポーンと全裸になった。


「あー、パンツは脱がなくてもいいかな?

 それと少しは恥じらいを持った方がいいと思う」


「いいえ、私のすべてはアルさまのものです。アルさまに隠さなくてはならないモノなんかありません。

 アルさまがやれと言うなら何でもやります。

 ええ、どんなことだって!」


 手を握り、目をキラキラさせて力説するカナリア、最初のころの恥じらいは既にかけらもない。

 だからと言って彼女に羞恥心がないというわけではなく、本当にアルビスが相手であればどんなことでもOKと思っているだけだ。


 もしアルビスが頭の中を見てみたいなんて言ったら自分で頭をかちわれるぐらいには忠誠心にあふれている。アルビスに対する依存度は天元突破だ。

 というかもう狂信?


 だけどそんなことはわからないアルビスはちょっと残念な子だな。なんて思ってカナリアを見る。

 かたちのいいおっぱいがぷるるんとゆれた。


(こんなに美少女なのに性格が残念なんて…)


 あわれだなあ、なんて思うのだが、カナリアの真実に気が付いた時にアルビスは震撼するだろう。


「下着は着ておいて、そのうえで着る服を作るから」


「はい。わかりました」


 カナリアは前かがみになって下着を拾う。

 くるりと向きを変えて。

 その体制はヤバイ。アルビスはため息しかでない。



 さて、今回は長ズボンである。

 皮の長ズボンだ。防御力が高い魔物の革製で、これを裏起毛に改造した。


 カナリアに穿かせてサイズを錬金術で調整して…


「それで動いてみてくれる?」


「はい」


 カナリアは運動を始めた。オッパイは放り出したままである。

 アルビスは無心になった。残念なものを見る目である。


 でも仕事はするのだ、動きを疎外するような部分に余裕を持たせ、あるいは柔軟性を上げ、ぴったりに仕上げる。


 さらに上を着させる。

 ブラジャーは既に作ってある。シャツは普通のもの。

 その上に長袖のチャイナ服のようなデザインの上着を合わせる。


 おしゃれで暖かそうなデザインだがこれも魔物素材で防御力が高い。

 特に襟が立っていて喉をカバーできるのがいい。これもミスリルを編みこんで補強した。


「おっ、中華なお嬢様武道家な感じでかっこいい」


 もこもこの帽子を合わせると似合いそうだ。

 角は出すべきなんだろうか? しまうべきなんだろうか?


 そして。


「じゃあ、僕はそろそろ約束の時間だから行ってくるね。留守番を頼むよ」


「「う~~~っ」」

「う~~~~っ」


「やっぱり一緒に行ってはダメですか?」


「ダメだめ。相手がまともなやつかどうかわからないんだからエドとアーネを連れていくのは論外だよ。その点カナがいてくれてよかった。

 最近はいろいろ頼りになるからね」


「はっ、はい、お任せください。

 お二人は私がお守りします」


「うん、それもそうだけど、今日のご飯の支度もお願いね、少し遅くなるかもしれない」


「二人ともカナの…ことをお願いね。ここは僕らの秘密基地だから、ちゃんと守ってね」


「「うん、わかったの」」

「「悪いやつはやっつけるの」」


 アルビスは鷹揚に頷いて秘密基地から飛び立った。

 カナリアの言うこと聞くんだよという言葉を飲み込んだ。なんかヤバ気な気がしたのだ。


◇・◇・◇・◇


 そして現時点。


「おう、こいつが収納魔法が使えるというガキか」


「ええ、間違いありません」


 アルビスは目の前でふんぞり返っている大男を見た。大男というのは背が高いということだけではなく肉付きもよいという意味だ。

 ただ脂肪のみというわけではないようだ。腕なんか丸太のように太い。


(腹もふといけどね)


 そしてものすごく目つきが悪い。凶悪というより人を馬鹿にするのになれているような眼だ。


 そして相槌を打った男はアルビスとの約束の場に現れた〝レーン様の使い〟という男で、こちらは普通っぽい男だった。

 ただこのアジトのような建物についた途端に着崩してチンピラっぽくなったけど。そして返事が『へい』じゃないのが吃驚だった。


 この部屋には他にも数人の男がいて出入り口を固めている。

 逃がさないという意志を感じた。


(まあ、無駄だと思うけどね)


「ねえねえおじさん、レーン様は?」


「まだわかんねえのか、脳のないガキだな」

「まあ、だからあっさり騙されるんすよ」


(おっ、下っ端いた。下っ端その一とよぼう)


「おめえは今日からここで働くんだ。その収納魔法ってのを役に立ててもらおってわけだ」


 ボスがにやにやしながらそんなことを言う。

 それを見てアルビスは思う。


(見るべき何物もない…という感じかな)


 賢いとか、強いとか、かわいいとかあればそれは価値があると思うんだが、この男からはそんな感じの価値があるような何かが感じられない。

 以前森で戦ったミジンコ男爵の手下みたいなやつだ。

 だから返事をする。


「え? 普通に嫌だけど?」


 一瞬の静寂の後、場は笑いに包まれた。


「ぎゃははははっ、スゲーぜこいつなんもわかってねえよ」

「案外大物かもな」

「まあ、すぐにわかるさ、いうこと聞かないとどうなるか」


「うん、確かにすぐにわかると思うよ」


 アルビスのその言葉とともにボスのうでがごとりと地面に落ちた。

 両腕ともに。


「ぐあぁぁぁぁぁっ」


「「ぼっ、ボス!」」

「おやびん!」


 一瞬にして大騒ぎ。

 それを縫ってアルビスはいくつかの魔法を行使する。


 まずはボスの治療。

 失血死されては話が聞けない。


 いきなりボスの出血が止まって傷口がふさがり皮膚が張っていくのを下っ端たちは茫然と見ていた。


 その間にアルビスは隣の部屋との境にあるドアに歩いていき。


 ガチャガチャ。

 鍵がしまってました。


「はっ、ははっ、バカなガキだ。とっちは出口じゃねえ、それにかぎがかかっている、開くものか」


 それは現実感を欠いたシュールな状況が言わせたのか、あるいは現状を認められない現実逃避感が言わせたのか。

 だが、それを言った下っ端はすぐに絶句する。


 アルビスは頑丈な鉄扉の取っ手をつかむと力任せに引っ張った。もちろんそんなことで開くはずがない。それは共通の認識だった。


 だが引かれた扉はあっさり開いた。

 メキメキ、バキッというありえない音とともに。

 鉄扉はアルビスに引かれてひしゃげ、次の瞬間壁からもぎ取られるようにして開いたのだ。


 何とかしろ、腕を直せと騒いていたボスも、下っ端たちにも沈黙が下りる。


「あー、やっぱりこんな感じか…」


 アルビスのサードアイに移った光景。

 破壊された扉の向こうには数人の子供が座り込んでいた。


 隅っこで抱き合うもの。

 少し年かさで、殴られたのか力なく横たわる者。

 そしてアルビスの目を引いたのは2歳ぐらいの小さな子供。


 泣いたせいでひどく折檻を受けたのだ。ぐったりしている。

 骨とかも折れていて、熱も出している。

 このままでは危ないだろう。一目でそう思える状況だ。


 この瞬間アルビスはここにいる男たちに容赦する気が全くなくなった。

 野獣死すべしである。

 あるいは悪、即、斬である。


 アルビスの魔力が漏れ出し、カタカタと周囲が揺れ出す。

 それは物理的なそして霊的な圧力となって周囲を満たす。その魔力にはアルビスの怒りの意思、そして許せないものに対する破壊の意思が乗っていて、それは男たちの精神を震撼させる。かなり強力な威圧プレッシャーだった。


「すっ、すぐに人を集めろ」


「へっ、へい」


 下っ端が動き出すが…


 ガン! 


 体当たりのようにしてドアを開けようとした下っ端はなぜかそのままドアに体当たりして跳ね返された。

 かなり痛そう。


「ダメっす。ドアが開かねえ」

「びくともしねえっすよ」


 それもアルビスの魔法。ドアは変成と築城で壁と一体化してしまっているのだ。だからそこにはもう、ドアなどないのである。


 アルビスは子供たちにヒールを飛ばし、そして男たちに向き直った。


「さて、せっかくだ、魔法の実験に付き合ってもらおうか」


 男たちは悪魔を見たかのように震えた。


 □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □


12月/アルビス7歳3か月/双子4歳11か月



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