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アルビス 自由なる魔法使い  作者: ぼん@ぼおやっじ


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02-33 新装備~油断~ろくでなしパートⅡ

第33話 新装備~油断~ろくでなしパートⅡ



 はい、買いました。


 短パンです。

 生足…ではありません。太ももまでの革製のストッキングをはいています。

 魔物素材で伸縮性があり、しかもそれなりの防御力。


 シャツは普通の生地のブラウス風のやつ。その上にこれまた柔らかい革のベストをあわせています。

 さて、問題の? 短パン。集めの生地で見た目デニムのように見えるもので。足の付け根の所がふわふわ毛が生えている。ウエストはベルトで占めるようになっていておなかの正面や側面などは動きの邪魔にならないように補強が入っていて防御力も高いらしい。


 冒険者用の服ということで、しかもいっちょ前に稼げるぐらいの冒険者向けということでちょっとお高かったが問題なし。


 足にはブーツ。手には皮の指だしグローブ。あと小荷物をしまうためのウエストポーチをいくつか買って、さらに補強用の素材として似たような生地のぼろ防具も買って準備万端。


「こんなもんかな。うんうん、清潔感があってかっこいいね」


 そう言う服ね。

 この世界魔物素材がいろいろあるので動きやすくて丈夫な服はいろいろあるらしい。

 今回は動きやすさと活発さを意識してコーディネイトしてみました。


 カナリアは髪の毛が短かったから、こういった感じが似合う。


「ねーね、かっこいい」

「ごっちんこ」


 弟妹にも好評。ごっちんこはつののことだ。彼女はドヴェルグなので頭に角がある。側頭部やや前側から頭に沿うように後ろにながれる角で、これが弟妹にはかっこよく見えるらしい。


「あとは戦闘スタイルだね」


 冒険者をやるんだから、ただ格好だけでもつまらないだろう。

 ある程度の戦闘力はあるに越したことはない。

 だがカナリアの魔法の適性はドヴェルグらしく火と土。パワーと防御力に長けた感じらしい。なので。


「前衛で盾役をやりたいと思います。

 アルさまを御護りします。

 エドちゃんもアーネちゃんも私が護ります」


「おっ、おう」


 なんか気合がすごい。

 アルビスは考える。


(盾役か…タンクというやつだよな。となるとすごい盾は必須だ。でかい盾で守りつつ攻撃。すると武器はどうするか…できれば、魔道具で銃を作れればいいんだけど)


 大きな盾を構えて攻撃を捌きつつ、銃撃で敵を倒していく。

 なかなかいいスタイルだと思った。


 それに銃ならば女の子でも十分な攻撃力が出る。

 ただ。


「うーん、まだ銃は作れないかなあ」


 魔道具屋を見学したので魔道具の基本的な構造は分かる。

 要は魔法陣を素材に組み込んで特定の魔法現象を、あるいは動作を起こさせるユニット。それが魔法道具だ。


 そういったデバイスを組み合わせて複雑な動きをさせる魔道具。つまり魔法的な機械なのだ。


 そしてあの工房でいくつかの魔法陣、魔法回路はコレクションできた。それで多少は何か作れそうな気はするのだ。


 だがそれでもさすがに銃が作れるまではいかない。


 もっといろいろな魔法陣が必要だ。


「まあ、いいや、なんでもかんでも一気には無理だからね、少しずつ行こう」


「はい」


「「はーい」」


 やるべきことは多々ある。


 まずギルドの依頼関係。

 太陽の牙というかアネモネからの連絡はまだない。

 そして尋ね人のレーン様の情報もない。これらは待つだけだ。


 作業としては秘密基地の制作。

 盾の制作。

 武器の制作。


 お金稼ぎはまだまだ余裕があるので遠い未来の枯渇を防ぐためにある程度稼げばいい。


 さらには精霊武器第三弾の制作。


 日常としては双子のお勉強。

 魔法修業。


 ついでにカナリアにも修業をさせる。


(カナリアは魔法の勉強を全くしていなかったみたいだけど、もったいないよね…)


 ここら辺もこの国のダメダメなところだ。


(でも、僕が口を出すところじゃない)


 国全体に責任を負う必要性など欠片も感じない。

 自分の身内だけでいいのだ。


 そんな日々が半月ほど流れ…


「よう、聞いたか?」

「なにをさ」

「最近、ギルドに素材を売りに来るやつに収納魔法が使えるやつがいるんだと」

「収納魔法だ? 何夢みたいなこと言ってんだ。あんなのはただの御伽噺だぞ。本当にいるわけないだろ?」

「いや、それが本当なんだよ、もう何人も魔法で素材を取り出すところを見たんだってよ」

「マジかよ、信じられねえなあ…」

「でもそんなのあると便利だよな」

「はははっ、大儲けだ」


 ギルドに納品に来た時にためらうことなく空間収納(インベントリ)を使うので、それを見かけたものも自然と増えてくる。

 人の少ない時間帯を狙ってきてもそれはどうしようもないのだ。


 見たものは驚愕し、見ないものは不審を感じる。

 でもバカというのはいるものなのだ。


◇・◇・◇・◇


 ガシュン!!

 という音が響いた。


 その日、アルビスは完成したカナリア用の武器のテストをしていて、そちらに意識を集中していたので油断していたというのはある。

 ただ相手がなかなかに使い手だったことも確かだ。


 音の正体は強力ないしゆみだった。

 撃ちだされた矢は狙い過たずアルビスたちに襲い掛かった。というか、狙いがいい加減だったから危ないところに行ったのかな。


 矢の飛び行く先にはエドがいた。


 もちろん守りがかかっていないわけではない。精霊たちも見回っているし、それぞれに権能を使って防御態勢をとっている。

 なのでもし放置しても攻撃は無効化されたかもしれない。いや、その可能性が高い。


 だが、だからと言って気が付いた者が『どうせ当たらないからほっておけ』などと悠長に構えていられるかというとそれは別の話。


 攻撃に一番早く気が付いたのはモップだった。

 モップは矢を迎え撃つべく前に出て、直撃を受けてしまったのだ。


「もっぷーーーっ」


 名前の付け方をね、間違えたかもしれない。

 モップの傷は致命的に見えた。


「おーい、ぶじかよ、魔物がいたから撃ったんだがよ」

「へへへっ、感謝してほしいな」


「黙りなさい無礼者!」


 カナリアが前に出て盾を構える。

 それはアルビス謹製のミスリルメッシュの盾だった。


 ミスリルというのは軽い金属で、取り回しがしやすい。

 熱にも強く、非常に強靭だ。しかも魔力が流れやすい性質があり、魔力はエネルギーなので流れれば当然に力場を発生させる。

 その性質ゆえに魔法道具を作る際の高級素材なのだ。


 それでも大楯ということになればそれなりの重さになる。


 それを補うために細いミスリルの棒で編み上げた細かいハニカム構造の板を、少しずらして三枚重ねるという作りにした。

 カナリアは魔法はまだだが魔力修業の成果は出てきていて構えた盾は淡く発光し、強靭な力場をまとう。


 つまり軽くて、風を切るために取り回しがしやすく、目が細かいので刺突に強く、構造から打撃にも強く、魔力による強化で斬撃にも強く、しかも力場は魔法に対して鉄壁というものすごい盾になった。


 形はヒーターシールドというやつで、大きさは先を地面につけるとカナリアの顔まで来る程の大きさだ。

 ほぼ全身が隠れる。


「おお、お嬢ちゃん勇ましいな。だがそんな軽い盾で何が防げるんだ? おっとまた魔物が!」


 ミスリルというのは緑色に輝く性質をもっているのだが、この盾は網目状のせいかその輝きが隠れて白くざらざらした表面をしているように見える。

 まさかならず者もこれがミスリルだとは思わなかったようだ。


 そしてならず者の攻撃。


 脅しのつもりで放たれた弩の矢は、盾の表面ではじかれ、あっさりと地に落ちた。


「なっ!」


「あなたたち程度のクズがアルさまの作ったこの盾に傷などつけられるはずがないです」


 どこからそんな自信が出てくるのかわからない。

 今日が初テストのはずなのだが。


 そのアルビスはというとモップに駆け寄って治療にあたっていた。

 弩の矢はモップの顔に深々と刺さっていた。これでは脳にもダメージが入っている可能性がある。


 この矢を抜くには…


 軽く引っ張るとモップがすごく苦しむ。

 エドとアーネも心配そうにモップをなでている。目にいっぱい涙をためて。モップは間違いなく家族なのだ。


「そうだ、空間属性」


 というか転移。

 ケリュケイオンで転移が使えるのだ、矢だけ転移することもできるはず。


 アルビスはサードアイで頭部を透視して矢を詳細に認識し、それを空間属性の魔力で包み、手元に引き寄せるつもりで…


「よし抜けた」


「そこからの【命の繭】!」


 権能二度目の行使。

 シュルシュルと細い光の糸が踊り、あっという間にモップを包み込んでしまう。


「よし、これでもう、心配はないだろう」


 涙目の弟妹に頷いてやる。


 そしてやって来たならず者たちに目を向ける。

 ならず者たちはカナリアの前で警戒を強めながらこちらの様子を伺っていた。


 カナリアがただものではないと気が付いたようだ。


 □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □


9月/アルビス7歳/双子4歳8か月




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