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アルビス 自由なる魔法使い  作者: ぼん@ぼおやっじ


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02-32 ピクニック~奴隷商売~お肉が売れた

第32話 ピクニック~奴隷商売~お肉が売れた



 飽きて我が儘を言う双子。

 だが良い傾向かもしれないとアルビスは思う。


 あの日、あの夜以降双子は我が儘もほとんど言わずに頑張ってきた。

 少し前だったらじっと我慢していただろう。


 カナリアを迎えたせいか、それとも人のいっぱいいるところにきたせいか、少しずつ子供らしさを取り戻しているように思えた。我が儘を言えるようになったのは良いことだろう。

 ましてささやかな我が儘なのだ。


「よし、じゃあ今日はお弁当を作ってお花畑でピクニックだ」


「「わーーーーい」」


 ぴょんこぴょんこ撥ねている。かわいい。


「カナちゃん、弁当を作ってる間子供達をお願い」


「は? いえ、はい、お任せください」


 カナリアから熱い視線を感じる。

 何だろう、この視線は…


 アルビスはちょっと背中がぞわぞわした…のだが、まあ気にしてもしょうがないと動き出す。アルビスは前世の記憶があるので人生経験豊富と言えなくもないが、それでも、どんな人間でも、触れたことがないものは理解できないのだ。


 双子をカナリアに任せたアルビスは手早くコロッケサンドとカツサンドを作り上げ、フルーツジュースを用意すると出発の号令をかけた。

 作り置きして空間収納(インベントリ)にしまってある食材を使うのでかなり早いのだ。

 そしてその料理は、慣れていないカナリアにはかなり衝撃的なものなのだが、これも気づけというのはむりか。


◇・◇・◇・◇


 外に出るとそこは青く澄んだ湖、水深は浅く、水底から木が生えて天を突くように伸びている。


 その上をキラキラと輝く虹に乗って歩く四人と一匹。

 奇麗なため好評で、エドワードの【ビフロストの橋】をアルビスが強化補助してみんなで渡っているのだ。


 特にカナリアには幻想的な光景に見えた。本当に夢のような。


(ひょっとして私はあいつらになぶり殺しにされて…死んでしまって、それを哀れんだ神様が最後に良い夢をプレゼントしてくれたのではないかしら…)


 そんなことすら思ってしまう。

 それほどに地獄に仏だったのだ。

 まあ、この世界仏教はないんだけどね。


 ただカナリアにとって今の状況は間違いなく救いだった。

 蜘蛛の糸である。


 それだけが救いであるという状況では人はそれに固執する。執着する。

 それは、それをもたらしてくれたアルビスに対する執着であり、同時にアルビスをそのまま有らしめればこの状況が続くという信仰になり、そのままアルビスに対する忠誠心に代わる。


 この時、カナリアの中にアルビスに対する絶対の忠誠の、その芽が芽吹いたのだった。

 またちょっとアルビスの背中はぞわぞわした。そんでもって本人はキョロキョロした。うん。

 分かってない。


◇・◇・◇・◇


 まあ、それはさておき。


 タアァアァァァァンッ!


「お肉だ」

「ご飯だ」


「うさぎな」


(なんか、動物が全部お肉になってないか?)


 動物はお肉。

 植物は野菜。

 木の実は果物。

 それ以外はよくわからない、でもお兄ちゃん《アルビス》が何かすればおいしくなるもの。


 子供たちの認識はこんな感じになってます。

 信頼が重いぜ。


 そして。


「取ってきました、アルさま」


「ああ、うん、ありがとう」


 ワンコが一匹。

 カナリア、ほぼ猟犬である。

 それに体の調子もよくてそれもうれしい。


「でもすごい魔法です。狙いすましたように兎を一撃です」


「うん、まーかせて」


 アルビスは通常の狩猟に関してはかなり自信を持っている。

 自分がそれなりに強いことも理解できた。


 まずサードアイを駆使して獲物を探すのだ。目を閉じて意識を全方位に切り替えると周辺の様子が脳裏に構築される。

 その中から獲物を探し、今度は目を開けてそこを注視するのだ。

 普通の視覚の中に魔力で知覚した映像が被る。この時点でロックオンだ。

 大量の草の中だろうと関係ない。獲物は丸見えである。

 それをライフルで狙撃すればいいのだ。


 巣穴などにいる場合は隠者の手を伸ばしてちょっと刺激してやればいい。追い出された獲物を狙うのも難しくはないのだ。


 しかもこのサードアイ、気配察知のような事もできる。

 正確に言うと周辺に飛び交う魔力の波のような物をなんとなく感知しているのだ。


 特に敵意とかわかりやすい。


 そんなアルビスに気になる反応が一つ。


 ここから見えるひときわ高く美しい山の方向にものすごく強い気配を感じるのだ。

 意識を凝らしても魔法を駆使してもとらえることができない。かなり遠いらしい。

 そして敵意ではない。


(あれって何だろう?)


 気になります。


「アルさま。これはギルドに売りに行くんですか?」


 カナリアにそう声を掛けられて正気に戻った。

 まあ、ちょっと数が多くて自家消費に向かない量になっているのでカナリアとしては当然の疑問だろう。

 だがアルビスにはそのつもりはない。

 ギルドの慣習で売れないのだ。


「うーん、出来れはそうしたいんだけどねえ…ギルドのルールで…あれ?」


「どうしました?」


「奴隷って冒険者になれるんだっけ?」


 それはちょっとした思い付きだった。


「はい、なれます。

 お金持ちの中には奴隷にチームを組ませて冒険者活動をさせる。というような事業も存在します。

 奴隷は契約魔法でしばられていますから裏切られる心配がありませんし…」


 奴隷に投資して金を稼ぐ。

 初期コストが高くなるが、うまくいけば一攫千金だ。

 安定収入とは言わないが、お金が余っているのなら投資の一形態としてはありなのだ。


「おおーっ、よし、明日は町に行こう」


 アルビスは決断した。


「「にいしゃま、おべんとー」」


 でも今はピクニックだった。

 キャベツたっぷりカツサンド。ソースがうまいコロッケサンド。まあ、サンドといっても食パンがないのでコッペパンなのだが。

 そこにフライドポテトたっぷりとフルーツジュース。


 アルビスはふと思った。『どこのマ●クだ』と。そしてさらに思った。『そうだ。ハンバーガーとシェイクを作ろう』と。

 たまに暴走します。

 そんな感じで楽しい一日だった。


 もちろん帰ってからアルビスは秘密基地の建築のために働くのだが…

 ちょっと仕事中毒気味のアルビスだった。


◇・◇・◇・◇


「おはようございます」


「あっ、ああ、おはよう」


 門衛に挨拶して町に入る。

 門衛はちょっと変な顔をしているが、これは当たり前だろう。

 普通の冒険者は朝、魔境に出かけていって、夕方には帰ってくるのだ。

 ところがアルビスは逆に朝町に入っていって、昼過ぎごろに魔境に戻っている。

 門衛も交代制なのですぐに気づいたりはしないのだが、なんとなく変じゃね? と思う者も出てきている。


 中には人がよくて、心配するようなものもいたりするのだが、今とのころ何があるわけもないのでスルーなのである。


 アルビスたちはそのままギルドに赴き、カナリアの冒険者登録をした。これは問題なく登録できた。


 ただ、注意事項が何点か。


 奴隷の犯罪行為は主人の犯罪行為になる事。

 奴隷を故意に死なせるような危険な依頼に向かわせるのは違法であること。

 などだ。


 奴隷は自由意志よりも主人の命令が優先させるので、奴隷を故意に死なせようとすれば、主人にはそれができてしまう。もちろん処罰対象行為だがそんなものは見つからなければいいのだ。そういうやつは必ずいる。

 なので一応、ギルドでも制限をかけているのだが…


『このギルドでまともに機能するのか?』


 という気がするアルビス。

 すでに信用のない冒険者ギルド。


 まあそれはそれとして、ギルドは利用する。

 登録が終われば後は売却である。


 カナリアは既に成人しているので普通に獲物《お肉》を売ることができるのだ。


 まだ時間が速いので買い取りカウンターはすいていた。


 このギルドは大きいのでお肉…じゃなかった。魔物の素材買取と、薬草なんかの買取は別の場所になっている。一階に広々とした獲物の買取り、解体場があるのだ。

 アルビスの今回の納品はお肉(魔獣)のみである。


 薬草類は自分で練成するという使い道があるのでお肉が売れるなら薬草を売る必要はないのだ。


「何だ、変なのが来たな。あー、番号札を持っているということは買い取りなんだろうけど…」


 買取のおっちゃんはいぶかし気にアルビスたちを見た。


 一番年長の女性は普通の少女で、冒険者らしい格好すらしていない町娘だ。そのうえあとは子供が三人だ。しかも全員手ぶらと来ている。

 一体何を売る気なのか? といぶかしんでいるその前で金色の魔法陣が出現した。


 アルビスはその魔方陣に手を突っ込むと次々と獲物を取り出してみせる。

 と言ってもウサギが8羽にウリボウが12匹。

 小物だが量としては結構なものだ。


「驚いた、伝説の収納魔法ってやつか?」


 別に空間収納(インベントリ)と収納魔法というのが別にあるわけではない。ただ珍しすぎて正しい情報がないだけだ。

 超珍しい、超貴重な魔法。という認識があるのみである。

 もちろんその性能に関して詳しい情報を持っているということもない。


 それでも壺中天のように空間をごにょごにょしてものをしまう魔法道具なんかもあるので、天地がひっくり返るような衝撃を受けたりもしないのだ。


「スゲーな坊主、その魔法があればどこでも雇ってくれるぜ、高給取り間違いなしだ。それだけで御大尽にも貴族にもなれるぜ」


 受付の親父は本気で、そして暢気に驚いていた。

 それを見たアルビスはおめでたいなあ、と思う。

 この権能の希少性、有用性を考えればそんな騒ぎでは済まないはずなのだが、この世界の人は基本情報弱者。世界的な希少性を考える者は少なく、物珍しさというのは自分が知っているか否か。それだけなのだ。


 だが、それは見る者が見ればということでもある。


(ただやり様は見つけたからね)


 アルビスは笑顔を崩さずに心の中でほくそ笑む。


 それを喜んでいると勘違いした親父は一人で得心して獲物の査定にかかった。


 獲物はすべて鋭い矢のようなもので射抜かれて死んでいた。まあ、銃撃なのだが弾丸が魔法で生成されているので残ったりはしない。見た目は小さい穴が開いているだけに見える。


「傷も小さいし血抜きは上手くやっているな。ああ、傷がよくないのもあるな…うーん、これとこれと…これがああで…うし!」


 おなかに銃弾が当たって内臓が…とか言うのもあったりする。


 ウサギ一羽4000円ぐらい。かける8で32000円ほど。

 パニック瓜坊は一頭23,000円。かける12匹で276,000円。

 合わせて308,000円。とりあえず日本円換算でお届けしています。

 これをこの世界のお金に直して。1金貨10銀貨16銅貨となります。


「傷が大きいのがあるから安くなったのがあるな。だが状態は悪くない方だ。減額も大した額じゃないぜ。中にはもっとひどいのもあってこの半分ぐらいになるのもいるからな。

 肉なんだからちゃんと食えないとだめだってのに!」


 なんか普段から鬱憤があるらしい。

 アルビスは査定表を窓口に出してお金をもらう。そういう手順だ。


 なんだか不穏なまなざしが感じられたが今日の所は何もなかった。


「せっかく来たんだからカナリアの防具を買っていくか」


「「さんせー」」


 とりあえず双子はなんにでも賛成します。


 一人アワアワするカナリアを引っ張って町に繰り出した。


 □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □


9月/アルビス7歳/双子4歳8か月


※ ウサギは一匹まる事買いで大体6500円ぐらいで売られています。今回は状態がちょっと悪かったので5800売りで、その七割が買取価格、4000円。×8で32000。

※ イノシシは一頭で35000円ぐらいが売却の相場です。ウリボウとはいっても普通サイズのイノシシです。今回は傷をみて33000が売値。その七割で23000で買い取りとなりました。12匹で276000。



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