02-31 カナリア復活~パンツも復活~秘密基地は…後回し
第31話 カナリア復活~パンツも復活~秘密基地は…後回し
「うん、じゃあとりあえず全部脱ごうか」
「はう?」
アルビスの声にカナリアの頭は『?』でいっぱいになった。
まさか七歳の子供に全裸になれと命令されるとは思わなかったのだ。
(ななななっ、なんで? えっ、えっと…まさか?)
今まで服を脱がされるとそのあとは凌辱が続くだけだったのでパニックになるのは自然な流れである。
「とりあえず診察して、治療するから」
「ちちちっ、治療て…えっと、なんでしたっけ?」
治療は治療である。
ちーん。
「うーん、ひょっとして、神殿で治癒魔法とかかけられた?」
「はい、親切な神官さんが」
「うんうん、善意が善行とは限らないという見本みたいな話だね」
アルビスがサードアイでカナリアの身体を隅々まで診た結果、いろいろなダメージが残っているのが判明した。
骨折の形跡もあった。しかも手当てがいい加減で少し歪みが出ている。
打ち身なんかもかなりある。
「神官さんは回復魔法を掛ければそれで治るとか思っているんだねこれって」
「えっと違うんですか?」
「全然違う!」
つい力が入ってしまった。
「ひうっ、すみません」
ビクンと撥ねた弾みでおっぱいが揺れる。
お尻もプルプル揺れる。
「まあ、カナが謝ることじゃないよ」
骨折は骨をちゃんと元の位置に戻さないと歪みが出るし、打ち身は内部にダメージが蓄積するのでたんに治癒力をブーストする回復魔法では治るのに時間がかかったりするのだ。
人間の体の回復力には限界があるということだね。
それにカナリアはあのクズどもの扱いがひどかったみたいで体のあちこちに歪みが出ている。
内溢血なんかも散見される。
(全くクズどもめ)
「よし、治療の計画は立ったから、そうだな、その前に風呂に入っておいで」
「御風呂?」
「サウナじゃなくて湯船ね。エドとアーネが一緒に入ってあげて、使い方教えてね」
「「はーい」」
双子もスポポポンと服を脱ぐとやっぱり全裸で立っていたカナリアを連れてボールハウスのお風呂に向かう。
それを見てアルビスため息をついた。
カナリアの状態はそれほど悪かった。
クズどもはカナリアを人間扱いしていなかった。
自分の欲求を処理するためのただの道具として扱っていたらしい。
女性としての機能にダメージが大きく残っている。
鑑定では下腹部が常にシクシクいたんでいるらしい。
「鑑定って結局精霊さんたちが知っていることを教えてくれる機能みたいだよね。神殿のとは違う感じ?」
ハイ正解。神殿の鑑定は人物の鑑定で診察のようなモノではないのだ。診察用の魔法もあるのだがそれもやはり限界はある。使用者の知識によって機能が制限されるものだから。
そしてそれは回復魔法も同じこと。
つまり、知らないことは出来ない事なのだ。
一方アルビスの鑑定は精霊さんが知っていることをチクってくれるような感じになる。出てきた情報はアルビスが眉をしかめるような物だった。
「となると、あれだな、命の繭の出番」
じつのところこれがどんな性能なのか詳しい事は分からない。だがこの権能に関してはアルビスが細かい制御をしなくてもちゃんと対象を治してくれる。
「神様の奇跡的な何かなのだろう。うん、たぶんきっと」
そんな認識である。
まあ、アルビスは地球でため込んだ知識があるので回復魔法でもかなりの治療ができる。遺伝子の存在や、増骨細胞の存在を知っている以上、部位欠損も直せるのではないかとアルビスは思っている。
なのでアルビスの魔法は神官の使う魔法よりはるかに高性能なのだ。
だけどさすがに女の子の体内の、女の子の機能まで詳しくは知らない。まあ、医学書ぐらいは呼んだことはあるのだが、そこは神様の神秘といったレベルの話なのでさすがに無理がある。
だから権能に頼るしかない。
「これも直せると思う。うん、行けるだろう」
そう決めた。
風呂からはきゃっきゃウフフな声が聞こえてくる。
子供には、小さな子供には心の傷をいやす力がある。
そして、女性のおっぱいにもそれはあるのだ。
双子はカナリアの母性に癒され、カナリアは子供たちのかわいらしさに癒されている。
「してみればこの組み合わせはベストマッチングってやつか?」
うん、そういって支障はないだろう。
◇・◇・◇・◇
「ねーね、ねんこ?」
「そうだね、ねーねはちょっと怪我をしたんだ、でも二人が夜三回ぐらい寝たら治るから心配ないよ」
「ふーん」
「ぼくねーねすき。またねーねとおふろはいる」
「あっ、あたちも」
「そうだね、なおったらそうしようね」
風呂から出たカナリアに回復魔法と称して権能を使い、命の繭を実行した。
今は本当に半透明の繭に包まれて胎児のように眠っている。
使ってみた感じ、ダメージを修復し、健康と言える状態まで回復するのにそれぐらいだというのが分かった。
意外と早かった。
『部位欠損だともっとかかるでありますよ。ただ、カナリア嬢の場合、身体はそろっているでありますから』
ということらしい。
あと骨の歪みもあまり大きくなかったのがよかった。
でその繭は部屋の隅に置いておいて、今は…
「おべべを作りましょう」
「きゃーーーっ」
「わーーーいっ」
うん、君ら分かってないよね。
これは古着屋で古着を触っている時に気が付いたのだ。
服だって変成で作れるんじゃね? と。
それに気が付いてすぐに生地屋に走った。
自分で服を縫うのが当たり前ということは、服は売ってなくても生地は売っているのだ。
そして生地屋に行ったら想像以上にいろいろな生地があった。
麻布のような物。綿のような物。タオルのような物。
話を聞くと魔物の毛などで編まれたものなどもあり、そのせいで種類があるようだった。
アルビスはそれらの生地の中からコットンのような生地、ガーゼのような生地。パイルのような生地を購入した。
コットンはかなり伸縮性もあるものを選んだ。
『それも魔物の毛なんだよ、綿みたいだけどね、綿よりもずっと伸縮性が高いんだ』
そう言われたときはびっくりしたが。
まあ、そんなわけでその生地を切り出して何とか形を作り、継ぎ目を融合させてパンツにする。
アルビスは乱読家ではあったが服飾関係は読んだことがなかった。
なので立体裁断なんかわからない。これが分かればもっと簡単だったのだが、わからないものはしかたがない。
「まあ、とりあえず作って修正しよう」
ということで何とか形になったパンツを二人に穿かせて、そのうえで変成を使って形を修正。ちゃんとした子供パンツが何とか形になった。出来上がったのは完全に縫い目のない、まるで最初からそう言う形に織り上げられたかのようなパンツだった。シームレスパンツ。
そしたら最初の一個を分解して型紙代わりにしてあとは量産。
シャツはちょっと反省してやっすい生地で型紙ではなく型布を、同じ方法で作ってあとは作るだけ。ケリュケイオンがあれば楽勝だった。
なんかものすごい使われ方してるな。
とりあえずかくして双子の下着五セットが完成したのだった。
「にいしゃま、あーねこれすき」
「きゃーーー、きもちいいのー」
新しいシャツとパンツを身につけて双子は大はしゃぎだった。
まあ、後日改良としておまたの所を二重にしたり、腰の所に紐を入れたりとかして少し手を入れたんだけどとりあえずこれで何とかなった。
アルビスは見た目地球の子供のようになった双子を見て大変満足した。
そして。
「うん、いい」
久しぶりに穿くブリーフは実に履き心地が良かった。
シャツもサイコー。
そしてそれらが完成した日、繭の中で眠っていたカナリアが復活した。
「どんな感じ?」
「はい、すごくいいです。
楽になりました。ぐすっ…
あっ、ありがとうございます…」
そして下腹部をさすりながら。
「おなかの…ズクズク痛いのも…なくなった…
いたくないです…痛くない…
ううっ、あり、ありがと…ござま…」
カナリア、涙の完全復活だった。
裸のうちにともう一度子細に診察しても特におかしいところは見当たらない。
とはいってもアルビスも専門家ではないので鑑定と権能を信じるしかないわけだが。
「よし、じゃあ、せっかくすっぽんぽんなんだから。ちょっとそのまま付き合ってね」
はい、今度はブラとパンティーを作りました。
子供用と違ってお尻や胸の丸味に合わせて布を成型したのでちょっと手間がかかった。
そして発見。
「なんてことだ、一回完成させるとあとは型紙とか必要ないじゃん」
一度やると構造が記録されるらしい。なのであとはフリーハンドで行ける。しかもケリュケイオンを使うと半分オートマチック。
ちょっとがっくり手をつきたくなるアルビスだったが…
「すごく着心地いいです。こんな服があったなんて。びっくりです」
カナリアの賞賛で復活。
しかしそんな服はここ以外には存在しないんですよ。
その姿を見てアルビスは思う。
「やっぱり女の子はこうでなくちゃ」
ブラとパンティーだけの女の子。飾り気がないのでスポーツタイプみたいに見えるが、この格好だと文化的というか、安心感がある。
何かを取り戻したような気がするアルビスだった。
「さて、治療が終わってカナリアも常態に復帰したのでこれで新メンバーでスタートということだね。これでやっと秘密基地の制作にも取り掛かれる感じかな」
「おにちゃ、おでかけしたい」
「にいさま、おはなばたけいくー」
あっ、子供たちが飽きちゃった。
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9月/アルビス7歳/双子4歳8か月




