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アルビス 自由なる魔法使い  作者: ぼん@ぼおやっじ


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02-27 シン・秘密基地~薬草買取~ギルドの堕落

第27話 シン・秘密基地~薬草買取~ギルドの堕落



「うん、いいね、今日はここにテントを出そう」


「「わーい」」


 それはなかなかによさげな場所だった。

 町のゲートからは2時間ほど山を登ったあたり、空を飛べは15分だけど。


 メインの登山ルートをハズレで進んでいくと森があり、そこをさらに進んでいくと青く輝く湖についた。

 湖が青く輝いているのはスライムがいっぱい生息しているかららしい。


 じつは湖の中からも木が生えていて、向こうが見えなかったのだが、アルビスが魔識覚で確認するとどうも崖になっているらしい。


 20メートルほどの断崖の南側が森になっているのだ。

 そしてここに湖があるのは上に小川があり、その水が下にながれてきているから。

 理想的な環境だった。


「森といってもそんなに大きくないせいかあまり動物もいないね、それにメインのルートからも外れているからほとんど人影もない。

 おまけに崖側はこちらからはほとんど見えない。あの崖を調べてよさそうならここに秘密基地を作ろうか」


「わーい、ひみつきちー」

「さんせー、さんせー」


 スライムは狩りの対象ではない。そしてスライムがひしめいているせいで魚のような生き物もいない。ここは狩りの対象としてはダメダメな場所だ。


 双子を抱えて崖の方まで飛ぶと上から流れてきた土砂のせいか、崖の下は砂浜のようになっていて数メートルの余裕がある。当然ボールハウスも設置できる。

 出入りが、普通は不便なのだがアルビス、ディアーネは空が飛べる。問題はエドワードだが、アルビス的には自分が抱えて渡せばいいということになる。


 だが本人はちょっと気になるよね、自分だけ自力で渡れないというのは。


 なのでそこは弟妹に甘いアルビス。頭を使う。


『何か方法はないものか?』


「うーん、操熱で歩く先の水を凍らせるとかできないかな?」


 できました。

 エドワードが進む先の水が凍って橋になる。

 それだけではなくて空気中の水蒸気だろうか、それまで凍ってキラキラと輝いていた。


「おおっ。

 エドエド、いいこと思いついたよ」


 早速段階踏んで練習開始。


 まずは水を蒸発させて水蒸気を多くする。

 次にそれを冷やして氷の粒にする。ダイヤモンドダストだ。

 あとはそれを隠者の手で固定してつなぎ合わせる。


 日の光を受けてキラキラと輝く靄のような橋が出来上がった。しかも光がプリズム分解するのか虹の色も見える。


「おお、素晴らしい。これぞビフロストの橋だ!」


 北欧神話に出てくる神界と地上をつなぐ橋のことだ。虹だと言われている。

 はるか昔から、そしていろいろな文化圏で虹を渡るというのは確実にロマンなのだ。


「わーい、びふろすとのはしー」


 はい、新しい魔法として登録されました。

 水は魔法で作ってもいいしね。ミストの魔法があるわけだから。


 もちろんエドワードも風の属性などを手に入れれば空中を歩くこともできるようになるのだろう。それでもこの魔法はエドの生涯を通じての得意魔法になった。


 さて、かくして湖の奥、人目につかないところにボールハウスを構えて落ち着いた三人。

 早速崖を調べてみるとかなりしっかりした岩でできている。


 高さ十数メートルもある巨大な断崖。

「いける。これなら秘密基地が作れる。すごくいいのができる」


 アルビスは確信した。


「ここに秘密基地を作ろうと思うんだけど、どうだろうか?」


 アルビスは提案した。


「「わーい、ひみちゅきちー」」


 多分何でもいいと思っている可能性が高いが、一応の賛同は得た。


 アルビスはまずボールハウスを設置してちょっとお茶してから桟橋作りに取り掛かった。

 今いるところは岸辺のようになっているが、雨で水位が変われば水没する可能性はある。

 とりあえず池に丸太を撃ち込み、50cmぐらいの所に丸太を使った桟橋を作るのだ。


 問題は木材の処理の仕方。


「とりあえず上に渡して、ロープで縛るか?」


「お家つくるるみたいにしたら?」


 子供たちの声援だった。


「うーん、そうだなあ…木材じゃなくて石ならいけるよな…」


 木でもできればいいのにと思ったところではたと気が付いた。


(なんで土に拘っているんだ?)


 それは築城で形作られたイメージだった。

 土を固めて石を作る。何かを作る。だから変成もそんなつもりで使ってきた。

 だが築城の魔法と同じことしかできないなら権能としての変成は必要がないのではないだろうか。


 そう気が付いた。

 これは正しい。

 変成は物質を分解して別の形、別の性質に再構築するものだ。

 言ってみれば『個体』に特化した錬金術。と考えていい。


「とりあえず試しね」


 アルビスは撃ち込んだ丸太の上に丸太を並べ、その接触部分に変成を使った。丸太を一度分解し、その繊維が絡み合うように組みなおして再構築。


「ケリュケイオン」


 ちょっと難しかったので錬金術補助神器でもある杖を召喚。

 ちょっと苦戦したが組み合わせたような形なのに継ぎ目の全くない丸木橋が完成しました。


「おおーーーーーっ、成功した!」


 それは偉大なエポックメイキング。


「これならパンツとかも作れるじゃん!」


 うん、裁縫ができなくてもこの方法ならいけるよね。

 布の繊維を分解して再構築すればいいのだ。


 日本の記憶のあるアルビスはこの世界の服のありようにちょっと物申したいところがあったのだ。ちなみにアルビスはブリーフ派だよ。


 興奮冷めやらぬままにアルビスは桟橋のおくに穴を掘り進める。ちょっと奥に行ってから横に曲がり、岩肌に沿うような階段で少し上に穴を作る。

 ところどころ穴をあけで採光も忘れない。

 そこから奥に部屋を作っていくのだ。


 今回は前回よりもさらにいいものが作れそうな気がするアルビスだった。


◇・◇・◇・◇


 翌日。アルビスは工事に忙しい…というようなことはなく。ギルドに来ていた。

 昨日採取した薬草類を売るためだ。


 薬草、ヒール草、キュア草、リペア草、解熱や鎮痛に効くケイヒ皮、鎮咳去痰に効果があるソヨウ葉。など結構とれた。

 ある程度集めて一束いくらなので、どうしてもぴったりにそろえようとすると大変なのだが、品質を保持できる空間収納(インベントリ)を持っているアルビスには何ほどのこともない。


「すごいわね、よくこれだけ集めたわ。それに処理もとても上手よ。誰かに教わったの?」


「「かあさま」」

「はい、母から、母は医者なので」


 正確には医療魔法士というやつだけどね。


「まあ」


 窓口の人は最初に対応してくれたクロエ嬢だった。


 薬草10本一束、3銅貨×3

 ヒール草(葉っぱ10枚で一束)5銅貨×2

 キュア草10本一束6銅貨×1

 リペア草10本一束4銅貨×2

 ケイヒ皮50グラム2銅貨×500グラム

 ソヨウ葉二枚で一銅貨×8


 締めて52銅貨。

 銅貨は一枚500ぐらいなので26,000円ぐらいになる。


「むむっ、意外と高収入」


「食材と違って薬草類はね、結構貴重だからそれなりによい値でしょ、でもアルくんの取ってきた薬草がいいもので、それなりの量があったからよ。

 普通の子たちは…うん、まあ頑張ってね」


 ちょっと気になる。

 のでネタばらしをしてしまうと普通の少年冒険者は扱いも悪く、量も少ないために一回で10~15銅貨ぐらいが普通だったりする。


 これもギルドがなんもせんからだ。

 向上心がないのも問題だが。


 尤もアルビスはベアトリスの教えを受けているのでこの薬草からかなりの量の薬品ができるのを知っている。自分で薬を作って売ればかなり儲かるのだが、さすがにそれは目立ちすぎるような気がしたのでやめておくことにした。


「何やってんの」


 クロエと話をしていたら後ろからおばさんが手を伸ばして薬草を乱暴につかんだ。そして。


「結構傷があるじゃない、こんなの買い取っちゃだめよ」


「なっ、なに言ってるんですか。今のは係長の扱いのせいですよ」


「何よ、私の扱いが悪いっていうの?

 とにかくダメよ、こんなの買い取っちゃ、あたしが処分して」


「ああ、大丈夫です。うちで使いますから。それは戻してください」


 クロエとなんとなく汚いおばさんの会話にアルビスが口を挟んだ。


「え?」

「えっと、大丈夫なのかな? これじゃ、薬師ギルドも…」


 おばさんの扱いはそれほど悪かったのだ。おそらくわざと。

 そしてすぐに処理するのであれば問題にならない。

 時間を置くから問題になるのだ。

 アルビスはそれを知っている。


「問題ありません、僕は水神流練成医法門の門人ですから。ちゃんと家で処理します。活用します」


 そう言うとアルビスはバッジを見せた。

 母に魔法を教わるようになって、調薬を教わるようになって、まあ、一門の仲間ということで渡された身分証だった。


 それを見たおばさんの顔色がみるみる悪くなる。

 水神流は隣の領に本拠地を構える創薬系の最大門派だ。ギルド全体ならともかく職員一人で対抗できるわけもない。

 薬草の扱いが悪くて買取を拒否したなどと知れれば怒鳴り込んでくるし、そうなればおばさんは賠償金を科せられたうえで追放されるのは目に見えている。

 それにおばさんが原因なのは薬草の現物を見れば間違いなく特定される。


「ちょちょちょちょまって、待ってくれる? よく見たらこれは私の手のせいよね、ごめんなさい、うっかりしていたわ。

 ちょっと、ほんのちょっと、力加減を間違えたみたい。

 これは責任を取って買い取るわよ」


「えー、でもギルドでは買い取れないって…書類もそれで書いちゃいましたし、部長に…」


「えっ、えええっ、そうよね、わかってる。私の責任だから私が弁償するということで、

 やっ、薬草だけよね。

 えっと、9銅貨…9銅貨ちゃんと…」


「あっ、でも実績が…」


 ギルドに納品などすると実績ポイントがたまって、ギルドランクに好影響が出る。


「ああ、うん、品質もいいみたいだから…その分ボーナスポイントで、補填してあげて、じゃあ、頼んだわよ」


 逃げるように…まあ、逃げたのだが…いなくなるおばさん。ちなみに汚いというのはケバイという意味だ。ちょっとすごい化粧だった。

 自分の長所を伸ばすのではなくひたすら派手に飾り付ける感じのやつ。


(こんなのがのさばっているようではギルドの将来は暗いような気がするなあ)


 外に出て活動するとこの世界の残念感が増していく。


 おまけ。


 カウンターから目から上をにゅっと出して愛想を振りまく双子は大変に好評だった。


 おまけのおまけ。


 そんなアルビスたちをじっと見つめる目が四つ。

 彼らは精霊たちが積極的にアルビスたちの周辺を探索して御注進に及んでいるのを気が付いていなかった。


 □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □


 9月/アルビス7歳/双子4歳8か月


 □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □


 やはり『真』は『シン』と表記されるべき?

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