02-23 謎の美女~楽しいお風呂~アルビスの知らない物語
第23話 謎の美女~楽しいお風呂~アルビスの知らない物語
その人は美女という言葉がふさわしい女性だった。
(20台? 30台かな?)
小娘ではない。女性である。
かなりきれいで、スタイルもいい。
色白で髪の色は銀。いや、黒っぽく見えるから黒鋼色というべきか。髪は長髪のようでまとめて上げてある。目は澄んだ緑色だ。
「「ふわーっ」」
子供達もそのきれいさに感嘆。
堂々と全裸で、歩くたびに形のいい胸やおしりが震える。
ただアルビスは気がついた。
(足を引きずっている?)
動きを見ていると膝がうまく曲がらないようだった。
その女性はアルビスたちの前までくるとぎこちなくしゃがんで。
「おばちゃんも仲間に入れてくれる?」
なんて聞いてくる。
「「いいよー」」
はい、双子が落ちました。
一瞬だけお互いを見て即答。
これがおっさんだと事案発生だが女の人だと許される。
笑顔が優しそうな御婦人だった。
「かわいいわねえ」
彼女はそう言うと二人をそっと抱きしめた。
「「きゃーーーっ」」
嬉しそうな双子の声。抱きしめられたから二人の顔は女性のおっぱいに。
もそもそ動いて顔の位置を調整して、大きなおっぱいの感触に酔いしれる双子たち。
(そうだよな、まだ四歳だもんな。オッパイが恋しいよな)
そうなのだ、そういう年なのだ。
それを思うにつけミジンコ男爵に対する怒りが…
「こらこら、レムニアどの、開けっ放しじゃ子供たちが風邪を引くわよ」
さらにもう一人登場。
こちらはレムニアと呼ばれた女性よりも少し年上に見えて、レムニアと呼ばれた女性よりも背が高い。
(うわっ、ドヴェルグの人だ)
アールブと人間とならんで人類種族に数えられる火の種族。あるいは土の種族だった。
身体的特徴は濃い肌の色と頭の角という種族だ。
この女性も褐色の肌で、頭に羊のように丸まった角を持っている。
髪は黒で瞳は青だ。
「あらごめんなさい、フリーマ、閉めておいて」
「はあ、しょうがないなあ」
フリーマと呼ばれた女性は腰に手を当ててため息をつく。仲が良さそうなのでこういう関係なのだろう。
フリーマはアルビスに向き直る。
「それにしても偉いな君、妹たちのお風呂のお世話ができるんだ」
彼女はそう言うとアルビスの頭をなでなでする。
こちらもりりしい感じのなかなかの美女だ。
何も隠すことなく全裸なのでアルビスの目の前あたりに下腹部が来るのだが…
(うーん、なんというか反応しないな。性的に見えないのは僕が子供だからか?
でもやっぱりこの世界の女性もちきゅうとなんも変わらんな)
興味が変な方向に行っている。
「ほら君もおいで」
そう言うとフリーマはアルビスを抱き上げて椅子に座った。
レムリアと呼ばれた女性は双子とじゃれ合いながらヴィヒタで軽く二人を叩いてくれている。目を細めて嬉しそうに。
「今度は僕(私)たちがやったげるー」
そう言うと双子はヴィヒタを使ってしゃがんでいるレムリアの身体をぺしぺしと。
(これってたぶん日本的に解釈すると背中を流してあげるーみたいなやつなんだよな…)
ただアルビス的には違和感がばっちり。
そして違和感と言えばレムニアの足はかなり不自由らしい。立居がかなりぎこちない。そして…
じゃれて、抱き合って、ぎゅっとして、レムニアは終始嬉しそうに双子と戯れていた。だが時折すごく切なそうな顔をする。どこか遠くを見て、ここではないどこかを見て切なさを感じているような。
そのレムニアをフリーマは静かに見守っている感じだ。
ちょっと気になる光景だった。
ただそのうちにディアーネが『あちゅい』と言い出したのでここまでで終了。彼女たちが来る前から入っていたからね。
「エドちゃん、アーネちゃん、またおばちゃんと遊んでね」
「アルくんもね」
「「いいよー、またねー」」
そうやってお風呂美女遭遇事件は幕を閉じた。
名前? 勿論聞かれたので自己紹介はしましたよ。
「僕えどです」
「私はあーねです」
「アルビスです」
てな感じ。
◇・◇・◇・◇
「かわいい子たちだったわね」
「ああ、宿泊客の子供だろう。あのお兄ちゃんはしっかりした子だったな。七歳だそうだ。子供二人をつれて御風呂とか、親の信頼も厚いのだろう…大丈夫かね?」
「あら、先輩は心配しすぎよ、もう何年も前のことですもの…小さい子たちを見ていると…不思議と癒されるような気がするわ…」
「そうか、それなら良かった。
相談事…風呂でやろうということにしたが、思わぬ楽しい時間だった。
だがわざわざ訪ねてきたんだ。何かあったのだろ?」
フリーマがそうやって水を向ける。
「ええ、そうなの、実は昨年の後半にベアトリスから連絡があったの」
「ベアトリスか、お前の妹分だな、懐かしいな」
「ええ、手紙によると塩の鉱脈を発見したって書いてあった。魔境の中でレベルⅡからⅢの奥にかけて広がっていて、迷宮化している可能性もあるって」
「それはすごいじゃないか。もし迷宮化していれば際限なく採取ができるかもしれないじゃないか」
「そうなの、でもさすがに冬本番じゃ動きが取れないでしょ? だから年が明けてから調査の準備を含めてやり取りしていたんだけど…
ほら、わたくし王都に行かなくちゃいけなくて…
で王都に行ってたら急にベアトリスとの連絡がつかなくなったって…」
レムニアをほほに手を当てて〝ほう〟とため息話ついた。
「その間あんたの部下は何してたのさ?」
「それが私の指示待ちで何もしてないっていうのよ。師範も将軍もいるのに辺でしょ?
だからすぐに調査しろって指示書を急送して、私も大急ぎで帰ってきたの」
「で帰りつくなり私のところに遊びに来たと」
「あら、相談に来たのよ、うちの諜報部も動かすけど、今の状態だとなんか頼りないし、先輩の商売関係での情報が欲しいの」
「まあ、それは分かった、任せておきな」
そう言うとフリーマは立ち上がってヴィヒタの所まで移動する。水にヴィヒタを浸して体を叩く。大変体に良いと言われている。
「にしても、あの子たち可愛かったわね」
「おにいちゃんも面倒見のいい感じだったな。どこの子か、明日にでも調べておこうか。
三人兄弟で、このホテルに泊まってるんだ、それなりの商家の子供当りじゃないか?」
「そうね、また会えるといいけど…まあ、迷惑かもしれないけど…」
コンコンと入り口のドアがノックされた。
「失礼します。レーン様、城から使いのものが、お命じになりました調査に関しまして、ご報告があると」
ノックの後、ドアをそっと開けた女性は騎士のいでたちで、彼女はレムニア・ティフォス・スクード辺境伯…通称レーン様に恭しくそう告げた。
「あら、まあ、早い方かしらね、じゃあ先輩、出来ればもう少しゆっくりしたかったけど、わたくし行きますね」
「ああ、こちらも情報を集めてみるよ、まあ、必要無くなったら連絡おくれ」
「はい」
そう言うとレーンはサウナを出て、手早く着替えると城に帰っていった。
その後。
「ももももも申し訳ございません」
一人の女性がフリーマに平身低頭で頭を下げていた。
彼女はサウナの前で案内をしていた女性で、アルビスたちを通してくれた女性だ。
そして、この時間は貸し切りにするようにと言われていたのをスポーンと忘れていた女性だったりする。
「仕方ないねえ、まあ、今回はいい結果になったから…ちょっとしたお仕置きで勘弁してあげる。子供たちを締め出すのはかわいそうだからね。
仕方ない部分はあるさ」
「あああああ、ありがとうございます」
サウナでそんなやり取りが。
そして…
「にいちゃま、やっぱりお風呂はちゃぷちゃぷがいいの」
「うん、僕も、でもおばちゃん好き」
「うんうん、久しぶりのおっぱいだったからね」
「「おっぱいすきー」」
子供らしくてじつによい。
話を聞くと町に湯船を持ったお風呂もあるというので調べてみようかと思う。
アルビスが考えに沈んでいると。
「お食事をお持ちしました」
と声がかかった。
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9月/アルビス7歳/双子4歳8か月




