02-22 ホテル(一流)~サウナ(オッパイ襲来)
第22話 ホテル(一流)~サウナ(オッパイ襲来)
じつのところアルビスはお金持ちである。
物持ちでもある。
ベアトリスが保管してくれていた自分のお金はもちろんあの時点で家にあったお金も目に付くものはもちだしてきた。
総額で金貨130枚ほどだろうか。銀貨なら2600枚以上。
領地の運営費として置かれていたものを含むのでこの金額になる。
これを持ち出してしまって大丈夫か? と一瞬思ったアルビスだったが、残しておいてもミジンコどもの懐に入るだけだろうと思ったので持ち出した。
領民が大変になるかどうかはミジンコ次第なのだ。
(でもあのクズどもじゃなあ)
ただ、現時点で領民に反抗されてはやつらの目論見は台無しになる可能性があるし、ミジンコ男爵の領地でも極端な圧政が敷かれているというような話は聞かないから一先ずはそれを信じるしかない。
であればこのお金はアルビスが有効活用する方がいいのである。
つまりこのレベルのホテルでも一年以上楽に暮らせる金額だ。ほぼ豪遊。節約すれば二、三年はもつ。
まあそこまで長引かせるのはまずいと思っているけれど。
さらにアルビスの収納にはかなり大量の素材が入っている。
あれ以降にためたオリハルコンやミスリル、ヒヒイロカネなどもため込んでいる。
保有する資産に関してはかなりのものだ。
あとはそれらの換金手段を確立させないといけないのだが、現状では手がないために情報収集ということにしている。
さて、そんな感じで宿泊を決めたホテルなのだが。
「うん、部屋はいいね」
L字型のリビングに隙間を埋める形の寝室。寝室はツインで、しっかりしたベッドが置いてある。といっても…
「うん、普通の布団だな。中身は…獣の毛? ウールか」
鑑定の結果■ウール、みたいなやつ■とでた。〝みたい〟が不安だ。
だが感触としては綿の布団に近い。
「この世界ってコイル式のマットレスとかないのかな?
もしくはウォーターベッドとか?」
カエルの革が完全防水で、しかも大量にあるので今度何かできないかなんて考える。
室内の装飾はシンプルでごてごてはしていない。
でも作りは悪くなさそう。
部屋に入ると弟妹にクリーンの魔法を掛けてきれいにしてやり、さらに室内用の楽な服に着替えさせる。
おもてをずっと歩いてきたのて結構丈夫な服をきていたのだ。疲れただろう。
双子は着替えると柔らかいベッドの上でゴロンゴロンし始める。
そんな時にドアがノックされた。
◇・◇・◇・◇
「子供三人? しかも幼児? 正気かね?」
支配人はホテルのカウンターにいた兄ちゃんの報告に顔をしかめた。
まあ、この報告で〝よしよし〟とかいうやつはあまりまともじゃないと思う。
彼がボーイの正気を疑うのは自然だろう。
だがボーイは言い募る。
「いえ、見た目は子供のように見えますが、あれは何か長命な種族的な何かで絶対にただの子供じゃないですよ」
ボーイにはそうとしか思えなかった。
この世界にもそういう伝説はあるのだ。だがエルフもドワーフも別に長命種ではない。それでも不死の賢者がどこかにいるみたいな話は受け継がれている。迷信のたぐいだとみんな思うんだが、もしかしたらと思う者も確かにいるのだ。
彼の必死な説明に、どうも嘘ではない。と考えた支配人はその部屋を訪ねることにした。
「お客様、失礼いたします」
ノックの後アルビスの応えを待って支配人は部屋に入った。
「お客様当ホテルの支配人を務めますディァフ・ニティスと申します。何かご不自由な点はございませんか?」
もちろん怪しんでますよ、とか、正体を見せろー、見たいなことはおくびにも出さない。まあ、状況的にそれしかない気がするのだが。
だが帰ってきたのはボーイの言う通り、子供とは思われない鷹揚でしっかりした応えだった。
「ああ、わざわざありがとう。今のところ不自由はないよ。華美でなく、それでいていいものをそろえている。よいホテルだね」
椅子に座って鷹揚に応えるアルビスは確かに七歳児には見えなかった。
それに対して双子は部屋の中で子供らしくしている。
支配人は思った。
『なっ、なるほどこれは尋常ではない。子供のなりをしているが応対は大人のそれだ。
ひょっとしてこちらの二人(双子のこと)が護衛対象で、彼は特殊な護衛なのかもしれない』
誤解が加速した。
この時点でも支配人には喧嘩を売ろうなどという意志は毛頭なかった。だってお金をすでにもらっているのだ。食い逃げならぬ泊まり逃げなどは発生しえない。
あとはお客様として信用できるかどうか。
支配人はアルビスたちを上客として扱うことに決めた。
なかなか肝の据わった支配人である。
「お客様、当ホテルは一階二階で解放されたレストランテも営んでおります。味に自信のある店でございます。お客様からはルームサービスを仰せつかっておりますが、レストランテではさらに多種多様な料理を提供してございます。
宿泊中によろしければ、また、レストランだけの利用でも大丈夫でございますので是非お試しください」
すぐに五時に食事を運んでまいりますと言いおいて支配人は下がっていった。
なかなかできる男である。
◇・◇・◇・◇
その確認の中で残念だったのが風呂の存在だった。
お風呂はやはりサウナだったのだ。
まあ自慢のサウナでハーブを溶かした特殊な水を用意してあって、それにヴィヒタ(白樺の若枝を束ねたもの)を浸して体を叩くという本格的なものだった。
それでも湯船はないのだ、残念。
「でも、まあ、水場ではあるから、ちょっと行ってお湯をざぶざぶ使ってもいいかな?」
なんて思う。
お風呂は魔法でどうとでもなるが問題は使った水の処理をどうするかなのだ。
その点、もともとお風呂であるサウナなら排水もしっかりしている。
「二人ともどうする? ご飯までまだ時間があるからサウナいく?」
「「いくーーーっ」」
まあ、サウナは久しぶりだからね。
というわけでやってきましたサウナ。
このホテルは地上五階、地下一階の大きなものだ。
地下一階にサウナはある。
この町は水の町で、地上を水が流れている。縦横に水路が張り巡らされていて。だがこれは、奇麗な水だが飲める水ではない。排水なども流れ込んでいるのだ。
では飲み水などはどこに? というと実は地下にある。
山からの清水の一部が地下に引き込まれていて、水道を通って町中に送られているのだ。
そこから井戸でくみ上げる形?
なので大量の水を使う施設は地下が便利だったりします。
そのサウナに近づいていくと…
「あら、男の子? この時間は女性の時間なんだけど…まあ、ちびちゃんだからいいわね、どうぞ」
サウナの入り口にいた人にそういわれた。
時間制で入れ替えをしているらしい。
そして当然ちび助はフリーパス。
ちゃっちゃと服を脱いでサウナに突入。
ひょっとして美女との出会いが…ありませんでした。
誰もいない。
「わーい、ひとりじめだー」
「ひろいのー」
「まあ、家の風呂に比べればね」
20人ぐらいは楽に座れる感じだ。
「はい、じゃあ二人ともまず頭を洗いますよ」
「「はーい」」
もう慣れた作業である。
水の権能【創水】できれいな水というかお湯を作って上から流す。それを使ってクリーンの魔法を行使、奇麗に全身の汚れを落としたら今度は回復効果のある潤い水を作って上からとどぱどぱと流す。
髪の毛つやつや、お肌しっとり。
まあ、子供の肌は無敵なんだけどね。
ちなみに三人の髪形はボブ? というかおかっぱ?
切りやすいんだよね。これ。
アルビスは見事な銀色で、エドワードがゴージャスな金色。ディアーネは淡い感じの金色だよ。三人そろうとなかなか見事。
そしてシャンプーが終わったらあとはお遊びの時間。
双子はまだ水は作れないからアルビスが水を用意してあげて、その水を小さなボール状にしてぶつけ合う水合戦。
当然滑って危ない場面なんかもあるがこれは隠者の手で各自頑張るように言い含めてある。さらに危ないときには精霊がフォローするから問題ない。
ちっちゃい子三人集まればそこはどこだって遊び場なのだ。
そんな時に脱衣所に人の気配が。
「二人とも誰か来たよ」
魔法を使っての盛大な遊びは当然秘密なのでここまでだ。
まあ、十分遊んだからいいでしょ。あとは普通に入る振りを…
「あらあら、楽しそうな声が聞こえていたのにやんでしまったわ」
双子が見てびっくり。
アルビスも。
それは見事な美女だった。全裸の美女。
オッパイの襲撃だ。
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9月/アルビス7歳/双子4歳8か月




