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アルビス 自由なる魔法使い  作者: ぼん@ぼおやっじ


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02-09 ケリュケイオン~その力~双子の成長

第9話 ケリュケイオン~その力~双子の成長



「驚愕のスペック!」


『あー、なるほどであります。武器の完成までこんなに時間がかかったのはマスター殿の制御能力が足りなかったこと、生成に魔力が足りなかったことが原因でありますな。

 現在マスター殿は知恵の円環を持っているであります。

 あの処理能力と魔力回復力が手に入って初めてこの杖は実体化できる。それほどのものだったようであります』


 杖をつかんだ時アルビスの脳裏に浮かんだ能力は6つ。


 誘眠。覚醒。安楽死。蘇生。錬金術。転移。だった。


 これらは神話に語られるケリュケイオンの力だ。

 ヘルメスの杖として名高いこの杖は医術と錬金術の象徴であり、伝令としてどこにでも入っていける権能を持つとされている。


 触れるものを眠らせる。眠るものを目覚めさせる。これはそのままの能力のようだ。

 安楽死は死にゆく者の苦しみを消しさり、安らかな眠りを与える力であり、蘇生は現代医学の心肺蘇生に近いもので、死んで間もないものを一時的に蘇生させるというもの。

 錬金術はまあそのままだね。素材をそろえれば自動で練成してくれる。

 転移はもちろん空間転移だ。


「うーん」


『どうしたでありますか?』


「大体の能力は把握できるんだけど…あくまでも大体だね。正確に細かくとはいかないみたい」


 そうなのだ。 杖を持った瞬間その能力が使えるというのは把握できた。だがそれがどこまで可能でどこまでが不可能なのかわからなかった。


『なるほど、吾輩も初めてでありますから何とも言えないであります。ただそういうものなのかと思うでありますよ。杖の能力も基本は基本として使いこなしていくのはマスター殿であります。きっとそういうことであります』


 なるほどと納得した。


「じゃあ試しに転移だね」


「「てんいー、なに?」」


「うーん、ちょっとやって見せるから…見ててね」


 そういうとアルビスは杖の転移を発動させた。

 とりあえず双子の後ろに。


「ふあ」

「にいちゃ」


 いきなり姿が消えたアルビスに慌てる双子。

 驚かせてしまったらしい。

 すぐに声をかける。


「後ろにいるよ」


 くるりと振り向いてアルビスを確認するなり飛びついてくる双子たち。どうもこの状況でアルビスが消えたという感覚は衝撃が大きすぎたようだ。

 抱き上げて、ブンブン振り回して少しケアの時間。


『どうだったであります?』


「うん、使ってみて初めてわかる事…だね。転移は認識範囲内に限られるみたい」


 アルビスが転移先を認識して、そこに自分を置くことのできる安全地帯が確保できていないと転移はできないようだ。

 ただ少しは押しのける力が働く。


「まあ、そうでないと転移先には空気があるわけだからね、核融合とかしちゃうし」


 つまり自分の入り込む場所にあるものを押しのけて転移。

 これは軽いもの、木の枝とかでも先の軽いようなところなら問題なく転移できる。

 しかししっかりとその場にあって軽く押しのけられないようなものがあるとそこには転移できないようだ。


 ならば次だ。


「よし、あの陰にイノシシがいます。兄ちゃんは転移でそこに飛んでイノシシを捕まえてきます。兄ちゃんが消えてもびっくりしなくていいからね」


「「うん」」


 ケアを忘れてはダメね。

 そして二度目の転移。

 草花が押しのけられてアルビスが現れる。


 その目の前にはイノシシ。

 全く同じポーズとかではない。ちゃんとイメージしたポーズになっている。

 そしてケリュケイオンをふるう。


「寝れい!」


 とか言いながら。

 結果頭を殴られたイノシシはその場で熟睡をかました。

 完熟(?)である。


 パニックウリボウなので仲間が暴れ回るが数頭を同じように殴って眠らせ…昏倒させて行く。


「これってすごいんじゃない?」


 眠った無傷のウリ坊を引っ提げて再び転移。

 双子は拍手喝采だ。


「やあやあ、ありがとうありがとう」


 そんなことを言いながら転移について考える。


(うーん、そのまま瞬間移動というんじゃないみたいだね)


 感覚としては一歩前に進む、というのが近い。

 一歩進むとそこは転移したいと思っていた場所で、ワンアクション挟んでいるので杖を振り上げるとか、ちょっとジャンプするという動作もちゃんと反映される。

 転移というよりは跳躍だろうか。

 これはこれで便利だ。


「おにちゃ、とんかつ」

「さくさく~すきなのー」


 子供はフライが大好きだ。

 アルビスが最近フライを導入したので子供たちはその魅力に取りつかれている。

 トンカツは特にお気に入り。子供はお肉も大好きだ。


「うん、今日はトンカツな(しかしパンが心もとないな…)」


 パンは現状持ち出したものとアルビスがかすめて隠していたものしかない。

 小麦はいっぱいあるから炭水化物は問題ないが、パンがないとパン粉が作れない。


「よし、今日はトンカツとして、明日は唐揚げにしよう。しょうゆベースで、味醂がないけどお酒はもっているし、ニンニクとかしょうが見たいな野菜はあるし…うん、なんとかなるかな?

 砂糖はないけど蜂蜜か、メープルシロップあたりで代用できないかな?

 タレが何とかなれば魚の竜田揚げとかもいけるよね」


 何とかなりそうな気がした。


 喜ぶ二人をしり目に解体と実験を継続する。


 まず安楽死だが発動しなかった。


(うーむ違う気がする)


 感覚的に使えるような気がしないのだ。

 なので解体を優先してパニックウリボウの一頭の頸動脈を切って血抜きをする。

 さすがにこの状態だと目を覚まして暴れるが、この時に安楽死の発動条件がそろった感覚がした。


 なので発動。


 苦しんでいたウリボウは途端におとなしくなり、そのまま永眠した。


(そうか…あくまでも死にゆく者の苦しみを取り除くんだ)


 つまり普通に生きているものにはきかないということ。

 まあ、入滅陣があるからできてもかぶるだけなんだけど。


 そしてウリボウが死んだ途端に今度は蘇生の使用条件が満たされた。

 さすがに人道的にどうかという気がしたのでクロノに指示を出し双子を魚取りに連れて行ってもらう。

 実験? もちろんやるよ。


「蘇生、発動!」


 発動したらウリボウが生き返った。

 ビクンとなってまた暴れる。


 だがそれだけだ。

 傷が治るわけでもないし、何か回復に向かうわけでもない。


「なるほど、これって病院なんかでやる機械的な蘇生と生命維持、そんな感じのものなんだ」


 機械につないで身体機能を肩代わりすれば『死なない』状態にはできる。

 生命維持装置を外せばそのまま死んでしまう状態でも機械が動く限り『死なない』のだ。

 この蘇生はその状態に近いものだった。


「うーん、でもこれって意味が…はっ!」


 魔法だ! とアルビスは思いついた。

 生命属性を持ち、様々な回復魔法や回復の権能を持つアルビスならこの状態になった生き物を回復、あるいは修復というべきかもしれないが、干渉が可能なのだ。

 であれば助けることは出来る。


「なるほど、さすが魔法の世界。すごいぜ」


 まあ、出来る人は他にいないとおもうけどね。

 そしてウリボウはそのままお亡くなりになってお肉にクラスチェンジしましたとさ。


 ちなみに錬金術はそのまんま。

 まずレシピが分からないといけない。なので精霊ウィキで調べられるレシピを落として、必要な材料をそろえて、この能力を発動させると初級ポーションなどが練成できた。

 レシピは自分で登録しないといけないらしい。ただそれでも。


『錬金術というのはなかなか大掛かりな設備が必要なのでありますが、この杖はそのすべてを魔法的に処理してしまえるわけでありますな』


 これもすごい。

 ガラス瓶とか作れればこれでもお金が稼げるぜ。


 とケリュケイオンの実験はこんなかんじ。

 その日三人の晩御飯は約束通りトンカツでした。

 トンカツと簡単お好み焼き。

 できるだけ粉ものでごまかそう。ということで。


 そんな日々が続き、6月が半ばになったころ、双子の精霊が相次いで次の属性に目覚めた。

 エドワードが火、ディアーネが風だった。

 土とか水とかどこ行ったの?


 □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □


現在まだ五月。

アルビス6歳8か月

双子4歳4か月。



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