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白馬の騎士の剣の前に敵大艦隊は殲滅されました

翌朝、出陣の前に私はその訃報を聞いたのだ。

エンゲル王国に反旗を翻した子爵家の一族が、貴族たちの前でエンゲルに処刑されたと聞いて私は絶句した。


その娘は私と同じくらいの年だったと言う。

兵士たちの慰みものにされて処刑されたのだとか。


「そんな」

私はショックのあまり放心してしまった。

私がハウゼン侵攻に頷いたばかりにこんな事になったのか……


私は唇を噛んだ。


「その者達に手向けます」

私はそう言うと自分の長い髪を小刀で切ったのだ。


「えっ。アデリナ様」

ノーラは私の髪を見て絶句していた。


「リナ!」

慌てて飛んできたルヴィも唖然としたが、私は首を振ったのだ。


「ごめん。ルヴィ。もうエンゲルを許しておくことは出来ない。でも、私では何も出来ないから、お願い、絶対に奴らを叩きのめして」

私はルヴィにお願いしたのだ。


「元々そのつもりだ。任せろ」

そう言うとルヴィは私を抱きしめてくれたたのだ。

私は目から漏れ出す涙が止まらなかった。




「よし、全軍に伝達だ。出撃するぞ」

ルヴィは大声で宣言してくれたのだ。


「全軍出撃準備」

「全員乗船だ」

「全員乗船」

騎士達は一斉に船に乗船を始めた。


私もルヴィと一緒に船に乗った。


「全員乗船完了しました」

「よし、出港だ」

ルヴィが合図をした。


「帆を張れ」

「帆を張れ」

船員たちが船を駆け回る。


帆が一斉に張られて、帆船がゆっくりと動き出した。


港ではクリスたちが手を振ってくれていた。


私も手を振り返した。


ゆっくりと船が動いて行く。


港が見ている間に離れて行った。


自然の堤防を超えて外海に出る。


次々に出てくる船団は壮大だった。


皆、帝国の剣のマークを帆に掲げていた。


総数300隻が一団となったのだ。


船団は本軍がルヴィの100隻で、これが先頭だ。


その後も100隻毎に集団を組んで続く。


後ろを見ると壮大な眺めだった。


翌日の昼過ぎにはハウゼンの王都の港に到着する予定だった。


帆が風を受けて大きくたなびく。


船はグングンスピードを上げていったのだ。




翌朝だ。


「敵が見えたぞ」

「敵発見」


私達はその声に叩き起こされた。


慌てて服を着て甲板に出ると魔導通信が偵察の船から送られてきた。


そこには巨大なたくさんの鉄甲船が映っていた。


敵は巨大な鉄甲船を前面に出してこちらに向かって来ているみたいだった。


「どうする? ルヴィ」

ダニエルさんが聞いてきた。


「目標までの時間は?」

「この調子だと後1時間くらいです」


「よし、この船を前に出す」

「しかし、それは危険では?」

「やむを得まい。敵はあの鉄甲船でこちらの火矢や魔術の攻撃を防ぎ、逆にあの巨船の上から魔術で攻撃してくるつもりだ。俺が対峙するしかなかろう」

ルヴィは自信を持って言い切った。


「しかし、敵の攻撃がこの船に集中する可能性がありますが」

「判った、後ろ100メートルに魔術師が多く乗船している船を横に並べろ。少しは敵の攻撃も分散されるだろう」

ルヴィは少し考えて言った。


「それで大丈夫ですか」

船長が心配してくるが


「やるしかなかろう! 木だろうが鉄だろうが俺には関係ない」

そこには仁王立ちする剣聖エルヴィンがいた。


「了解しました。船の位置を入れ替えます」

船長が船の上の信号手に合図する。


マストに上がっていた旗の上げ下げで全軍に指示を飛ばす。


この船が先頭に立ったのだ。


まあ、ルヴィの言うことだから大丈夫だとは思うけれど、鉄甲船は結構大きそうだ。

その船も大きいのだが、鉄甲船には大きさでは敵わなかった。



「鉄甲船、見えてきました」

マストの上に登った見張りが叫んでくれた。


「よし、そちらに舵をきれ!」

船長の命令で船が少し左に傾く。


そして、しばらくすると遠くに巨大な鉄甲船が見えてきた。


それはグングン大きくなってくる。


本当に大きな船だ。この船の10倍くらいの大きさはあるみたいだ。

果たして本当に勝てるんだろうか?

私は不安になってきた。


船の上には多くの魔術師や兵士が居るのが判った。


こちらは両舷には3人ずつ魔術師が並んでいて、船首にはルヴィが仁王立ちしていた。


ルヴィは全く動じたふうには見えなかった。


敵の船の一角が光った。


と思う間に、火の光が飛んできた。ファイアーボールだ。

ルヴィが剣を抜き、ファイアーボールに斬りつけた。


ファイアーボールは真っ二つに割れて海に沈んだ。


敵から次々にファイアーボールが放たれる。


それは船の近くで次々に爆発した。


大半は海に落ちたが、命中しそうなのはルヴィや魔術師が攻撃して叩き落としてくれた。


その間にみるみる鉄甲船が大きくなってきた。


近づくにつれて至近弾が増えた。


「ようし、行くぞ」

そう言うとルヴィが剣を抜いたのだ。


ズン


ルヴィが真横に剣を振った。


凄まじい衝撃が前方に走り、先頭の鉄甲船を真っ二つに横に切り裂いていたのだ。


船は大きく傾いて沈んだのだ。


両横の船もその一撃を受けていて一緒に沈む。


残りの鉄甲船は7隻だ。


ルヴィが剣を次々に振った。


縦に真っ二つに斬られた鉄甲船は一瞬で沈んだ。


その後ろにいた小舟も巻き込んで一緒に沈む。


ルヴィが次々に振る度に鉄甲船が割れて沈んでいく。


1分も経たないうちに浮かんでいる鉄甲船は一隻もいなくなっていた。

残りはこちらと同じくらいの木の舟だ


「ようし、全軍攻撃開始だ」

ルヴィの合図に

「「「「おーーーーー」」」」

雄叫びを上げて帝国軍の船が突っ込んでいく。


鉄甲船をやられて呆然としている敵に帝国の船が襲いかかったのだ。

ルヴィの剣は圧倒的で、ルヴィの前に出た船は次の瞬間沈められていた。


エンゲルの大艦隊はほとんど何もさせてもらえずに、海の藻屑と化してしまったのだ。



ここまで読んで頂いてありがとうございます。

あと少しで完結です。

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