表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/52

公爵令嬢視点 恋敵を南の蛮族の王の生贄にすることにしました

私はクラーラ・アプト、このメンロス王国の公爵家の令嬢だ。

我が家はこの国では王家の次に地位が高い。

同い年にアヒム王太子殿下がいて、私は殿下とは幼馴染だった。殿下はとても見目麗しかった。

対する私もピンクのアプトの薔薇と近隣諸国にまで響き渡る美女で、当然、私がアヒム様の横に並び立つと思っていたのだ。

あの青髪の生意気な王女がこの国に来るまでは……


東隣のロンメル王国のもう一つ向こうの隣国、ハウゼン王国の王女は青髪の地味な顔立ちの女だった。

そして、学園に留学してくると同時に、美人の私を押しのけてアヒム様の婚約者になったのだ。


私は許せなかった。


そんな私にアヒム様は

「クラーラ、申し訳ない。アデリナの件は強引にハウゼン王国が押し込んできたのだ。ここは我慢してくれ」と言われた。


「いずれなんとかするから」

とも。

そう言われれば、私としても納得するしか無かった。


しかし、アデリナは生意気にも私によく、

「アヒム様には私という婚約者がいるのですから、クラーラ様もあまり、アヒム様に近寄られないほうがよろしいのではなくて」

と言ってくれたのだ。


本当にムカつく。アヒム様は私の方が良いと言ってくれているのに。お前こそ自国に帰れば良いのに! 私は何度そう思ったことか!


こうなれば学園で虐めてやろうと私は考えたのだ。幸いなことに私は友人も多い。

でも、将来のことを考えて、私の派閥からも何人かがアデリナの元に走ってくれたのだ。

私は歯ぎしりしてそれに耐えた。


いつの間にかアデリナは一定の勢力を作って、私に対抗してきたのだ。


私がどれだけ悔しかったことか!


そんな我家にハウゼンの南の大国、エンゲル王国より、友好の使者が来たのだ。まあ、エンゲル王国を南の蛮族と蔑む向きもあるが、我が家はアデリナに対抗するために、使者を歓待した。


それから何度かエンゲル国より使者が来るようになった。どうやら、エンゲルはハウゼンに攻め込もうとしているようで、その時はこのメンロス王国からハウゼンに援軍が出ないようにしてほしいと頼んできた。我が家としてはアデリナの母国が攻め込まれて勢力が弱まるのは願ってもないことなので、出兵には反対する旨を返事した。


エンゲル王国はハウゼンの少数民族を中心に反乱を起こさせて、そこに援軍と称して攻め込んだのだ。

ハウゼンの有力諸侯が裏切ったこともあって、エンゲル王国は1年後にはハウゼンを占拠してくれたのだった。

これは思った以上の成果だった。まさか、ここまでうまくいくとは思ってもいなかったのだ。


攻め込まれた時にアデリナは、アヒム様に泣いて援軍を頼んだのだが、アヒム様は私達が流したハウゼン国王の圧政が原因で反乱が起こったという理由を信じてくれて、

「自業自得だろう」

とアデリナを突き飛ばしてくれたのだ。


本当に胸がスカッとした。


亡国の王女となったアデリナに味方する者は、あっという間にいなくなっていた。


エンゲルの国王が側室にアデリナを求めていると使者から聞いて、父は何度も国王陛下に、「母国の無くなった王女など送り返してはどうです」と言ってみたのだが、国王陛下はなかなか頷かれなかった。アデリナをエンゲルに渡せばエンゲルに恩を売ることになるし、邪魔者もいなくなるのだ。これほど都合の良いことはなかった。


しかし、陛下は中々認められなかったのだ。情が厚いと言うか、何か別の理由があるのかは判らなかったが……


その国王陛下が帝国に招かれて訪問されると決まった。

ちょうど学園の卒業パーティーと重なる。その時にアデリナを国外追放してエンゲルの使者に引き渡せば丁度良かろう。私はアヒム様の側近たちといろいろと画策したのだ。


エンゲル国王は酷薄な性格をしていて、側室を慰み者にする性癖があるのだとか。それでなくてもアデリナがあの中年の豚のようなエンゲル国王の側室にされるのだ。これほど痛快なことはなかった。その上更に慰み者にされるとなると、泣き叫ぶアデリナの姿が目に浮かぶようで私はとても嬉しかった。


更に私は元々私の勢力に属しておきながら、アデリナ側に裏切った者達を呼び出した。


彼女らは必死に謝ってきた。コイツラを許すのは癪だが、後々またいじめれば良い。とりあえず、アデリナが私にいじめをするように指示していたと偽証するように強要したのだ。彼女らは二つ返事でこの案に飛び乗ってくれた。

これであの憎きアデリナを処分できる。私は期待に胸を膨らませたのだ。



そして、待ちに待ったアデリナ断罪の時が来た。


パシーンとアデリナを思いっきり張り倒した時の気持ちよかったことといったら無かった。


そして、味方だと思っていた者たちが次々に裏切って偽証していく様に、アデリナは絶望していた。


私はそれをほくそ笑んでみていたのだ。


最後に衛兵に連行される悲壮なアデリナの顔は本当に笑えた。


でもこれはまだ序章に過ぎないのだ。

これからアデリナは国境にてエンゲルの野蛮王の部下に下げ渡されて、野蛮王の元に送られるのだ。両親を殺させた張本人の側室にされるのだ。これほど痛快なことはなかった。

私は高笑いが止まらなかった。


ここまで読んで頂いてありがとうございます。

アデリナの運命やいかに?

次話は明朝です。


私の書籍化作品や人気作品の一覧が全ページ後書きの10センチくらい下に載っています。

よろしければ御覧ください

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

私の最新作はこちら

『傭兵バスターズ』元剣聖と悪役令嬢率いる傭兵団の冒険活劇https://ncode.syosetu.com/n3697jc/



アルファポリスのレジーナブックスにて

【書籍化】

しました!
2023年6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


■アマゾンへのリンク

■楽天ブックスへのリンク

■hontoへのリンク


手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

なろうの掲載ページ『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

第一部は書籍化の規約上3分の1残して後は他者視点で繋いでいます
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。


この話の

前の作品で二番人気の作品はこちら

『【電子書籍化決定】王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……』https://ncode.syosetu.com/n9991iq/

私の

3番人気の作品はこちら

『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』https://ncode.syosetu.com/n8311hq/

私の

4番人気で100万文字の大作の作品はこちら

『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』https://ncode.syosetu.com/n8911gf/

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ