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第一皇女が親の仇のエンゲル王を肥溜めの中に落としてくれました

ルヴィに会えたのはその日の遅くにだった。

なんかルヴィはとても疲れた顔をしていたのだ。


「リナ、昔みたいに俺を慰めてくれ」

そう言うと私に抱きついてきたんだけど……


「ええええ! ルヴィ、背が高すぎて出来ない」

私が文句を言うとルヴィは頭を下げてくれた。


「もう、本当に子供なんだから」

そう言うと私は手をルヴィの頭に伸ばしたのだ。


「いい子、いい子」

そう言ってルヴィの頭を撫でて上げたのだ。

昔は何かあるとよくやった記憶がある。

子どもの私にされると癒やされるのだとか。でも今は私も大人なんだけど……


「うーん、癒やされる」

そう言うとそのまま寝間着の私をベッドに押し倒してくれたんだけど……


ええええ! 何これ?


「ウホン、ウホン」

盛大に咳払いの音が聞こえた。


「エルヴィン様、いい加減になさいませ」

ノーラさんが控えてくれたのだ。

私は真っ赤になった。


「なんだ。ノーラ。良いではないか。俺はリナと婚約したのだ」

ルヴィが文句を言いながら私を起こしてくれた。


「まだ、両陛下の承認を受けていらっしゃらないのでしょう。それに受けたとしても婚姻の儀が終わるまでは許しませんから」

仁王立ちでノーラさんが言ってくれた。


さすがルヴィの乳母だ。


「リナ、両親が愚痴愚痴文句を言っているが、俺の気持ちは変わらん。絶対にお前と結婚するから」

ルヴィは言ってくれるんだけど、本当に大丈夫なんだろうか?

私が不安そうに見つめたからだろうか?


「リナ」

ルヴィが声をかけてきたので、そちらを向いたら

チュッ


といきなりルヴィがキスしてきたんだけど。


ええええ! いきなり!


その上、何回か唇を重ねた後に、ルヴィの熱い舌が、口の中に入ってきて私の舌を絡め取ってくれるんだけど……


ちょっと待って、息ができない……


私はルヴィが唇を離してくれるまで息も絶え絶えになっていて……


もう死にそうになっていたんだけど。


「エルヴィン様。もうそのあたりで……」

ノーラさんが停めてくれなかったら、もう窒息していたかもしれない。


私は真っ赤になって布団に潜り込んだのだ。


「お休み、リナ」

そう言うと、ルヴィがまたキスをしてきて……


今度はさっと終えてくれたけれど、ノーラさんに見られていたと思うと、私は赤くなって布団をかぶるとそのまま寝てしまったのだ。




翌朝、目覚めるとまた、ルヴィはいなかった。

今日も朝から両陛下と交渉しているらしい。

やっぱり難しんじゃないかな……私はだんだん不安になってきた。


「リナ、起きている?」

そこへ、いきなりクリスが突撃してきたのだ。


今回は寝室まで入ってきたんだけど……


「遅いわよ。リナ。あなたのためにショウを準備したから、すぐに来て」

そう言って私はノーラさんに着替えさせられて朝食を食べる間もなく則座にクリスの部屋に連れて行かれたのだ。ショウっなんだ?

私には不安しか残らなかった。

また、クラーラを虐めることを思いついたんだろうか?

私はだんだんクラーラが可哀想になってきた。クリスに言ったら何言われるかわからないから黙っていたけれど……



クリスの応接に入れられると侍女たちが私の食事を準備してくれた。


その前で、頭のはげた叔父さんが部下の人たちと一生懸命何か操作している。


「どう、グーテンベルク。うまくいきそう?」

クリスが一緒になにかやっていた。


私はお腹が減っていたので、クリスが準備してくれた食事を食べだした。


「リナ、食べながら聞いて」

クリスが私に話しかけてきた。


「彼は我が帝国の特務師団長のグーテンベルクよ」

「殿下、お初にお目にかかります。アロイス・グーテンベルクと申します」

禿げた中年の親父さんが頭を下げてくれた。でも禿げるにはまだ若いような気がしたんだけど……


「彼は、エンゲルのハウゼン侵攻を前もって報告できなかったから、お兄様に禿げにさせられたのよ」

「えっ」

私は驚いてグーテンベルクさんを見た。でも、こんなことはクリスが考えそうなんだけど……


「いや、禿にさせられたのはクリスティーナ殿下がそうおっしゃられたからで……」

「何言っているのよ。あのままほっておいたらお兄様が斬りつけかねなかったから、横から助けてあげたのよ。感謝しなさいよ」

やっぱりクリスが言ったんだ。

私は白い目でクリスを見た。


「まあ、そこは有難うございました」

仕方無しにグーテンベルクさんは頭を下げたんだけど。

クリスの下にいたら結構大変そうだ。


「本当にリナには悪いことをしたわ。特務がしっかりしていて前もって掴んでいたらエンゲルの侵攻は停められたのに」

「申し訳ありません」

グーテンベルクさんもまた頭を下げてくれたんだけど。


「いえ、国が滅んだのはそれを防げなかった我々にも問題がありますので、気にしないで下さい」

私は首を振った。


「良かったわね。リナが許してくれて。これでお兄様の怒りも少しは収まるわよ」

クリスが言ってくれたんだけど……


「閣下、準備終わりました」

部下の人が魔道具を操作し終えたみたいだ。

何が始まるんだろう?


「よし、写せ」

グーテンベルクさんが指示すると目の前に画面が現れた。

田舎の畑みたいだ。


遠くから立派な馬車が走ってくるのが見えた。


「えっ」

私はその馬車を見て驚いた。

その馬車にはエンゲルの国旗がデカデカと掲げられていたのだ。


「リナ、よく見ててね。私が出来るのはここまでよ」

クリスがなにか言ってくれるんだけど。この馬車はどう見てもエンゲルの王族の馬車だ。


「本当にこのような準備をするのは大変でした」

なんかグーテンベルクさんの顔が疲れ切っているんだけど……


「何言っているのよ。売られた喧嘩はちゃんと買わないと」

ニヤリとクリスが笑ってくれたんだけど、絶対に良からぬことを企んでくれているのが判った。


「作戦開始!」

現地からの声が聞こえた。


遠隔通信魔道具を使って連絡しているらしい。

これを使うのには近距離でも優秀な魔術師の方が数名はいるのに、これはどう見ても何百キロも離れているのだ。

後で聞いた所によると3箇所中継地点を設けているそうだ。

帝国の魔術師の多さに私は呆れる思いがした。



ダンっ


いきなり大きな音がして馬車のこちら側の車輪がぶっ飛んだ。


ヒヒーーーン

馬のいななきとともに馬車が大きく傾いて倒れたのだ。


中にいたでっぷりとした親父が馬車から投げ出されて、畑の中に突っ込んでいった……


エンゲル王だ。私は小説の中のエンゲルを思い出していた。でっぷり太った中年男だ。


でも放り出されたのは、畑じゃない。


普通は畑に叩きつけられるのに、クッションみたいに柔らかいのだ。


ズボッという感じで頭から突っ込んだんだけど……


これは絶対に肥溜めの中だ。


何とかもがいて顔を上げたエンゲル王は肥溜めだらけになっていた。



ええええ!

私は唖然とした。


「やった!」

「うまくいきましたな!」

クリスはグーテンベルクと手を取り合って喜んでいるんだけど。

応接内に歓声が湧いた。


「くっそう、これは何なのだ」

全身肥溜めだらけになりながらエンゲル王が叫んでいる。


「よし、全軍撤収だ」

グーテンベルクさんが指示を流す。


「リナ、見た? あなたを狙っていたエンゲル王に一泡吹かせてやったわ」

クリスは腹を抱えて笑っているんだけど。


「あのクソまみれの顔ったらないわね」

クリスが皇族らしからぬ言葉を発して笑ってくれるんだけど……


私も思わず少し笑ってしまった。


両親を殺した憎き敵なのだ。少しくらい笑ってもいいだろう。

私はそう、思ってしまったのた。


「すっとしたでしょう。あなたのためにやってあげたんだから、私も本当に友達思いよね」

大笑いしながらクリスは言ってくれるんだけど。

確かに私のためもあるとは思うけれど、絶対に本人が楽しみたいためだ。私は絶対にクリスに逆らうのは止めようと心に決めたのだ。


逆らったら肥溜めの中に落とされるのだけは嫌だと思ったのだった。


クリスはこの映像を大量に水晶の中にコピーして、周辺諸国に配ってくれたのだ。

エンゲル王の名前が肥溜め王に変わった瞬間だった。


ここまで読んでいただいてありがとうございます。

クリスに逆らったら大変です。

続きは明日。

そろそろ皇后陛下のお出ましです

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