帝国皇女が元婚約者の相手方にざまーしてくれました
不定期になってすみませんでした。山ごもりしていました……
何でクラーラを呼んだの?
私と友達になったと言うのは建前で、やっぱり私を馬鹿にするために、クラーラを呼んだの?
私にはさっぱり判らなかった。
でも、どっちかって言うと、クリスティーネは単純そうだから、今さら私を裏切ったりはしないのではないかと、私は期待した。
「リナ、あなたを蔑んだ、辺境の公爵令嬢を呼びだしたの! どうしたい?」
「えっ、私のためにわざわざ呼んでくれたの?」
「当たり前じゃない。私達友達でしょ!」
えっ? でも、友達になったのって、つい今しがたじゃない? 私は白い目でクリスを見たら、
「まあ、お兄様が激怒して呼び出したっていうのが現実だけど……私に好きにして良いって言ってきたのよ。だからリナの好きにして良いわ」
舌を出してクリスは言ってきた。
「どうしたいって言われても……」
私は戸惑った。
「さすがに兵士に慰み物にするってのは、帝国の規律に反するから無理だけど、公開処刑にするとか、ノコギリ引きの刑に処するとか、何でも良いわよ」
クリスは言ってくれるんだけど、
「それって、どんどんひどくなってない?」
私が驚いていうと 、
「何言っているのよ、あいつは一国の王女殿下をはめたのよ! それくらい当然じゃない。それともあなた、クラーラに何かしたの?」
「いえ、してないわよ。ただ、何かと煩くて面倒だから、何もしなかったのよ」
私が言い訳すると、
「馬鹿ね。そういう奴には最初にギャフンと言わせてやらないと。後々付け上がって来るわ。
私なら婚約者に手を出したのを知った瞬間、その場で、平手打ちにして、父親を呼び出してやるわ」
「呼び出してどうするのよ?」
「降爵か娘を修道院にいれるか、どちらかを選ばせるわよ」
「そこまでするの?」
私が驚いて聞くと
「当たり前でしょ。最初が肝心なのよ」
クリスは胸を張って言ってくれた。
私はクリスなら絶対にそうするのは良く理解出来た。
「で、どうしたい?」
「どうしたいって言われても……」
私は即座に判断できなかった。
「判ったわ。私に任せて、うまい具合にやってあげるわ」
クリスが胸を叩いてくれたんだけど、何か不安しか感じないのは私が気が弱いからなのだろうか?
帝国では皇女殿下でも、謁見室があるらしい。
私は御簾で隠された後ろに控えさせられたんだけど。どうするつもりなんだろう?
2段も高い謁見席の前でクラーラが跪いて控えていた。
「クラーラ・アプト罷り越してございます」
侍女さんが入ってきたクリスに報告した。
「私は使用人にまで、挨拶を受けねばならないのか?」
露骨にいやそうな顔をしてクリスが横の侍女に言うんだけど、呼び出したのはお前だろうと、私は思わず言いそうになった。
「いえ、殿下がそう仰るならば、下がらせますか?」
侍女さんは慣れたものであっさりと切り返してくれた。
「えっ、お待ちください」
あわてて、クラーラが声を出した。
「控えおろう。誰がその方に直答を許した」
クリスの切れた声がして、慌てた騎士が
「控えろ!」
と言ってクラーラを押さえ込んでいた。
「な、何をするのです。私はメンロスの公爵令嬢で……」
「ええい! 殿下の御前であるぞ。控えおろう!」
騎士が思いっきり、クラーラの頭を押さえつけて、ガツンという音がした。
私は良い気味だと少し溜飲を下げた。
「まて、待て、何か言いたい事があるようだ。言わせてやれ」
鷹揚にクリスが言ってくれた。絶対にこれは良からぬことを考えている目だ。私には判った。
「あ、有り難うございます。私はアプト公爵令嬢で、アデリナ元王女に虐められていたのでございます。それをアデリナ王女が王太子殿下に判らないようにしてたのを、たまたま王太子殿下が気付いて頂いて、元王女を断罪追放して頂けたのです」
「なんと、その方はとても図々しそうに見えるが、というか、アデリナ王女に虐められたら絶対にやり返したに違いと思ったのじゃが、素直に虐められていたと申すか」
「何を仰います。相手は国が無くなったとはいえ、一国の王女殿下。私目が文句を言えるわけなどございません」
「そうか、その方よりもはるかに地位は上じゃと申すのじゃな」
クリスが念を押す。
「左様にございます」
「さすればその地位の上の王女殿下を虐めていたらその者は処刑されるのも致し方ないかの?」
「いえ、それは……」
クリスの言葉にクラーラは口ごもった。
「なんじゃ、その反応は? その方は申したではないか。王女殿下は自分よりもはるかに上の地位のかたで、自分は虐めたこともない。もし自分が虐めてた事が発覚すれば市中引き回しの上、処刑されるのもやぶさかでないと」
なんか、クリスはクラーラの言ったことにどんどん追加しているんだけど……
「いえ、殿下、私はそのようなことは」
「なんじゃと! そう言うことはその方がアデリナ殿下を虐めておったのか? はるかに地位の上のアデリナ殿下を」
「いえ、そのような私は決して、殿下を虐めてたなどしておりません」
「虐めていないのならば良かろう! もし虐めていたら市中引き回しの上、処刑されるのもやぶさかではないと宣言できるじゃろうが」
クリスは畳み掛けた。
「それは左様でございますが……」
「そうか、認めんか。では、仕方ないの。それを認めたら我が方でその方を引き取ってやっても良いと思ったのじゃが、認めないのならば仕方があるまい。兄の方にその方を送るだけじゃの」
「お待ち下さい。第一皇子殿下はアデリナ様の肩を持っておられるとか。私の言う事など絶対に聞いては頂けません」
クラーラは慌てだした。
「では、王女殿下を虐めてたとはっきり判れば、市中引き回しの上で処刑ということで良いな?」
「致し方ありません」
馬鹿なクラーラは頷いたのだ。
「だ、そうよ。アデリナ」
クラリスはここで後ろを振り返ってくれたのだ。
私はミスから仕方無しに顔を出したのだ。
「お前はアデリナ!」
驚いてクラーラが叫んでいた。
「愚か者。王女殿下を呼び捨てにするとは何事じゃ」
ダンッ
またクラーラは後ろの騎士たちに押さえつけられて顔を地面に激突させていた。
「し、しかし」
「煩い。次呼び捨てにしたらその場で処刑するぞ」
「そんな……」
仕方無しにクラーラは黙った。
「アデリナ、このものはあなたに虐められたって言っているけれど」
「そんなの嘘よ。こいつは私が虐めていないのに、私に虐められたって嘘をついて私をアヒムに断罪させたのよ。その上、あなたのお兄様が助けてくれなかったら、私はあのままメンロスの兵士たちに襲われていたよ」
「なんという。この女は身分も低いくせに、王女殿下を虚偽の説明で断罪し、その上配下の兵士たちに乱暴させようとしたというのか」
「いえ、私はそのようなことは……」
クラーラは必死に言い訳しようとした。
「ええい、黙れ。貴様は直答は許されておらんわ」
「そんな私を嵌めようとしたのね。卑怯よ」
クラーラが叫ぼうとしたが、
「ええい、黙れ!」
後ろの騎士にまた押さえ込まれていた。
「この女、自分より身分の上の王女殿下に対して嘘の答弁をして、王女殿下を嵌めて、あまつさえ、自らの兵士に乱暴させようとした件。断罪は免れん! 帝都引き回しの上、公開処刑を命じる」
クリスは判決を下していた。
「そんな、いやよ。処刑なんて! 助けて! 酷い!」
泣き叫びながらクラーラは連れて行かれたのだ。
私は胸がスカッとしたが、命をとるまでするのは可哀想に思ったのだ。
クリスはリナは甘すぎると怒っていたが……
そして、後日のことだ。
「クラーラ! 何しているの! 雑巾をちゃんと絞りなさい」
「でも、手が痛くて」
「また、叩かれたいの?」
「いえ、やめて申し訳ありません」
監督の下女にビシバシと鍛えられているクラーラがいたのだ。
クラーラは罪を一級下げられて一生涯下女として王宮で働くことが義務付けられたのだ。
「ちゃんと働いている?」
それを見てクリスが下女に声をかけたのだ。
「こ、これは殿下」
下女達は頭を下げてきた。
「あんた何しているのよ」
横のクラーラは頭を下げさせられていた。
「ビシバシ鍛えていいからね。本来はこいつは処刑だったんだから、アデリナがあまちゃんで許してやっただけだから」
クリスが下女に言っていた。
「はい。殿下。ビシバシと仕事をさせます」
下女は頭を下げて言った。
クラーラは鋭い眼光で私を睨みつけてきたが、
「あんた。何しているのよ」
下女に思いっきり頭を下げさせられていた。
「も、申し訳ありません」
隣の下女は恐縮していた。
「クラーラ、いつでも娼館に叩き売ってやっても良いのよ」
クリスが言うと
クラーラは青くなって
「申し訳ありません」
と頭を下げてきたのだ。
「嫌ならちゃんと働くのよ」
「はい」
クラーラは下女の指示の元また仕事を始めた。
「なんか少しかわいそうな気がするんだけど」
私が言うと
「何言っているのよ。あなたは本当にあまちゃんよ」
首を振ってクリスが言ってくれたけれど、甘いと言われればそうかも知れないけれど、私は殺されてもいないので命を取るまでもないと思ったのだった。
ここまで読んでいただいて有難うございました。
スカッとした方はブックマーク、広告の下の評価☆☆☆☆☆を★★★★★して頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾





