表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
73/79

芸術都市アゲート⑪~悪いことはしてなの~

読んでいただいてありがとうございます。

次回よりタイトルとあらすじを変更したいと思います。最初に書き始めた時のイメージでは、アリアさんが暴走する猛獣感があったのですが、どうも違う方向にいってしまったのでタイトルを変更いたします。ご了承ください。

 エッダや護衛たちからの報告に、アリアはふふふと笑った。

 先ほどの青年とはまた違うその妖艶な笑顔に、エデルはビビりまくった。

 あれ?これ、ヤバくない?、鈍感なエデルでもそう感じるくらいに、アリアはいい笑顔をしていた。


「お仕置きだな」

「えぇー!なんで!俺、何にも悪いことしてないよ!ちょっと変な男に絡まれただけじゃん」


 アリアは、必死なエデルの頬にそっと触れた。


「もし、その男がお前にこんな風に触れていたら、手袋の一つも投げつけていたところだ」


 それって、有名な決闘の申し込み方法……じゃなくて、それは止めて。


「待って、アリアさん、こんなこと俺にしようと思うのはアリアさんだけだから!」

「砂漠の王子」

「あッ!」

「それから、その怪しい男」

「えーっと、ふ、二人もいましたね」

「ファーバティ伯爵」

「……三人目ぇ!」


 いや、最後の一人はアリアと出会う前からの友人なので、それはノーカウントでお願いします。


「いいか、エデル、お前を狙う男は、お前が思っている以上に多いんだ」

「悲しいことに、俺のことを狙う女性が思い浮かびません」

「私がいるから、そこは別にいいだろう。だが、私が知るだけでも三人もいるんだ。これから先、もっと出てきてもおかしくはない。その辺の自覚がしっかり持てるようにお仕置きしよう」

「お仕置きって……あのー、お手柔らかにぃ」


 アレやコレやされちゃうんだろうか。俺、無事でいられるかな?

 エデルの頭の中で、それはすごい妄想が広がった。

 ちなみにエデルの妄想の大半は、ラファエロからもらった本による知識だ。

 そっち方面は淡泊だったエデルに、特殊な経験はない。


「それにしても『アンリ』か。ふふ、あっちは気が付いたかな?」

「へ?何を?」

「エッダはどう思う?」


 全く意味の分かっていないエデルを放置して、アリアはエッダに聞いた。


「おそらく気が付かれたのではないでしょうか?」

「気が付いていながら、エデルの第二夫になりたいと言ったのか」

「はい」

「どこまで本気かは知らないが、いい度胸だ」


 アリアは、アンリとは挨拶程度の会話しかしたことがない。それも最近は、エスカラに行っていないので、まだ彼が学生時代の話だ。

 アリアが交流を持っていたのは、彼の兄の方だ。

 だが、アンリについての情報は集めているし、そんな妖しい貴族は滅多にいないので、彼が誰だか確信を持っている。

 それは向こうも同じだろう。

 むしろエデルが吟遊詩人の格好でいた方が、素性はばれなかったかもしれない。

 その場合、そのまま誘拐される危険性もあったのだが。


「どうなさいますか?」

「今のところは放置でいい。正直、あの兄弟のどっちが継ごうがそう変わらんからな。エスカラで好きなだけ権力闘争をしていればいい。ロードナイトに手を出さない限りは静観する。ただし、エデルに求婚してきた場合は、じっくり話をしなくてはいけないだろうな」


 そのハナシアイは、言葉でですか?それとも拳?もしくは得物もありですか?

 なんてことをエデルは怖くて聞けなかった。


「求婚されたって、俺、心変わりなんてしないけどなぁ」


 アリアに惚れている自覚は十分に出来ているので、アリア以外の伴侶なんていらない。

 むしろ、アリア一人じゃないと、身体が持たない気がする。

 気力も体力も持たない。

 それに、どっちが夫なのかはともかく、基本は一夫一婦制がいい。


「ほう」


 小さな声で言ったつもりだったのだが、すぐ近くにいたアリアには聞こえていたようで、嬉しそうな顔をしていた。

 エデルはちょっと気恥ずかしくなったが、どんなに深く考えてもアリアの方がいいに決まっている。


「……アリアさんだから、結婚したんです」


 そうでなければ、根無し草の自分が辺境の地に留まるなんてしなかった。

 アリアの夫になったことで、自動的に辺境伯の夫という地位が付いてきたが、それだって正直、自分でいいのかという思いはある。


「アリアさんが一番カッコイイです」

「そうか」


 部屋の中にはエッダたちもいたのだが、アリアは人の目など一切気にせずに、エデルを抱き寄せたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
アリアさん、ますます素敵。 猛獣使いの名前がどうこう、タイトルがどうこう言う前にかっこいいから何でもいいです! さすがに、アンリに関してはすぐ気が付いたんですね。 どんなお仕置きが待っているやら・・・…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ