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侍女の日記

読んでいただいてありがとうございます。別でエデルが辺境領に入る前夜の物語を書きましたので、そちらもよろしくお願いします。アリアがエデルに一目惚れ(?)した夜の話です。

 ××年 ×月 ×日

 

 アリア様とエデル様が、無事に新婚旅行先であるアゲートに到着されました。

 結婚式の時のアリア様は格好良くて、エデル様はお美しくて……城の中では皆、澄ました顔をしてたけど、内心ではガッツポーズの嵐でした。

 あんなにお美しい伴侶様は、エスカラには絶対! にいないでしょうから。

 エデル様のお友達のファーバティー伯爵がすごく複雑そうな顔をなさっていたけど、あの方、絶対にエデル様に惚れてるわ。

 今度、腐女……じゃなくて、婦女子仲間で盛り上がりたい議題ね。

 あぁ、それにしてもアリア様がエデル様を夫にすると宣言なさった時はどうなるかと思ったけど、今のところ、とっても上手くいってる気がするわ。

 クロノス様はお可愛らしくてまだ幼いのに女性に対する気遣いとかすごくて、人気急上昇中。

 エデル様は気さくな方で、いつもアリア様のために色々とがんばってらっしゃるわ。

 最近では、マッサージを覚えてアリア様の身体をほぐしてあげるんだ、とおっしゃって、エッタ様からやり方を教わってるわ。エッタ様が筋が良いって褒めていたから、その内、アリア様に実践なさるんじゃないかしら?想像するだけで、とっても美味しいシチュエーション。見てみたいけど、さすがに怒られるかも……。

 エデル様が旅の間に乗り物酔いで倒れられて急遽、途中の街で一泊した時、どうしてそうなったのか分からないけれど、砂漠の王子様を引っかけていらしたわ。

 どうやら砂漠の王子様がエデル様に一目惚れされたみたい。

 エデル様にべたべた触って!

 許すまじ!

 エデル様にそういう風に触っていいのは、妻であるアリア様だけなのに!

 幸い、アリア様が無事にエデル様を取り返して、無意識甘えのエデル様が王子様の目の前でアリア様にこれでもかと甘えて夫婦仲の良さを見せつけていたから良かったものの、そうでなければ砂漠の王子様がエデル様を自国に連れて行こうとしたかも。……ひょっとしたら、今も虎視眈々とエデル様のことを狙っているのかもしれないわね。

 専属侍女として気合いを入れてお守りしないと。

 エデル様はアリア様の夫で、辺境城の癒し担当の歌姫様なのだから!

 皆を代表してエデル様のお側にいる私が守らないと!

 もしアリア様とエデル様にお子様が生まれたら、どちらに似る方がいいのかしら。

 お母様に似て辺境伯一族の特徴を持ったお子様かしら。

 それともお父様に似てほわっとした雰囲気の持ち主のお子様かしら。

 理想は、姿形雰囲気はお父様似で、髪の毛と瞳の色がお母様似かな?

 辺境伯の一族ってすぐに分かって、でも、女帝じゃなくてお姫様な方。

 そういう方が一番、クロノス様が喜ばれるよね。

 あれ? 何でお姫様? 何でクロノス様が喜ぶって思ったんだろう?

 ……まぁ、いっか。

 だって当分先のことだし。

 何と言っても、アリア様、まだエデル様に手を出していないのよね。

 純愛なのか、案外ヘタレなのか……。

 取りあえず早い内に一回くらい手を出しておかないと、他の男がぽこぽこ湧いて出てきちゃいますよ。

 エデル様、モテますから。

 相手が男性なら絶対にアリア様の方がいいでしょうけど、もし女性がライバルとして出てきたら、しかも純正のお姫様みたいな方だったら、アリア様と正反対な方だとエデル様も迷われるかも……?

 でも、よく考えたら、アリア様と正反対のお姫様ってエデル様のことですよね?

 ……じゃあ、大丈夫か。

 お姫様二人がきゃっきゃっする光景が思い浮かぶわ……。

 何にせよ、私たち辺境の民は、アリア様とエデル様のお幸せそうな姿をいつまでも見ていたいので、絶対にエデル様を手放さないでくださいね、アリア様。



「……ル、ベル、どうしたの?」

「はっ!申し訳ありません、エデル様。少々考え事をしておりました」


 エデルの身の回りの品を片付けている時に心の日記を書いていたベルは、覗き込んできたエデルの顔を見て現実に戻った。

 日記はいつも心の中で書いている。

 なぜなら、もし他の誰かに見られたりしたら困るからだ。

 色々な人の黒歴史的なものになりそうなので、後世にだって残せない。


「大丈夫?いつも俺に付き合わせちゃってるから、疲れちゃった?そういう時は遠慮なく休んでね」

「お休みは十分いただいておりますわ、エデル様。少し考え事をしていただけですから、大丈夫です」

「そっか。いつもありがとうね、ベル」


 エデルににこりと微笑まれて、ベルは幸せな気持ちになった。


「これからも迷惑かけちゃうけど、よろしくね」

「はい。エデル様」


 辺境伯の新婚の夫は、今日も麗しかった。


以上、侍女の心の日記でした。

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こころにうかぶよしなしごとを そこはかとなくかきつくれば あやしうこそものぐるほしけれ 書いてくださあい! 業務報告の裏に書いて、半分に折って綴じれば、人目につきませんよ! たぶん。 しばらくは…
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