結婚式前㉛~ウェディングドレスが来たよ~
読んでいただいてありがとうございます。ウェディングドレスの描写が下手くそで申し訳ないです。各々でお好きなドレスを想像していただけると有難いです。
純白の美しいドレス。
流れるようなラインが凛とした美しさを醸し出している。
「うわー、綺麗」
「はい。エデル様に相応しい出来上がりとなりました」
デザイナーさんの一押しの大人格好良いウェディングドレスだ。
「今、流行なのはボリュームのあるドレスですが、エデル様のような大人の方でしたら、こちらの少し古風な感じが良いかと」
Aラインのクラシカルな感じのドレスだ。
光沢のある白い布は、上半身から腰下くらいまで繊細で細かな白いレースで飾られていて、裾の部分は、刺繍が施されている。
前から見ればすっきりしているが、腰の後ろの部分にレースでリボンを作るようにふわっと重ねてボリュームを出している。
ハイネックになっている部分や袖は、絶妙に透けないくらいのレースで作られているので、引っかけそうで怖いよー、と素直な感想が出た。
そして、当然ながら、裾が後ろに長い。ヴェールも長い。
「エデル様は一応、男性の方ですから、さすがに露出は控えました。首も喉仏まで隠れるようになっています。手袋も用意しようかと思ったのですが、エデル様の指は女性と見間違いそうになるくらい細くて美しいので、そこは出していきましょう。レースは職人たちが腕に寄りをかけた一品です。真珠でも縫い付けようかと思いましたが、余計なものはいらないかなと思い、あえて何も付けませんでした。エデル様がこの純白のウェディングドレスを着て、アリア様の瞳の色の宝石を身に纏い、白の軍服を着たアリア様のお隣に並び立つ。これでもう十分です!」
デザイナーの力説に、周りにいた侍女たちもうんうんと頷いている。
「そ、そうなんだね。俺は用意された物を着るよ、うん」
逆らっちゃだめな気がするので、そこは素直に頷いておく。
「当日、ヴェールはクロノス様が持たれると伺っています。エデル様とクロノス様のお披露目ですから、お肌の調子も整えておかなくてはいけませんよ」
「お任せください。エデル様のお肌は、本日よりスペシャルメニューでお手入れさせていただきます」
デザイナーさんに答えたのは侍女さんだった。
俺の意見は? はい、何でもないです。
エデルは長いものに巻かれた。
「あと、エデル様の普段用のドレスですが」
「普段用のドレス?俺の?」
「はい。今回、細かく採寸させていただきましたので、また後日、納品させていただきます」
「そうじゃなくて、俺のドレス?え?アリアさんの発注?……あ、はい。いただきます」
アリアがエデル用にと発注したドレスならば、アリアの前で着て喜ばせないと。
「エデル様、髪の毛、もう少し伸ばしませんか?その方が髪型でもアリア様を喜ばせることが出来るかと」
「髪の毛かー。別に旅してるわけじゃないし、長くても手入れ手伝ってくれるよね?」
「もちろんです。いつでも艶々が保たれるようにいたしますとも!」
こちらもアリアが喜ぶならと、エデルはあっさり了承した。
アリアは仕事があるし、軍関係のこともしているので、アップにしたりとかこだわった髪型には出来ず、実は侍女たちはうずうずしていた。
エデルの痛んでいた毛先を切り髪の手入れを始めた頃から、密かにいつかエデルに伸ばしてほしいと言おうと思っていたのだ。
「エデル様、私たちにお任せくださいませ。エデル様は辺境伯のご自慢のお嫁様です。いつアリア様がお召しになってもいいように、常に準備をいたしておきます」
「あ……よろしくお願いします……」
お召し、うん、お召しかぁ。何か俺、完全に男扱いされてないよね。
されてないが、「俺、男」と言ったところで、彼女たちは「分かっています」ときょとんとした顔で言うだけだ。それが何か?くらいだ。
まぁ、いっか。それで平和だし。
それにアリアと役割交代するかと聞かれれば、全力でお断りする。
アリアのウエディングドレス姿も綺麗だと思うが、綺麗すぎるのと醸し出す雰囲気で、この花嫁さんは触ったら切られる、と感じる類いの綺麗さだろう。
軍服の方が、剣が鞘に入ってる感じがしてまだマシだ。
「夜のお衣装ですが……」
「透け透けはイヤ」
「そうおっしゃられると思いましたので、肌触りの良い布で作りました。ですが、滑りやすい布にしましたので、この結び目ほどけばスルっと脱げます」
「なんでそこにこだわるかなぁ」
トルソーに飾られた夜の衣装は、見た目は普通のバスローブだ。だが、デザイナーが腰に巻かれた布の結び目をほどくと、スルっと脱げて床に落ちた。
「ご覧の通り、肌触りと肌滑りの良い布なんです」
何?肌滑りって?
露出は少なめで助かったけどさ。
「これ、何もなくても寝てる時にほどけたら、布団の中で俺、真っ裸?」
「朝からアリア様を誘惑なされるおつもりでしたらちょうど良いかと」
「しないから。そもそも、俺、アリアさんと一緒に寝るの?」
…………
エデルの疑問に、この場にいる全員の頭に?マークが浮かんだ。
「ご夫婦?」
「ご夫婦?多分」
「名ばかりじゃん!」
エデルの反論に、それもそうかも……でもどうするつもりなんでしょう?、と皆で首を傾げていた。




