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23.02.20

作者: 浅黄悠


 電気のスイッチを押すように

 夜ごと不安が機械的にやってくる

 インターネットの麻酔を打った跡が顔色に残っていた


 お母さんからは

 世の中には怖い人が大勢いるから

 弱みを見せたらいけないと教わった

 先生からは

 逃げ出した人間は努力が足りないだけで

 惨めに泣いているのは当然の結果なんだと教わった

 友だちからは

 いつもは他人事のように澄ましている癖に

 自分が困ったときだけだけ泣きついてくるなと言われて

 どこかの記事からは

 ネガティブになっていては人に好印象を与えません

 弱音を吐いていてはその通りになってしまいますと教訓を受けた



 だから自分と戦わなくてはならない

 不安に打ち勝っていかなければならない

 ひとりで立ち向かっていかなければいけない

 いつまでもいつでも

 周りの期待に応えられるようでないといけない

 自分勝手な人間がこの世界に必要ないのは

 みんながそう言っていることだ


 けれどこんな不安にいつまで体が耐えられるんだろう

 いつまで楽観的に構えていられるんだろう

 不安は毎日毎日脈動するのに

 皮膚の下に抑え込み泰然自若を装って

 一度でも負けたら終わってしまう

 きっと皆に嫌われて憐れまれて

 目を合わせただけでどこかに行ってしまうだろう

 

 何が起こっている訳でもなく夜が来ているだけだから

 余計なことをしなければいいだけの話で

 造作もなく乗り越えられるはずなのに

 いつまでもそう上手くはいかないという気がする

 いい加減にしてよ

 その思考黙らせるぞと目を瞑り

 ああこのままでは寂しさに殺される

 そんな自分の思考さえ嘆かわしく


 馬鹿馬鹿しい

 きっとみんなこんなに肩肘張らず

 夜を楽しんでいるんだ

 寂しさも苦さもまた楽しみながら

 昨日と昨日に取り残されたわたしに

 早くこっちへおいでよと手招きしながら

 

 どうして苦しんでいるのかも分からないのに

 なぜか悲しみが止まらず

 ただ茫然と寂しいを見つめている

 誰に寄りかかることもできず誰の助けにもなれず

 かといってこの世を暈すくらいに酔う旨酒も持ち合わせない

 その先の結果なのかもしれない

 だからきっとそのうち止まるよと自分を励ますこともできない

 その馬鹿馬鹿しさが悲しい

 せめて心から馬鹿馬鹿しいと思えれば少しは動けるのに

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