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退役兵士と砂糖人形  作者: 凪雨タクヤ
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成功を映し出す鏡②


中央の階段を上がり、西側のかすかに光が差し込む部屋にその鏡はあった。

塵や埃がまっている中、少々汚れた鏡があった。

鏡の縁は洋風にかたどられていて、面の外側はやはり少々汚れているようだがしっかりと何かを写すことができそうだ。


おい、誰から覗く?と石井が聞くと九条が自分から見ると毒見を率先するかのように先頭に立った。

九条はゆっくりと足を進め、高さのある暗い穴を除くように鏡を見た。


「何が見える?」

「・・・」

「おい、どうなんだよ?何も映らないのか?」

「これは、僕か?スーツを着て、笑顔で口を動かしているぞ。会話をしているのか?」


九条の目には確かに自分と同じ立ち姿をしているが、その着ている服や表情が明らかに今身に着けているものとは違った自分が映っていた。その調子で木ノ島は看護服、石井は職人のような動きやすそうな服に道具を携えて大工のように映った。やっぱりこの噂は本当だったんだ!と石井が歓喜にあふれた声を荒げる。


「お前には何が見える?残間は変わっていたからな。作家や音楽家みたいな芸術性あふれるものが映るんじゃあないかな。」


九条が聞いたが残間は彫刻のように微動だにしない。そこまで感動する何かが映ったか?

突然残間が叫び声をあげた。


うわあああああああああああああああああ!!


何かに怯えながら腰を抜かしてジタバタ手足を動かしている。

3人は驚愕しながら残間と鏡を交互に見る。

「どうした!!何が映ったんだ!?」

九条が駆け寄って手を貸す。木ノ島と石井はまだ起きていることに脳が追い付かないようだ。

石井の代償の話が頭をよぎる。やはり生半可な気持ちで見ていいものではなかったと成功する自分の未来をよそに後悔の念を抱く。

残間が怯えながら何かを口にしている。

「血濡れだ。血濡れの殺人鬼がこっちを指さして何か言っている!」

半泣きのメンバーもいる中4人は転がるように逃げる。

「きっとあそこにはこの世ならざるものが映るんだよ!!何人かの夢をかなえた後その代償を別の人間に払わさせるんだ。」

石井が自分の予想が的中してしまったといわんばかりに頭を抱える。


そうして4人は廃屋を後にした。

数年後、九条、石井、木ノ島の3人が遺体で発見された。



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