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退役兵士と砂糖人形  作者: 凪雨タクヤ
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成功を写し出す鏡


「お金持ちは金遣いが荒いのではなく、むしろ逆で倹約なのね。」

「たくさんの富を得た人のうち話題になるのは運がよかった数%で、しっかりとコツコツ貯めた人がほとんどだからね。もちろん僕は運も大事だとは思うよ。」


一番話したかった話が遠回りになってしまったが、彼女の反応が見られたのならそれでよかった。

デザートはあとでとっておく人もいるだろうが、僕はせっかちだ。


「僕が君に聴いて欲しい話があるんだが、いいかな。」

「ええ。もちろん。」


これはとある鏡の話だ。

町中にひっそりとたたずむ廃屋があったんだが、そこに成人男性の背丈とおなじくらいの、等身大の鏡があったんだ。全身鏡だね。なんでもその鏡を見ると不思議な力が働いて人生の成功を得られるなんて噂が立っていた。


その町に住む仲の良い4人組のグループがいた。

九条ケイ、石井タカフミ、木ノ島サエ、残間マコトという名前だったといわれているが、正直本名なのかはわからないそうだ。あるとき九条がその鏡を見て、人生の成功を得ようということになった。この中では残間だけが進路が決まっていたようで、少々乗り気ではなかったそうだがよく行動を共にするということから同伴したそうだ。


町の端にある雑木林にその廃屋は佇んでいた。

廃屋自体はかなり昔からあるようで、ところどころ朽ちていたり、ツタ状の植物がこびりついていた。いかにもという雰囲気が漂っている中、人生の成功を得られると信じてやまない4人は足を進める。木ノ島がふと疑問をぶつけた。

「ここって成功するとかうまくいくとか良い噂があるのに、どうして祀られたり整理されたりしないのかな。」


その鏡を見ると成功する。噂が本当ならご利益として神社などに鏡が移動されたりしてもよいのではないか、とも確かに感じる。

「ここでなきゃいけない理由があるんじゃないの?もしくは触れたらその成功者たちが置いていった負の感情が一気に押し寄せてくるとか!だとしたらコエーな。」

オカルト好きな石井が考えそうなことだったが、あたりの景色がそれを現実にさせてるような気がする。

「なくもない話だ。それだけ代償も無しに成功できるなんていい話ならもっと広まっていそうだよ。」

面白がる石井に九条が賛同する。鏡は見るだけでいいと思うから、余計なことはしないようにしようと木ノ島が提案すると、全員が納得して奥へ進んだ。





この鏡を覗くと成功を得られるようです。

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