表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

すべて持ち去って。

作者: 泉末広

すべて持ち去って。

昨日の茶番をなかったことにして。

ぜんぶ持ち去って。

望まない記念品、辟易する思い出も一切合切。

自転車に乗ってやって来る荒い雲。

追い風に乗せられてやって来る迷い雲。

玄関を叩いて響かせすまし顔。

優しい影を育む青葉を千切って投げて知らん顔。

濁り水を逆巻き散らしてしたり顔。

昨日までの出来損ないの記憶、持ち去って。

口に出すのも煩わしい記憶、持ってって。

都合のいい試練を置いてって。

今日からの真っ白な思い出、置いてって。

喉から手が出るほど欲しい思い出、ほっといて。

地球の息吹きを思いしるから、今夜はそっと眠らせて。

渦巻きのような鼾を披露するから、今からそっと眠らせて。

目覚める前に、すべて持ち去って。

えこひいきに憧れるわたしは、ここに置いてって。

わたしに都合のいい試練なら、ここに置いてって。

そうじゃないなら、ぜんぶ持ち去って。

そうじゃないなら、すべて持ち去って。

それができないのなら、ここからすぐに立ち去って。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 女性の複雑な心の変化を絶妙に表した詩だと思いました。 彼女の気持ちをこんな風に惑わせる相手にとても興味が湧きます。 持ち去ってほしいものと、置いてってほしいもの、それぞれのセレクトも印象的で…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ