『電車で行く温泉旅行』
『夏のホラー2020』参加作品ですので
今、駅に居る方や電車に乗っている方には
お勧めです。(嘘です♪)
出来る事なら朝からみんなと一緒に行動したかったのですが
どうしても、シフトをずらせないアルバイトがあり
私だけ約半日遅れで後から合流する事に。
「むぅ~ 朝から行きたかったな~」
あっ♪ 今回の行き先ですが
夏と言えば海っ! 山っ! アウトドア!
と、いつもなら騒ぐ方向のイベントですけど
今年は珍しい事に友達4人で大人しく
温泉旅行になったのです(笑)
「それにしても温泉って・・・(汗)」
みんなはお昼前には温泉旅館に着いて荷物を降ろして
今頃は付近を観光しているのでしょうが・・・
私は、まだ向かっている途中です(泣)
「そう言えば、駅には迎えに行くって言われたから」
流石に、私だけ現地集合と言うのは
寂しかったのでみんなには駅まで
お出迎えをして貰う約束なのです♪
「今のうちに連絡しておこう♪」
目的地までは1回だけ乗り換えがあり
丁度その乗り換えの駅で電車を待っている所なので
予め、みんなへ連絡を♪
「もしもし♪」
「あっ! もう駅に着いたの!?」
「まだ着いてないよっ!(泣)」
「今どこ?」
「乗り換えの駅だよ」
「じゃぁ、あと30分くらいで着くね?」
「だと想うよ」
「あっ! 丁度、電車が来たから今から乗るね」
「うん、分かった」
「ちゃんとお出迎えしてよねっ!」
「あはは~ 分かってるよ」
「じゃぁ、後で」
「後で」
電車へ乗り込むと、その車両には
座席の2割程にしか乗客が居なかったので
私も好きな席に腰掛け車内からぼんやりと
景色を見ていると・・・
次第に心地良い電車の揺れで眠くなってきましたが
必死に眠らないよう頑張って外を眺めていると
進むにつれ外の景色は流石温泉にあう風景です♪
「自然が豊かだ~♪」
乗り換えの駅からは、一駅毎に緑が増していき
いつしか田園風景も過ぎて山と山の間を抜け
少し標高も上がってきた様な気がします。
「あっ、向こうに湖がある」
ぼんやりと見ていた車窓の先に
それ程は大きくない湖をみつけました。
湖面を見ると小さな和船が数隻
お客さんが沢山乗せて遊覧しているようで
ハッキリとは見えませんがこちらの電車を眺めて
手を振る人影もあります♪
「ちょっとした観光名所があるんだ~♪」
電車が減速し始めると先程の湖も近付いてきて
駅に着きドアが開くとホームの先には綺麗な湖の風景が♪
「きれいな景色♪」
よく見ると湖面には所々に綺麗な白と淡い青色の大きな華が咲き
俗に言う、今が見頃という状態なのでしょうか♪
あまり気にしていませんでしたが人気の観光地の様で
今まで乗っていた私以外の乗客がこの駅で降りて行きましたが
電車は直ぐには出発せず、そのまま扉を開けて停車してます。
「なん分くらい停車するのだろ?」
この駅で、どの位停車するのかは知りませんが
車内から見つめる普段とは違う綺麗な風景のおかげで
のんびり待つ事も全く苦にはなりません。
「あわっ、出発するみたい・・・」
開いていたドアが一斉に締まり数秒してから
笛の合図で電車はゆっくりと動きだしました。
結局、駅で10分程停車していた間はドアが開いていましたが
まだ午後の2時にもなっていなかったので
この時間に乗り込んでくる乗客はなく
車内は貸し切り状態です(笑)
「まぁ、この時間に帰るのは少し早いもんね♪」
そこからまた少しウトウトしながら外を眺めていると
予め調べておいた駅名がアナウンスされ
やっと目的地の駅へ到着です。
「ふぁ~(眠) やっと着いた~!」
「どうしたの? 随分遅かったね?」
「あぁ~ 途中の駅で10分くらい停車していたからかな♪」
「10分って・・・ 最後に電話貰ってから2時間半も経ってるよ?」
「そんな訳ないでしょ?」
「時計見てみなよ」
「あれ? もうすぐ夕方の4時・・・?」
「だって乗り換えの駅での電話は午後1時過ぎだよ?」
「なんでっ!?(汗)」
「電話しても繋がらないし」
おかしいです・・・
乗り換えの駅から30分で着く予定が
途中の駅で10分停車していても1時間あれば
絶対に到着するハズっ!
なのに、1時間半以上も遅れたっ!?
どうして???
湖の駅に着いた時間は2時前だったから
そこから遅れる理由なんて何も無いと想うけど
もし有るとすれば・・・
「ねぇ? みんなが来る時は綺麗な湖で何分停まった?」
「湖の駅? そんなの無かったと想うけど?」
「ホームからも湖面の綺麗な華とか見える駅だよ?」
「えぇ~? 田んぼと山だけだったけど」
「観光名所みたいで、船で遊覧出来る所みたいで」
「あぁ~ あの駅の事っ!」
湖の駅なんて全く記憶に無いような感じでしたが
急に友人3人が同時に何かを想い出した様ですが・・・
「湖の駅、あったでしょ?」
「あった、あった、あった、あった、あった、あった」
「えっ? なに? 急にどうしたの?(汗)」
「あの駅はね、湖じゃなくて川なんだよ」
「川? そうは見えなかったけど?」
「湖みたいな部分は、川の淵なんだよ」
どうやら、私が見たのは湖ではなくて
河川の淵と言われる部分の様で
水深はあるけれど、川幅が少し広がっていて
水の流れはとても緩やかな部分で
淵の上流が平瀬、下流が早瀬と言うらしく
水深は浅いけど流れが速く川幅も狭い部分らしいです。
「なんか・・・ 川について詳しいね?」
「私達ね、あの駅で降りたの」
「そうだったの?」
「船に乗っていた時ね、電車の方見ていたんだよ?」
「電車の方を見る人影は見えたけど・・・」
「やっぱり見えていたんだ」
確かに、あの駅に着く少し前にそんな人影は見えましたが
時間的におかしいですっ!
あの時、船に乗っていたのなら
私より早く目的地の駅に居るわけがありませんっ!
「私の乗っていた電車が見えたって・・・」
「電車に向かって私達は手を振ったんだよ?」
「それっ! 変だよっ! ありえないよっ!」
「どうして? 別に何も変じゃないよ」
友達3人とも、私の乗っていた電車に向かって
手を振ったと当たり前の様に話してますが
どう考えても辻褄が合いません・・・
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『ねぇ、どうして私達の事が見えていたのに・・・
駅では1時間以上も電車のドアを開けていたのに
なぜ電車を降りてくれなかったの?
あんたも、あの駅で降りて
川船で彼岸にくればよかったのに』
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「びくっ!!(驚)」
気が付くと、いつの間にか電車に揺られたまま
寝てしまったらしく
手に握り締めていた電話がなった事で
驚いて跳ね起きてしまいました・・・
「あっ・・・ 電話っ!?」
画面に表示されているのは友達の名前・・・
直ぐに出れば良いのでしょうけど
「今のは夢・・・・・・?(困)」
ふと、着信音が鳴りつづける中
画面の時計を見ると14時10分
あと5分もすれば目的地の駅に到着予定ではありますが
「も、もしもし・・・」
「あっ! やっと出た」
「ご、ごめん・・・ カバンから出すのに手間取って(汗)」
「私達は駅に着いたから改札で待ってるからね」
「あ、ありがとう・・・」
「まぁ、バイトの後で疲れただろうから」
「う、うん」
「手荷物くらいは私達が持ってあげるよ♪」
「ありがと、助かるよ~(汗)」
「私達だけ、午前中から観光楽しんじゃったし♪(笑)」
先程のは、私が居眠りしてしまっただけ。
あれは、ただの夢・・・
でも、本当に?
「ねぇ」
「なに?」
「途中、ホームから川か湖が見える駅ってあった?」
「川か湖?」
「うん・・・ 綺麗な淡い水色の華が咲いている水辺」
「どうかな? 無かったと思うけど?」
「船に乗って遊覧出来る観光名所みたいな場所だけど」
「ちょっと2人にも聞いてみるね?」
いくら駅毎の風景をいちいち覚えていないとしても
あれだけ特徴的な駅だったら
3人中1人くらいは視界に入っていると想うのですが・・・
「誰か、その駅を見てない?」
「やっぱり、川か湖に停まる駅は無かったよ?」
でも、みんな話しに夢中で外の風景をあまり
見ていなかった可能性もあるでしょうし・・・
座席の位置でも気付かない事もありえる???
「逆側の車窓だけ見ていたから気付かなかったのかな?」
「今、駅に置いてあるパンフレットとか見ているけど」
「何か載ってない? 何駅か手前だと思うけど」
「う~ん 何も載ってないよ?」
「そんな・・・」
「その駅が、どうかしたの?」
どう説明をすれば良いのか考えて居ると
電話している間に5分経ったのか
降りる駅が見えてきました。
「あっ、もう着くから一旦切るね」
「じゃぁ~ こっちに居るから」
「うん? こっち?」
「待っているから」
わ、私の考えすぎでしょうか?
こっちに居るから?
改札の外に居るからって意味ですよね?
なんだか急に不安な気持ちになってしまいましたが
電車を降り、無人の改札を出ると
そこには、いつもと変わらない友達が
私の事を待っていました。
「迎えに来てくれてありがとう」
「バイトお疲れ~」
「私も朝から来たかったよ(泣)」
「そうだね~」
ふと、目の前に並ぶ3人をみると
私が夢?で見た水面に咲く淡い水色の華に似た形の
キーホルダーをお揃いで鞄に付けているのを
見つけたのですが・・・
「ねぇ? そのキーホルダー前からあったっけ?」
「あっ、これ? 良いでしょ♪」
「うん、良いねっ♪」
「じゃぁ、こっちに来る?」
「えっ?」
「お揃いになれるよ?」
一瞬の事ですが3人とも
目元は笑ってないのに口元だけ微笑んでいるように
私には見えたのですが・・・
「わ、私は今度で良いよ・・・(汗)」
「そう?」
「うん・・・(汗)」
「残念・・・」
みんな本当に残念そうな顔はしていますが・・・
それって、キーホルダーが4人お揃いじゃないから
って理由だけの事ですよね?
『あれは・・・ 本当に、ただの夢だよね?』
作品の中では、湖に見えたのが川の一部だったり
綺麗な華のキーホルダーとしかワードがありませんが
それらは『三途の川』の事を示しているのですけど
たぶん、上手く伝えられなかった予感です(泣)
↑私的に、作品の内容が伝わらないって
ホラー(恐怖?)なのですけどっ!(泣)
それに締め切りが明日とか
それも軽くホラー(恐怖?)です。
ぐすん。
最後までお読み頂き有り難うございました。