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日本昔話的なかわいいお話

作者: 一ノ瀬 葵

あるところに、たくましく育つように「勇紀」と名付けられた男の子がいました。


その男の子は毎日のように、剣の練習をしていました。


「えい、やっ」


そこへ母上やって来ました。


「まぁまぁ今日も頑張るのね。ほら、おにぎりですよ」

「ありがとうございます、母上」


そんな勇紀くんにも想いを寄せる女の子がいました。


前に旅してきたそれはもう可愛らしい女の子でした。

しかし、その子は遠い遠い南の島に住んでいるため会えるのは年に2回ほどでした。


そのため、飼っていたキジを使って文通をしていました。


今日もまた文通が来ました。


「うわ、にぼし。何するんだ。これは大切な手紙なんだぞ」

「ワンワン」


飼い犬のにぼしがどうやら手紙を加えてしまったようです。

お陰様で手紙が涎まみれになってしまいました。


一生懸命乾かして見た手紙にはこう書いてありました。


「最近は、猿がたくさん来てなかなか作物が収穫出来ません。ですが、あなたに美味しい作物が届けられるように頑張りますので、どうか気長にお待ち下さい」


今は何を育てているのだろうか。

勇紀くんは、そう考えながら女の子が来るのを待ちました。



そうして、女の子がやって来る日が訪れました。


「勇紀様、こちらが育てていた作物になります。どうがお召し上がりください」


それはそれは大きくて太い人参でした。


「ありがとうございます。じっくり味わって食べさせてもらいます」


今日は、二人で海辺に遊びに行きました。


「勇紀様、今日も剣の練習をされていたのですか?」

「はい、そうです」


なんせ一年に二度しか会わないため勇紀くんは緊張して上手くお話が出来ません。


「あの、勇紀様」

「なんでしょう」

「私のことあまりお好きでないですか?」

「そんなことありません」


強く否定すると女の子は大変嬉しそうに笑いました。


「では、せっかくなのですから楽しみましょう」


二人はお砂場でお城を作ったり、海の中に入って遊びました。


しかし、楽しい時間はあっという間でもう帰らなくてはいけない時間となりました。


「それでは、また、お会いしましょう」

「はい。文通も楽しみにしております」


今日もまた勇紀くんは想いを寄せられないままお別れしました。


いつか想いが伝えられる日は来るのでしょうか。



それはまた別のお話。


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