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プロローグ

初めて書いてみました。まずいところ等あればご指摘ください。


「気が付いたかな?」

真っ白な空間の中、目の前でスーツ姿の男が佇み話しかけてくる。頭痛の残る頭を抑え立ち上がり辺りを確認する。


「ここは...」

見回してみても扉はなく、足元に床があるのかさえ判別できない空間の中、テーブルとソファに腰掛けている男が向かいに手を差し出し続ける。


「まぁ腰掛けるといい、こちらに呼ぶのに少々無理をした。茶でも飲んで落ち着く時間を作ろう」

男が言うとテーブルにお茶が現れる。


「ついに死んだか?僕は」

重い体を引き摺りソファにたどり着き必死に記憶を探るが、直近で思い出せることといえば代わり映えのない普段の不自由な生活だけ、現実味のない状況にあきらめの声とともにポロリと溢しつつも、これは最近流行りの異世界に転移か転生のお話ってのもワンチャンあるかと妄想を膨らまし始める。


「切り替えが早いもんだねぇ、いろいろ考えているところ悪いがまず訂正だ、君は死んではいない!このまま放っておいても病弱な状態からは抜け出せるはずだ。だが!君の考えていることが大きく外れている訳でもない!」

寝息を立てている自分の姿が男の傍らに映し出され、びくっとする。生存確認とはいえ自分の寝姿を見せられるのはなんだか気恥ずかしい、と呑気にそんなことを考えていた。


「君の世界の創作物は興味深いものが多いね!別の世界に飛ばされて英雄になったり!無双っていうんだっけ?だが、どれも導入がよくない!いきなり知らない場所に飛ばされて『スキルが備わっているはずです、魔王を倒してください』だの言われても困るというものだよ!そんな強制は私は良しとしない。あくまで自分で考えて決めてほしいのだよ。」

急にテンションを上げてまくし立てている男を眺め、唖然としているとかえって冷静になってきた。良心的な神も居たものである。「必要そうなものは与えた!あとは頑張ってくれ!」などと言われなくてよかったと心底ほっとしている自分がいた。


「準備期間を設けよう、君が欲しい力、ある程度の物資をもって私の世界に来てみる気はないかい?だがこれは強制ではない、君が断るようならこの会話はなかったことになり、私は別の候補を探しに行くことになるだろう」

自慢げに胸を張りそこまで言い切ると、男は続ける


「私の世界はヒトには厳しい環境でね、千年以上ヒトが栄えた試しがないんだよ。いいところまで行くと強靭な魔物が現れ文明を破壊してしまう、いろいろ手は打ってみるものの直接手が下せない私では防げない事態がほとんどだ。そんな荒療治として一度外の世界から薬を送り込み、ヒトの強化と文化の底上げを行ってみようと思うんだ!」

ここまで入る余地なく聞いていると嘘とか夢とか疑うのもアホらしくなってくるが、僕自身にそんな大それたことができるとも思えない、何よりヒトの種の強化や文化の底上げなんて大事ただの一般人に押し付けないで欲しい。自由に動く体は惜しいが、断れるのだから断ってしまおうと考えだしていた。


「それだ!それなんだよ、下手にやる気を出して 『私が世界を導こう!』なんて言い出すヒトに任せて碌な結果になるとは思っていない!それくらい適当な考えで動いてくれればいいのだよ!その結果少しでもヒトが強くなり、いい暮らしができるようになってくれれば成功なんだ。」

男の判断基準としては、そこそこキツイ境遇の中でも腐らずに足掻け頭を回せる心根の良い個体。らしい。照れるじゃないか。機嫌を持ち直させられると、我ながらチョロいと思いつつもやる気になってしまう。


「ってこれ、考えてること筒抜けか!」

いまさらになって気づくと男は苦笑している。だがこれはのってみてもいい話じゃないか?親もいない自分の境遇を考えてみても急に居なくなるのは問題ないだろう、聞けば、失敗したと判断したら連絡が途切れ別の候補を考えるだけだという。そこまで気楽にさせてくれるなら異世界を楽しんでみたい気にもなってくる。


「答えは、でたかな?」

もったいぶって伝えてくる。ああ、筒抜けだったわ、考える時間を与えて眺めていたのか。


「その話、受けたいと思います。詳しく聞かせてください。」

そう伝えると、男はまたにこりと笑って質問に答えてくれた。


曰く、こちらで言うところの剣と魔法のファンタジーな世界でマナというエネルギーに満ち溢れている世界らしい。


曰く、ある程度のマナが溜まると、そこにダンジョンが形成され様々な魔物が徘徊しだすらしい。


曰く、ヒトはダンジョンに寄り添い街を形成し、内部の鉱物資源や魔物の肉を糧に暮らしているらしい。


曰く、ダンジョンは最奥のコアを取ると周囲の大地のマナを大きく集め吸収量に応じて成長するらしい。


曰く、放置されたダンジョンは魔物を外に吐きだし余剰のマナをその地に溢れさせ消えるらしい


曰く、魔物は他種を食い進化するらしい。


    

「要するに土台の星がマナっていう力を作り続けているから、溢れすぎないようにダンジョンと魔物が作られるってことなのか?だとすると文明を壊した魔物はどこに行く?」

これ結構詰んでない?エライとこ飛ばされようとしてるなぁ、なんて考えながら聞いてみる。


「ある程度暴れつくしたら食べ物を求めて、ダンジョンに入っていくんだよ。奥に行けば旨い魔物(しょくりょう)が湧いてくるしね、ダンジョンが常に星のマナを吸って食べ物を作ってくれるんだ。そうやってダンジョンのヌシみたいなのができていくわけさ。」

なるほど、ある程度ヒトが狩りつくされてもダンジョンがあるからヒトが種の存続の危機にまで立たされることはほぼ無いという事か。考えがある程度まとまったのを見越してかまた男が語る。


「話を受けてくれるなら君に準備期間を設けよう。君が欲しい力と持ち込みたい物資のリストを用意してくれれば私が都合をつけよう。それくらいの力はある。1週間慎重に考えてみてくれたまえ。」

男がそう言うと意識が遠くなり。現実の世界に引き戻されていった。


目を覚ましてみると、傍らにあの白い空間でとらせてもらったメモが置いてある。


異世界(むこう)でも不定期ではあるが分体を飛ばしてくれ連絡も取れる。

転移ではなく転生になり、この記憶を持ったまま異世界(むこう)に行ける。

生まれも貴族から様々な職業の親等ある程度の選択肢はある。    

欲しい力、必要な物資をリストアップ1週間後それについて可否を相談できる。


なにこの親切仕様、こちらのアニメやラノベも見習ってほしいものだ。

時間は結構もらえたみたいだし、たっぷり考えさせてもらおう。

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