SS 頭が悪い
副生徒長 アスエ・カルリ視点で見るヒュウガ・サキリ。
彼は、頭が悪い。
成績は常に上位。冷静で情報処理も早く、判断力も高い。優秀そのものだろう。学園二位と言われるだけはあると思う。
けれどやっぱり、彼は頭が悪い。
事情があることは知っている。それを話せない理由も。そのせいで、彼はよく遠回りをする。
正しい道や近道を知っていても、周りを使えばもっと楽になることをわかっていても、彼は決して、それを選ばない。
遠回りして、傷付いて、損する道ばかりを、彼は選ぶ。
「もう少し、周りに頼ればいいのに......」
生徒長やその秘書だっている。私は......頼る訳にはいかないでしょうけど、相手はいくらでもいるのに。彼は頼らない。一人で背負い込む。
こういう時「可哀想」とでも思うのが普通なのだろうか、「愚か」や「哀れ」は違うと思う。どちらにせよ、私にはその感情はわからない。
もしかしたら、私にとっての彼はそれが当たり前になってるからかもしれない。
他の誰かに対してなら「可哀想」と思うのだろうか。いや、それこそ、関係ない事だ。
「もう少し、楽すればいいのに......」
彼の道は損ばかり。
でも、彼が損をしている時、他の誰かが、少し楽に前に進んでいる。
彼は、自分がその道を歩まないことで、正しい道を示している。
自己犠牲? いえ、そういう柄じゃないでしょう。強いて言うなら、先輩面でしょうか。似合いませんし伝わりませんけど。
「もう少し、自分のために生きればいいのに......」
それを出来ない彼も、そんな彼に頼る私も。
本当に、頭が悪い。
もう少し長くしても良かったけど、あんまり長く書いて本編手付けらんなかったら本末転倒だし、アスエさん本人もあまり長くは語らないタイプなので。




