84話 入れ替わりの条件
ファンアートが欲しいこの頃。
誰かアルトとかミア書いてくれませんか?
他のキャラでもいいですよ(チラ
「カエデが俺の相手? 見くびられたもんだなぁ......ヒュウガ先輩、こいつに俺の相手が務まるとでも?」
拳を受け止められながらもロレイの視線はヒュウガにあった。
「俺は周りの死徒を相手するからな、適材適所ってやつだ」
「適材? なら尚更、あんたが俺と戦うべきじゃないんですか?」
「通じなかったか? 俺が出るまでもねぇってことだよ。ついでに、アドバイスしてやる」
「なんすか?」
「慢心してると足元を掬われるからな」
話の終わりを読み取り、カエデは左手から炎を放ち牽制する。
勢いよく飛び退いたロレイをヒュウガ達から引き離すようにカエデは炎を放ち続ける。それを理解しつつロレイは誘導するように森の中へ入っていった。
「ヒュウガ先輩、あんたのせいでカエデが死ぬ。そしてあんたも殺す。あんたは選択を誤った。後悔してももう遅い」
最後まで煽り言葉を残して。
「後悔? そんなもんずっとしてるってんだよ......」
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ヒュウガが相手にすると宣言し、ロレイが指示を残したことで何体もの死徒が彼らに襲いかかる。
「アキハ、治癒は無理だけどこれはあげるよ。お兄ちゃんからのプレゼントだ」
そう言ってヒュウガはアキハに透明な液体の入ったペットボトルを渡した。
「これは?」
「サチさん特製のドリンク」
「マジですか!?」
中身を聞くとアキハは飛びつくようにボトルを開け、あっという間に飲み干した。
「助かりました。もう大丈夫です! 正直、治癒よりありがたいです!」
「それは何よりだけど、そういうのは本人の前で言わないで欲しいかなぁ......」
「あなたなのでいいです」
「特別扱い?」
「そんなことより早く死徒の相手してください!!」
感情変化の激しい二人のやり取りは時と場合を考えず。いつの間にか死徒が近くまで来ていたことにアキハか焦って銃を構える。そんな彼女を宥めるように「大丈夫」と優しく呟き、ヒュウガは音もないほど速さで死徒の頸を斬り落とした。
返り血が飛ばないようマントでさり気なく庇っている。
「大丈夫。俺がいる限りアキハは死なないよ」
その言葉を証明するかのようにヒュウガは死徒達を圧倒した。
速く、そして繊細に。
余計な動きが一切なく、それでいて守るべき相手であるアキハ達との距離を作らない。
何体もいた死徒はみるみるうちに減っていく。
「おい雑魚、いつまで寝てやがる。早く起きろ」
唐突に、後ろで横たわるアルトに声をかける。何を言っているのかとアキハが視線を向けると次の瞬間、アルトは飛び起き、乱暴に刀を振るう
『陰斬り!!』
その斬撃は樹木の後ろからアキハを狙っていた死徒の頸を吹き飛ばした。
『てめぇ、何が起きろだ! こっちだって無事じゃねぇんだよ! 気づいてたんなら自分で殺れ!』
目覚めたアルトは背中を向けたままのヒュウガに文句を吐く。
その口調と態度。そして紅い瞳からそれがもう一人のアルトということは言うまでもない。
「入れ替わって起きたのか、まあいい。とりあえず無事ならなんでもいい」
『何が無事だ! 全然無事じゃねぇよ!』
「動けてるなら無事だろ」
『そういう話じゃねぇ......ちっ!』
言い切る前にアルトが膝を着く。アキハが心配して近寄りアルトは樹木に寄りかからせる。
「大丈夫ですか」
『あんま大丈夫じゃねぇ、オレというよりあいつがな』
「アルトが?」
頷き、アルトは今の状態と入れ替わりについて話す。
『オレたちの入れ替わりはどっち意思で、どのタイミングでもできる。だが一つ条件がある』
「条件、ですか?」
『ああ、最低条件、あいつの精神が生きてる事だ』
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「生きてる事?」
ポカンとクエスチョンマークを浮かべるアキハに面倒くさく髪を掻いて、オレは入れ替わりについて丁寧に説明した。
「そもそも入れ替わりってのはオレとあいつの精神を入れ替えることだ。待機中の精神はその間影の世界にいる」
「それはわかってます。あなたが入れ替わってる間にアルトが死んだら帰って来れない。肉体そもそもが死んだらどうしようもないってこともわかってます。カエデ達から聞きましたから」
「カエデ達はそこまで詳細に話してたのか、話が早くて助かる」
「それで、わかんないのは最低条件の意味です。どちらかが死んでもどちらかに影響はないんですよね? 確かに今回、アルトは大怪我を負いましたけど評価戦の時はアルトが気絶したタイミングで入れ替われましたよね、今回はどうして出来なかったんですか?」
アキハの言う通り、評価戦であいつは見た目だけならば今回と同じぐらいの傷を負った。それでもオレと入れ替わることで戦闘を続けることが出来た。
けどそれはあくまで見た目が近いってだけだ。今回はレベルが違う。
「評価戦はあの女が手抜いてたからだ。今回はあいつが本気で死にかけた。文字通り、生と死の狭間を彷徨ってた」
「生と死を彷徨う......さっき言った最低条件、生きてる事って言うのはそこに繋がるんですか?」
「ああ、オレ達の入れ替わりは最低条件として、あっちのアルトの生が確定してないけねぇ」
「生が確定している......」
オレは氷で塞がれた傷を指でなぞりながら溜め息ともに話を続ける。
「オレはあくまでもあいつの体を借りてる身だ。あいつが生きてることで影世界と表の世界が繋がり、あいつの体を通してオレはこっちの世界に来ている。あいつの死は表の世界と影世界の繋がりを断つことを意味する」
「......だから、アルトが生きてないと入れ替われないですか......」
「そういう事ですか......」
聞き終えたアキハは難しい顔をしつつも納得はしていたようだった。
「逆に言えば、雑魚が生きてる限り、影世界との繋がりは途絶えないってことか?」
さっきまで静かだったヒュウガが突然、話に入り込む。イラッとして奴の顔を睨むも、その背後にある死徒の死体を見て思わず息を飲む。
「お前、その後ろにいるの全部倒したのか? 今の話の間に?」
「そんなことはどうでもいいだろ。それより俺の質問に答えろ。どうなんだ?」
「......俺が聞いてもはぐらかす奴に何を答えるってんだ!」
「......そうかよ、じゃあ結構だ」
あっさりと引き下がるヒュウガに少し困惑するが、問い詰められないのならば好都合。オレも話を切り上げて、戦いに参加するため立ち上がる。
「死徒は全部倒した。お前は出る幕はない。だからもう少し休んでろ」
「あぁ? 起こしといて休んでろ? 随分と勝手だな! こっちの話も聞くだけ聞いて、自分は何も喋らねぇのかよ!」
全部倒した。そのワードに意識が持ってかれそうになるがなんとか抑え、ヒュウガに刃を向けて抗議する。
けれどヒュウガはオレの言い分を無視し、アキハへと視線向ける。
「アキハ、動けるかい?」
「え? あ、まあ、サチさんドリンク飲んだんで大丈夫です」
「そうか、なら君はいつも通り頼む」
「いつも通り? 何がですか?」
「さあ? 俺は知らない。ただ、カエデからそれだけ言えば通じると聞いてる」
「なるほど、いつも通りですね。わかりました! では行ってきます」
目の前でわからないやり取りをし、アキハはどこか嬉しそうに森の中へ走って行った。
残されたオレ達の間には時間と沈黙のみが流れる。
澄ました顔で、未だ眠り続けるミアを見つめるヒュウガ。その態度に腹が立ち、隠してることについて問い詰めようかと思った時、ヒュウガがオレ達を囲うように氷を形成した。少し大きすぎると思うくらいの氷の壁を作り、ヒュウガは白い息を吐きながら呟く。
「もしお前に、全てを知る覚悟があるなら」
「あ?」
「全てを知って、誰を敵に回すことになっても生き延びる覚悟があるのなら」
ヒュウガは向き直り、突き刺すような眼でこちらを見つめ言い放った。
「この遠征が終わった後、全てを話そう」
陰の方のアルトが目覚めたんで後半は彼氏点の一人称で書きました。
久しぶりの一人称。やっぱ書きやすいですね。三人称も書きやすいですけど......




