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ディフェレンター  作者: 論です
2章 キマイラ編
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83話 治癒の氷

ここ最近ずっと三人称ですが、本来一人称を書く時の視点のアルトが意識不明のため三人称にしてます。

「さっきだよ」


呆れた様子で答えるヒュウガを横から見ていたアキハは未だに何を言っているのか、カエデやロレイが何に驚いているのか理解していなかった。


「カエデカエデ、何を驚いているんですか?」

「......ヒュウガの左手、何がある? いやら何が居ると言った方が適切か」

「何って、ミアとアルト......え......え?!」


教えられてようやく、アキハも自分の技がいつ間にか解け、アルトとミアを回収されていることに気づく


「え? 嘘、いつ? 私が知らない間に私の技が......え?!」


今度は驚きすぎて冷静さを忘れたアキハにヒュウガが冷静に答える。


「アキハが自分で技を解いたんだよ」

「私が? 自分で?」

「死徒が襲いかかって来て、危機感感じたから無意識に今使ってる技を解いて自衛しようとしたんだよ。だから俺も引っ張ってこれた」

「マジですか......」

「マジだよ。まあ、カエデの合流にそこの拾壱も釣られるとは思ってなかったがな」

「......それでも目を離したのは一瞬だったはず、距離がそんな無かったとはいえ、その一瞬に連れてくるとはな......」

「引っ張ってくるだけだ。一瞬もあれば十分だ」


全員の驚きを他所にヒュウガは連れてきた二人寝かせ、その横に膝を着く。カエデを盾にしながらもヒュウガはロレイ背を向けた。


「カエデ、そっち任せるぞ」

「何が」

「治癒の氷」


カエデの返事を待つ無視し、ヒュウガは技名を唱えて重症のアルトに手をかざす。手からはゆっくりと冷気が流れ、そしてアルトの身体を覆う。


「何をしてるんですか?」

「応急処置」

「え?」


近づき問うアキハにヒュウガは短く答える。ヒュウガの言ってることが理解出来ずアルトの方を見返しすと、派手に切り裂かれたアルトの身体を皮膚と皮膚を繋ぐように冷気が凍結していく。


「ヒュウガ、傷治せるんですか? ユスケとキャラ被っちゃいますよ?」

「別に完治出来るわけじゃないよ。あくまでも応急処置ってだけ」

「それでもすごいですね......アルトが終わったら私もお願いできます?」

「愛しの妹のお願いだから叶えてあげたいのだけど、生憎この技は結構疲れるものでね、そう何度も使えないんだ」


苦笑しながらヒュウガは残念そうにアキハの頼みを断る。


「その割には余裕そうですけど......でも無理ならいいです。私も致命傷ってほどではありませんし」

「本当にごめんよ、愛しの妹」

「しつこいです! というかその愛しの妹やめてください! 気持ち悪いです!」

「気持ち悪い......」


ストレートに罵倒され傷付きながらもヒュウガは応急処置を終えて立ち上がる。

アキハが改めてアルトの身体を確認するも見事に傷が塞がってるのを見て「すごいですね......」と感服する。その一言でヒュウガの心も癒されたようで嬉しそうに笑みを漏らす。


「終わったか?」


ロレイが一言声をかけ、それを聞いたヒュウガの表情は一瞬でにやけ顔から真顔に切り替わる。盾となっていたカエデを押し退け、再びロレイと向かい合う。


「待つとは、随分だな」

「いやぁ、思わず見惚れてたもので」

「見惚れられるなら女だけで十分だ。男に身惚れられても何も嬉しくねぇよ」


ロレイはヒュウガが治療したアルトを見て、その様子に改めてヒュウガを賞賛する。


「反撃の隙を与えず攻める容赦の無さ、一瞬のを逃さず有効に使う判断力と視野の広さ、そして異能力のレベルの高さ! (まさ)しくSランク! 実はヴァイズより強かったりするんじゃないですか?」

「皮肉だな、あるいは嫌味か? 言っとくが、お前が思ってる以上に絶殺は強いぞ」

「知ってますよ。俺だって対面したら毎回ヒヤヒヤしてますもん。任務ミスるんじゃないかって」

「そんなレベルじゃねぇよ。いいか、お前が手抜いてるうちはお前は絶殺に勝てねぇし、()()()()()()()()()()()()()()

「......何を知っている?」


ヒュウガの発言に突然、ロレイの態度が変わった。

先程までの小馬鹿にするような態度ではなく、彼には珍しい真剣な態度。それを見て何かを感じ取ったヒュウガは鼻で笑うかのように言葉を続ける。


「割りと知ってる方だ。お前のボスや()()()()()()()()()()の事とかな」

「......何故そこまで知ってる」

「伊達に二年ほっつき歩いてねぇよ」

「......予定が変わった。あんたも周りと一緒に死徒にして貰おうかと思ってたが......」


ロレイの様子はさらに変化し、わかりやすく、そして痛々しいほどに()()を漏らしていた。


「駄目だ、あんたは知りすぎてる。危険人物だ。ここで殺す」


言い終えると同時にロレイが小さく手を動かす。それに合わせるようにヒュウガが一歩下がる。カエデやアキハも氷で押し退けるようにして下がらせる。

すると、次の瞬間、目の前で空気が押しつぶされるように空間が歪んだ。


「回避した? 事前に気づいたのか......なるほど空気の流れを読んだのか。それも自身の異能力で温度を下げ作った冷気の流れを」

「俺を殺すとか言ったか? ならそれは無理だ。少なくとも、()()()()()()()()()()()()()

「いや殺す! 今ここで!!」


ヒュウガの挑発に乗るようにロレイは飛び出した。

速い。ヒュウガの言う通り手を抜いていたのだとはっきりわかるほどにロレイは速い。

けれどヒュウガは何一つ焦ることなく、落ち着いた様子で呟いた。


「煽っておいて悪いが、お前の相手は俺じゃない」


ロレイの一撃はヒュウガに届かず、その拳は大剣によって受け止められた。


「ロレイ、お前の相手は俺だ」

ヒュウガさん、アキハの前だと人が変わりますね。

極度のシスコン......


読者も何となくわかってきてると思いますが、自分、台詞で終わらせるの大好きマンです。だって区切りいいですもん。

多分これからもしてくんで「いつも通りだな」と平和を感じる暖かい目で読んで頂けると助かります。

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