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ディフェレンター  作者: 論です
2章 キマイラ編
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SS 誰かの願いが

9月頃からあっためてた七夕ネタです。

「願い事か.....」


白紙の短冊を前に俺は短く呟いた。

本日、七月七日は世間的によく知られる七夕である。

東洋異能力学園では、というより学園長秘書のララード・ファスタがそういった行事には目がなく、自分だけでなく生徒教員を巻き込んで行っている。


「終わった?」


突然後ろから声をかけられ、慌てて振り返るが、声の主がわかると安心して胸をなでおろした。


「ああ、ミアか。いや、まだだよ」


多くの生徒が願い事を書き終え、短冊を笹の葉に飾っている中、同じように願い事を書き終えた様子のミアが声をかけたようだ。


「決まらないの?」

「決まらないというよりは特に願うことがないんだよ」

「願い事がない?」

「まあな」


俺は裏表白紙の短冊を見せながら答える。その様子にミアは不思議そうに首を傾げる。


「何もないの?」

「何もないよ」

「強くなりたいとか?」

「いつも修行してるし」

「死徒を倒したいとかは?」

「それは願いというよりは目的だし」

「お金持ちになりたいとか?」

「それはアキハだろ」

「誰が貪欲ですか!」

「本当に何もないの?」

「本当に何もないんだよ」


嘘でも見栄でもなく本当に、今の俺には叶えたい夢も願い事も何もないのだ。


「というか、俺の家じゃ七夕の行事がなかったからやる気も出ないんだよ」


やる気が必要かどうかはさておき、実際俺の家ではクソ親父(ウルス)がやりたくないということで七夕の行事そのものが行われていなかった。


(それを今更なぁ......)


今も学園の方針だからという理由で参加してるだけ正直言えばあまり興味がなく、最悪アルト(あっちのオレ)に書かせればいいだろう。と思っていた程だ。

しかし、アルト(あっちのオレ)の方も願いには興味がないと引きこもってしまったので手詰まりの状況なのだ。


「本当にないの?」

「じゃあ参考までに聞くけど、ミアはなんて書いたんだ?」

「えっ、えっと、私は......」


逆にと聞き返すとミアは少し焦ったように、答えにくそうに頬を染める。

それから一秒程妙な沈黙が流れるとミアが少し恥ずかしそうな表情で、


「みんなとずっと幸せでいられますように」


と短冊の一文を口にした。


「ミアらしいな」

「そう、かな?」


そのお陰か、俺は自然と筆を走らせては短冊を飾った。


「なんて書いたの?」

「別に。少しでも頭が良くなりますようにだよ」

「本当に?」

「なんで疑うんだよ」

「アルトらしくないから」

「らしくなくて悪かったな。ほら、もう用も済んだんだし行くぞ」

「うん......」


足早に部屋を出る俺の後をミア少し戸惑いながら着いてきた。

そこに一枚の短冊を残して。


『幸せを願う誰かの願いが叶えばいい』

時系列的には本編はまだ6月で七夕は迎えてないんですよね。まあifとかご都合世界とでも捉えてください。

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