71話 ヒュウガの頼み
一日における暇な時間が多くて困る。
そういう時間使って小説書けば?って思うだろうけどさ...ほら、なんというか、今はそういう時じゃないって時間あるやん?その時間が暇なんや。
「力を貸してほしい」
そう言ったヒュウガはその言葉の意味を話すため、深夜、教員職員含めほとんどの人が眠った時間に俺たちを呼び出した。そう...俺たちである。
「お前らも呼ばれてたのか......」
その場には俺とミアだけでなく、カエデやエルモアたち、いつものメンバーが居た。
それだけじゃない。普段はあまり絡みのないリュウトやリヨウ。さらには生徒長すらもこの深夜の食堂に足を運んでいる。
「なぁ、これなんの集まり?」
てっきり自分とミアだけが呼ばれたものだと思っていた俺は隣にいたカエデに事情を聞く。
「俺とアキハもお前らと同じようにヒュウガに手を貸してほしいと言われてここに来たから何もわからん」
「そっか......ちょっと待って、お前らと同じようにって、なんでお前俺とミアが一緒にいたの知ってんの?」
「それは今関係ないだろう」
「あるよ!大いにあるよ!」
しれっと言われた事実に問い詰めるもカエデは話すことじゃないと口を割らない。
くそ、このやろう!
そう思いながらカエデの横顔を睨んでいると食堂のドアが開き、ジャッツの秘書のことラインさんが入ってきた。
そしてその後に続いて、今回、この場に俺らを呼び出した張本人が扉を締めながら入ってきた。
「随分と遅かったなヒュウガ」
「思いの外、準備に時間かかった。呼んだのはこっちなのに悪かった」
ジャッツの指摘にヒュウガは申し訳なさそうに頭を下げ、中央の席に腰を下ろす。その動作が少し気怠そうにしているように感じるが瞳だけは緊張を覚えるほどに鋭かった。
「で、早速本題だが......」
ヒュウガが話し始めると隣に立っていたラインが懐から大きな紙を取りだし広げた。
「次の遠征で俺たちが行くところに今は使われなくなった廃道がある。そこにここ数年、行方不明となっている動物たちがいるらしい」
「動物?動物って猫とか犬とか鳥とかのあの動物か?」
「ああ、猫とか犬とか鳥とかのあの動物だ」
俺の疑問にヒュウガは復唱するように答える。
ヒュウガの当たり前の回答に俺は別の疑問が浮かぶ。いや多分これは俺だけに限らずこの場にいる全員が思っただろう。
しかしヒュウガが「その事も含めて話すから待て」とでも言いたげな目で見てきたので聞くのをやめる。
「どうやらその動物たちがなんらかの実験に利用されているらしい。そこで俺らの目的は、その動物たちを助け、自然または家族の元へ返すことだ」
助けて自然または家族の元へ返す。これが俺の質問に対する回答のようだ。
元々ヒュウガはここまで話すつもりだったらしく、先走った俺が馬鹿みたいだ。いや馬鹿だ。
同時にそこまでで一度話が区切られる。そして一拍置いてカエデが手を挙げた。
それに気づいたヒュウガが話すよう促す。
「お前が俺たちを集めた理由はだいたいわかった。その上でいくつか質問をさせてもらう」
「ああ、答えられる範囲でなら答えよう」
カエデの提案にヒュウガが少しぎこちなく受け入れた。
「まず、この話、ソースはどこだ?」
カエデが最初に聞いたのは話の情報源。確かにこれがわからなければ協力するにも信用を持てない。
この質問にヒュウガは短く、「答えられない」と言った。
「答えられないというのはどう言うことだ?何故答えられない?」
「情報源を知られると困るからだ」
流れるように次の質問を聞くカエデ。その質問にヒュウガはイマイチ納得のいかない答え方をする。
「誰が困る?そもそもその情報源は信じていいものなのか?」
「......」
「協力を求めるならそのくらいは明かしてもらいたい」
「......」
若干早口になるカエデの表情は少しだけ苛立っているように見えた。
「黙られても困る。せめて何か言ってくれ。じゃないと......」
「悪いがそこまでにしてやってくれ。多分これ以上は時間の無駄だ」
ジリジリと近づくカエデをジャッツが制止した。
恐らく情報源についてはジャッツも聞かされていないのだろう。それでもヒュウガを庇ったというのはそれだけ信頼しているということだ。
その意味を問い詰めていたカエデ自身も理解したようで、大人しく口を閉じる。
ジャッツの思いは確かにこの場にいる全員に伝わった。ただ一人を除いて。
『悪ぃなジャッツさん、それじゃ納得出来ねぇよ』
刺々しい口調で言い放ったのはアルトだった。
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全員の視線がオレへと集まる。
かなり鬱陶しい。そこまで変なことを言ったつもりは無いがこいつらにとっては意外なものだったのだろう。
もしかしたらいつの間にか入れ替わっていたことに驚いているだけかもしれない。
そんな全員の視線を無視し、オレはヒュウガを睨みつけ話す。
「この際だからはっきり言わせてもらうが、ヒュウガ、オレはお前の事を一切信用してない」
オレの台詞に全員が目を見開き、ヒュウガは睨み返すようにこちらを見る。
「アルトはある程度とお前のことを信頼してる......と言っても半信半疑だがな。がオレは違う。オレはお前を信用してない」
「アルト」
ミアが不安そうにオレの服の袖をつまむ。
強い癖に小動物のように振る舞うその様子がオレは腹が立ち、少し強めミアの手を振り払う。
それを外と内で見ていたアキハとあいつが鋭く睨んでくるが無視してオレは話を続ける。
「てめぇはいつもそうだ。自分は見透かしたかのように適当に話を進めて、大事なことは何も話さなねぇ。それで協力してくれだと?ふざけんじゃねぇよ!!」
食堂中に怒号が響き渡る。もしかしたら職員の誰が起きて見回りに来るかもしれないが、そんなことどうでもいい。
ヒュウガにははっきり言ってやらないと気が済まないからだ。
「この体はオレがこっちに来るための大事な器なんだ。それを信じていいかわからねぇ博打に賭ける訳には行かねぇ。あいつが許してもオレは許さねぇ」
「それに」と言葉を繋げる。
「お前のその眼、なんでその眼は世界を見ることが出来る?」
ヒュウガの眼はただの眼ではない。あいつと同じように世界を見る事が出来る眼だ。
本来なら、あいつですら見ることは出来ないはずなの世界をなんの関わりもないヒュウガが見れるというのはオレの知らない何かあるはずだ。
それがわかるまでオレはヒュウガを信用出来ない。
「あいつがなんと言おうと、お前が話さないならオレはお前を信用しないし、協力もしない。この話は関係ないものだと無視する。じゃあな」
オレははっきりと断言し、その場を後にする。
最近、名前〜の回多いですね。というか実は逆で、名前のキャラが主要的な回だから自然とこういう回名になるんですよね。




