56話 不安との再開
翌日、依頼の内容であった村を襲う死徒の殲滅をこなした俺達は昼過ぎに村を出た。
本当なら朝一で出たかったが昨晩の戦いでロレイを仕留め損ねた事が不安要素となり、もう一回だけ森を散策していたからだ。
しかし死徒が拠点としてるような場所は特になく、無駄足だった。
いや、何も無いならそれに超したことはないからいいんだが。
森から戻ってきたからすぐに出る予定だったが、村の人達がお礼をしたいということで昼食を頂く事になり、結果村を出たのが昼過ぎになったのだ。
ここまではまだ良かった。問題はここからだ。
来た道を帰るだけなら夕方...日が暮れる前には戻れただろう。
しかし、そうは行かなかった。
来た道と同じ道を通ったはずなのに道が複雑になっており、行きより時間が掛かっている。
御者の人が言うには道はこれで間違いないらしいが、明らかにおかしい。
まるで地形を変えられているような...
けれど、今の俺達に何かすることも叶わず、ただ馬車の中で揺られているしかなかった。
それから三時間くらい経っただろうか。
既に日は落ちており、馬も足を止めざるを得なくなった。
御者の人曰く、現在地は恐らくあの村と首都の中間らへんとの事。
今日中に着くのは厳しく、このままではこの森で野宿という形になる。
ロレイという不安要素もある中で野宿は極力避けたい。
無理を承知で馬を走らせて貰おうとしたその時、馬車の車輪辺りの地面が崩れた。
俺とミアは咄嗟に抜け出せたが、馬と御者の人は雪崩に巻き込まれてしまった。
「大丈夫ですか?...」
ミアが急いで駆け寄り、下敷きとなった御者を助け出す。
「うっ...私は...」
意識は朦朧としているが問題はなさそうだ。
それより問題は...
「なんで地面が崩れたか...今のといい、地形の変化といい狙われてるよな?俺ら」
「多分...」
どうやらミアも同じ考えらしい。
「これからどうする?移動するか?それともここに留まるか?」
「移動したいけどこの人を見逃せない...それに留まるのは危険だけど...今動くのも十分危険だと思う...」
確かに。
死徒狩りじゃない負傷者を背負ったまま移動して守り切れるか、ミアはまだしも俺には不安が残る。
「じゃあどうする?待機か?」
俺は不安を投げるように聞く。対しミアは落ち着いた様子で答えた。
「とりあえずは...アルトは周囲を警戒してて...」
「了解」
ミアの指示に従い、俺は少し距離を取ったところから辺りを見渡した。
(...........なんか見える。というか目が合った)
俺は少し悩んだのちミアの方に目を向ける。
「悪いミア、少し離れる。その人の事頼んだ」
「えっアルト...どういう...」
俺はミアに一言残し、それを追うようにしてその場を離れた。
本当なら「何も見てないです」とやり過ごしたかったが、これも昨晩俺が仕留め損ねたのが原因。自分の尻拭いは自分ですべきだと俺は森を走る。
「それに...」
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走り続けているとやがて開けた場所へ出た。
崩れた木々で囲まれ逃げ場のない場所。
そこで俺は、退屈そうに待ち構えていた奴と出会う。
「お前...何処までもしつこい奴だな...ロレイ・グラード!!」
「流石に俺もなんの成果も挙げずに帰られないんでね...」
ロレイは手招くように構え呟く。
「俺と遊ぼうぜ?二人のアルト...」




