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ディフェレンター  作者: 論です
1章 東洋編
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50話 過去と絶望

学校で原稿書いて後で移せば早く更新できんでね?と考えたこの頃。

実際そうでもなかったこの頃。

依頼が始まれば俺とミアの仲は元に戻る。と思っていた訳ではないが、期待してなかった訳でもない。だが所詮、期待は期待なだけで俺とミアの仲はギクシャクしたままだった。なんなら効率がいいからと別行動を取られる始末だ。

俺は寂しさに塗れながらトボトボと村を囲う森を歩いていた。

昼間の調査では何も無かったが、夜間は死徒が動き出す時間帯だ。何も無いはずがない。今のところ一体も死徒とは遭遇してないが、気を引き締め一歩一歩を慎重に進む。

しかしどんなに集中していても、あの時の彼女(ミア)の悲しげな表情が脳裏にチラつく。


「やっぱ、何もないなんてことは...ないよな」


気になって...気になり過ぎた俺はいつの間にか考えは行動に変わり、進むべき方向と逆方向を走っていた。


(嫌がられてもいい。またぶん回されてもいい。それでも向き合って話を聞くべきだ!逃げてたら絶殺の...ミアのパートナーなんて務まらない!)


生半可な覚悟で聞けない話だ。とユスケは言っていた。


「生半可な覚悟?...何言ってんだ...俺の覚悟はもうとっくに決まってんだよ!」


------------------------


私は何をしてるんだろう。

いつもは怪我をしないか心配でアルトの傍を離れないようにしてたのに、今は私から別行動を取ろうなんて...いや、これでいい。

もしこれ以上わたしが(アルト)と一緒にいたら、本当に絶殺でいられなくなる。私の居場所がなくなる。それだけは...嫌だ。


「これでいい...元からこのくらいの距離で良かったんだ...」


何度目かわからないくらい私は自分に言い聞かせた。


「それにしても...」


私は暗闇の先に銃を向け撃つ。すると、


「ッグ!ルアッ!」


森の奥から低い唸り声が聞こえる。ヘッドホン越しからでも聞こえるその不愉快な声は死徒によるものだ。私はそれに間髪入れずナイフを抜きその頸を斬る。


「なんで今回の依頼は...ここまで死徒が多いんだろう...」


額の汗を拭いながら消え行く死徒を見る。

今回の依頼は森に住み着く死徒の殲滅で数はそこまで多くなかったはず...だというのに私が倒した死徒は三十体を優に超えていた。


「誤報か単に増えただけか、あるいは...」


どちらにせよ死徒を殺すことには変わらない。

私は先の見えない暗闇とかした森の中を進み続けた。


「ッ!」


滑り転びそうになった私はその場にあった木を掴み堪える。


「危なかった...ちょっと、疲れてきた...」


銃の弾が残り一発になるほど死徒を殺したんだ。流石に疲労が見えてもおかしくない。

私は弾の補充をしようと一度村の方へ視線を向ける。


「少し...遠い...アルトにも伝えなきゃいけないし...」


また彼の事を考えてしまった。彼に対する優しさは捨てたつもりなのに...


(今の私は絶殺だ...彼の事をなんて考える必要は無い...ただ死徒を殺す事だけを考えよう...)


私は気持ちを切り替え村へと一歩を踏み出そうとした瞬間、足を引き戻し体を捻り、振り返って最後の一発を撃った。


「うぉ...危ねぇな...危うく死んじまうところだったぜ...」


外した...?いや、避けられた...?

今までならこの一撃で動きを封じてナイフで斬り掛かれたが弾が当たってないとなると戦い方が変わる。

私はいまだ見えない敵の姿に注意しながら次の手を考える。


「リボルバー式のハンドガン...なんちゃらマグナムとか言ってたな。結構威力強いの。球の数は元々入ってるのが八発で替えが三十二発だから今ので最後だよな?」

「ッ!!」


なんで死徒がそれを知ってる...?


「そして、お前は体力がないから基本的には一撃必殺の戦闘スタイル。だがこれだけ死徒と戦わせれば体力もそろそろ限界だろう」

「ナイフ術は誰よりも強いがこれだけ距離を取っておけば恐れる必要も無い。俊敏な動きも体力的に無理がある」

「異能力が炎や雷のような属性系じゃない分使える技も限られる」

「背後に村がある時点で引く事はほとんど出来ない。元より引かせるつもりはないが」


姿の見えない死徒はつらづらと語る。どれも的確なものだ。


(こちらの手の内が全て読まれてる。というより私の事を詳しく知ってる...?前にヒュウガさんが戦った異死徒拾伍段も私の事を絶殺と知っていた。どこかで情報が漏れてる...?それとも...)


あまり考えたくない事を頭の隅に置き暗闇の中へと目を凝らす。そして、月明かりに照らされ声の主たる死徒の姿が顕となった。


「なっ!あなたは...ッ!」


刈り上げた茶髪に濁った茶色の瞳。背丈は私より少し大きくアルトと同じくらい。筋肉質な体には蛇のようなタトゥーが彫られている。


「久しぶりだな...()()()()元気にしてたか?」


この一年一度も忘れたことは無い...忘れるはずもないその姿を。


「お前の()パートナー。ロレイ・グラードが逢いに来たぜ」


------------------------


「ロレイ・グラード...あなたは死んだはず...どうして...」


私は隠しきれない衝撃に身を震わせながら聞く。


「ああ、確かに俺は死んだ。お前に殺された」

「それは...」


あの時の苦く血反吐の出るような嫌な記憶が甦る。


「まあ別にいいんだよ。あそこでお前に殺されたの想定外だっだが、今ここで死徒になってお前と再会するのは()()()()だからな」


予定通り...?どういう事...?

彼の発言に疑問が浮かぶ。しかし、そんな疑問さえも彼が死徒として私の前に立っている衝撃には敵わなかった。


「少し話をしよう。と言っても半分愚痴だがな」


ロレイは近くにあった木に寄りかかって喋りだした。


「俺はあの日お前に殺された後...いや、正確には死んでいない。辛うじて生きていた俺はあの方に殺され死徒になった」


(あの方...拾参段の死徒も口にしていた。誰の事だろう...ヒュウガさんの言ってた原初の死徒だろうか...)


私は少しずつ取り戻した冷静さで彼の言葉に頭を回転させる。


「計画だったとは言えやっぱ死ぬのは怖ぇな。ましてや、一番信頼してたパートナーに殺されるなんてな」

「ッ!!」


私が冷静さを取り戻しても彼はすぐに掻き乱す。


「俺はお前に...絶殺に憧れてたんだぜ?強くてかっこよくて、何より美しい。死徒を殺してる時ですら返り血を浴びたその姿すら絵になる美だったかんな...だから、自分が馬鹿に思える程油断してたんだよ」


憧れ。

彼は私にそんな感情を抱いていたのか。それを私は...


「聞いてるぜ。新しくパートナー出来たんだってな。しかもそいつ、お前が学園に入るのを推薦したんだろ?よっぽどお気に入りみたいじゃねぇか...で?()()()()()()?」

「ッ!...私は...!」

「俺の時は半年だったもんな。あいつはいつだ?単独で行動してるって事はそろそろか?その為に冷たく接してるんだろ?」

「違っ!私は!」


聞くな。これは戯言。ただの戯言。彼が私を乱す為のただの戯言なんだ。


「違くねぇよ。実際に俺はお前に殺された。パートナーだったのに、仲間だったのにな!」

「それは...でも!アルトは!」


答えるな。答えれば...それだけで呑まれる。


「俺だけじゃないんだろ?殺したのは。知ってるぜ。お前は俺を殺した後も何人も仲間を殺し続けた」

「違う!違う!」

「お前は!お前の異能力は!人を殺す為の力だ!お前の体は人を殺す事を求めてる。人を殺して快楽を得てる。お前は人を殺さずにはいられない人間なんだよ!」

「違っ!私は...殺したくて殺してるんじゃない!」


私の叫びは森全体に響いた。


「私は...私は...ッ!」


突然私の体に何かが掛かり重くなる。


「これは...ッ!」


あまりの重さに私は膝を着き倒れ込む。


「重力。俺の異能力でお前の空間を重くしたんだ。いくら絶殺といえどここまで動揺させれば油断もするか」

「くっ!!」


忘れてたわけじゃない...当然警戒してた。けど途中から...叫んでるうちにその警戒はどこかへ消えてた。

必死に立ち上がろうとするも先程の疲れも含め、力が入らない。


「やめとけ。今お前に掛けてる重力は三百キロ以上だ。その細腕と体力では無理だ。ふん。お前の体力と銃弾が尽きるまで死徒をぶつけた甲斐があったもんだ。まあそれを抜きにしても今の俺にお前が勝てる事は無いがな」


そう言うとロレイは服の襟をめくり首元を見せてきた。そしてそこには、ナイフで斬られたような傷痕と拾壱の文字が書かれていた。


「異死徒拾伍段、第拾壱段。ロレイ・グラード。それが今の俺だ」


異死徒拾伍段。ここに来て、この状況でさらなる事実の告げられる。


「......」


私は重力に抵抗しながら、彼を見続け打開の策を考える。しかし、


(今の私に...彼を、死徒をロレイを...殺せる?)


いくら考えても解決策は出てこない。それどころか、あの日の記憶と絶望が頭の中を汚染する。


(駄目だ。今の彼は死徒なんだ。殺さなきゃ行けないんだ相手なんだ。あの日の事はもう...)


でなければ殺されるのは私だ。


(優しさを捨ててまで自分の居場所を守ろうとしたんだ...ここで死んだら...何も意味が無い)


わかっていても体は動かない。ロレイあの手が向いてるうちは重力は解けない。

重すぎる重力はただ私の体力を削るだけで。けれどそれだけで、私は何も出来なかった。


「安心しろお前は殺さない」

「え?...どういうつもり...?」


ロレイはこちらに手を向けたままゆっくりと近づき話す。


「お前はあの方の元へ連れてって俺と同じく死徒にしてもらう。まあ、仮に死徒に出来なくともお前程強い異能力なら良い栄養にはなるだろう。どちらにせよここで殺すのは惜しいということだ」


この期に及んで彼は私を殺さないと言った。いや、そっちの方が確かに結果的には良いのかもしれない。

彼は私の手札を全て切らせ、さらに自分の登場と過去の話をすることで私の精神を乱す。油断した所に重力で身動きを封じる。そして、私を連れて帰りどちらに転んでもいい結果を残した。

全て彼は考えてた。最初から最後まで全て。私を倒す為に全て考えていたんだ。それなのに私は...自分の居場所を守るために。自分のために、(アルト)への優しさを捨てるために、一人で行動して彼の作戦に負けた。

最初から二人で行動してればこんな事にはならなかったのに...愚かな私はまた大切なものを失う。

やがて抵抗する力すら無くなった私は倒れうつ伏せる。視界もだんだんと狭まってきて、意識が遠のいてきた。


(ああ、私は、ここで終わるんだ...)


今まで殺して来た人達もロレイもこんな感じだったんだろうか。

私は償えない罪を残したまま死ぬのか。


(私にはこれくらいがいいんだ。罪悪感に塗れたまま、無様なままの方が相応しいんだ...)


完全に諦めを選んだ私はロレイに向ける目を瞑ろうとしたその時、


影斬り(かげきり)!!」


掛け声と共に体が軽くなるのを感じる。

何が起きたか、閉じかけた瞳を開きその光景を目にする。

そこには、片腕を斬られ後ずさるロレイと刀を構え対峙する...


「待たせたな。ミア!」


(アルト)がいた。

書き終えても興奮が止まないリヴァイ論です。

今回はやばいです。今まで見ていただいた読者もまだ見てない人も是非見てほしい回です。そして、この事を後書きで書くっていうね。


さて今回、最初だけアルト視点でそのあとはずっとミア視点です。

いやぁ...明かされましたねミアの過去。元パートナー異死徒拾伍段、第拾壱段のロレイ・グラードの登場。いやぁ...もう最高ですよ!興奮度MAXですよ!そして最後のシーン。はぁ...最高過ぎる。書いてて楽しい。

この興奮とモチベを下げないまま俺は続きを書きます。


最後までご愛読ありがとうございます。次回も是非見て下さい。

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