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ディフェレンター  作者: 論です
1章 東洋編
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48話 学園の模範

学校が始まっても不規則な生活の治らないこの頃。

非常にまずいとは思ってますが、思ってるだけです。体に染み付いてしまったのでどうにも出来ません。

私は死徒が嫌いだ。

人を簡単に傷つけて嘲笑う。あの死徒達が嫌いだ。

ただ、それ以上に、死徒と同じように簡単に大切な人を殺してしまう。自分が嫌いだ。


------------------------


「これは...非常にまずいな...」

「まさかここまでとはね...」

「もう少し出来ると思ってました...」


遠征が終わり、二日間の休暇を貰い、そして休み明けの今日、昼下がりの食堂にて俺は過去最高によろしくない状況に頭を抱えていた。それは、


「全教科オール赤点とはね...」


そう。テストである。

休み明け抜き打ち...ではなく遠征前に予告のあったテストを俺はすっかり忘れており、一切の勉強をしないまま挑んでみればこの有様だ。

この学園のテスト自体レベルが高いというのもあるが、そもそも俺が授業に追いつけていないというのが大きい。


「しょうがないよ...アルトはまだ入学したばかりだから...」


ミアが俺に慰めの言葉をかける。

有難い。非常に有難いのだが、


「ミア、入学したばかりと言ってももう一ヶ月以上経ってるのよね?それでこれだと、もう本人の問題よ」


カザミが言って欲しくない事実で俺を追い詰める。


「別にテスト悪くても遠征とか功績挙げてればよくね?」


俺が現実逃避の意味も含めて言うとハヤテが呆れ顔で返した。


「前にも言ったけど、遠征に行くにはそもそもこのテストである程度点数を取ってなきゃ行けないよ。ここは異能力者を育てる学校だけど、ただそれだけ。教育方針は違えどあくまでも学校なんだから、成績悪いと色々響くよ」


ハヤテは脅すかのように言った。

あーそんなこと言ってたなぁ...

あの時はどうでもいい事だと聞き流していたが、本人と学園としては重要な事らしい。

今更になってあの頃の自分を恨みだす。当然手遅れなのだが。


「どうするんですかアルト、テストは二週間後ですよ。今回のテストで赤点取ると次回遠征行けないかもですよ」


アキハが心配そうに...どこか楽しそうに言った。というかこいつは絶対楽しんでやがる。


「というかアキハ、お前は大丈夫なのかよ。お前絶対俺と同じタイプだろ」


嫌味混じりに愚痴るとアキハは胸を張って答えた。


「ふふーん。安心して下さい。私はきっちり、ミアとカザミに教えてもらいますから!」

「他力本願かーい!」

「当たり前じゃないですか!この学園のテスト難しいんですもん!」


自信満々に放ったアキハを見てミアとカザミは溜息をつきながら頭を抱えた。

可哀想に...


「今回からはアルトも加わるのね。はぁ...エルモア達にも協力してもらいましょうミア」

「そうだね...私達だけじゃ手付けられないね...」


サラッと悲しい事を言ってくれるミアに俺は不服の眼差しを向ける。ミアは一体どう捉えたのか、俺の眼差しに対し優しげな表情で微笑み返した。

見事にカウンターを喰らった俺は顔が紅くなっているだろうことを悟られないようにうつ伏せた。

だが、勘のいい例の二人は俺の反応を見てニヤニヤと笑っている。

腹が立ったので仕返しに隣で笑い堪えるハヤテの横腹を殴った。

「いてっ」と小さく呻いてが無視だ。

しばらく五人で楽しく談笑をしていたが、楽しい時間というのは長くは続かない。

時計の針が四時を過ぎた頃食堂に一人の女性が入って来た。

学園長の秘書だ。

そして学園長の秘書はミアに近づき、話があるから来てくれとミアを連れて行った。

それだけなら別に構わなかった。ただ、連れて行かれた時のミアの表情が酷く暗く悲しげだったのが不可解で、不愉快で、俺の気分を落とす十分な原因になった。


------------------------


秘書の人に着いて行くと毎度のように園長室に通され、学園長と対面した。


「学園長、おはようございます。本日はどう言ったご要件で?」


私が聞くと急かしているように捉えたのか、秘書の人が私を睨んだ。


「いや何、今日は少し確認をしようと思ってね」

「確認ですか...」


学園長はいつもと変わらぬ笑顔で言った。


「君は最近アルト君や他の子達と仲がいいようじゃないか」

「アルトはパートナーですし、アキハ達も友達ですから...それがどうか?」


私は疑問符を頭に浮かべながら首を傾げた。

すると学園長は口は笑ったまま、視線だけ鋭くなった。


「それ自体は構わないのだが...随分と()()()()()()じゃないかな?」

「.......」


学園長は秘書の人が淹れたコーヒを飲み一息ついてから続きを話す。


「君は絶殺という名のこの学園における模範だ。私は君の功績を認め、君を自由にしてきた。しかし、もしそれが気の緩みとなり、君の絶殺としての価値を下げるようなら...」


学園長はいつもと変わらない。いつもこんな風に私を模範だと示し、あの時の緊張感を思い出させる。


「君がここに立つ理由はなくなる」

「ッ!」


学園長からは既に笑みは消えていて、ただひたすらに視線から課せられる圧だけが残った。


「私は君に頼んだのは『彼を強く育てて欲しい』だ。忘れてはいないだろう?...」


そして学園長は再び笑みを浮かべ、


「信頼しているよ。私の...絶殺(ミア)君」

「ッ!...わかりました...失礼します」


その圧の重さに耐え着なくなった私は適当な相槌を打ちその場を後にした。


------------------------


私は絶殺だ。私がここに居れるのは全て学園長(あのひと)のお陰だ。私はあの人の為に、この学園の為に絶殺として...生きなければならない。

その為には優しさすら...捨てる必要がある。


------------------------


十分経っただろうか。適当に駄べっていたせいか、いや、話なんてほとんど耳には入っていなかったが。

けどある程度時間が経っていたことはわかっていた。そして、そのある程度の時間が経った後ミアは帰ってきた。


「ミア、お帰り。意外と早かった...な...何があった?」

「何が...?」


ミアの声を聞き瞬間俺は恐怖を覚える。

俺は目がいいが別にヒュウガのように感情を見抜けるほど有能ではない。ただ良いだけだ。

けどわかる。毎日隣に居てずっとその顔を見て来たのだから。ずっとその優しさを見てきたから。だから、


「なんで、そんな()()()()()()()()()()()をしているんだ」


ミアは俺の問い掛けに答えない。ただ俺の横を通り過ぎた。

反射的なものだっただろう。俺はミアが通り過ぎる瞬間、ミアの手を掴んでいた...掴んだ。

そして、言う。


「何があったんだよミア。なんでそんな顔をしてるだよ」


俺が問いかけてもミアはこちらに視線向けない。眼中に無いのか。ただ一言。

「離して」とだけ呟いた。

その台詞には酷く重いものを感じた。何度も感じてきたこの感覚は...殺気だろうか。

ミアは俺に対し殺気を放っていた。

けれど、俺は手を離さない。

ここで離したらもう二度と掴めないんじゃないかって、そう思ってしまったから。だから俺はミアの手を強く握った。


「離さない。ミアが喋るまでは。今までは避けてきたけど、今回ばかりは見逃せない。何を一人で抱えているんだミア。俺はミアのパートナーなんだから......ッ!!」


言い終える前に俺は床に叩きつけられていた。

無防備な状態で叩きつけられた俺は痛みのあまり声にならない声をあげる。

痛みを堪えながら微かに目を開け視線をミアに移すがそこには、

今までに見た事のないほど残酷で冷酷な表情をしたミアがこちらを見下ろしていた。

そして、凍てつくような冷め切った声で言った。


()()()には関係ない...余計な事はしないで...」


突き放すようなその台詞は俺の胸の奥に深く刃物として刺さった。

ドチャクソシリアス大好きなリヴァイ論です。

今読書時間で読んでる本はシリアス少なめです!


さて今回、いつもの日常回ではありませんでしたね。

いやぁ、ちょっと書いてて...ゾクゾクしました。こういう暗い話は大好きです。

恐らくこれから数回はミア視点の話が増えると思います。結構ミア視点の話って書いてて楽しいんですよね。って事で今年書こうと考えているスピンオフはミアかなぁ...


最後までご愛読ありがとうございます。次回も是非見て下さい。

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