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ディフェレンター  作者: 論です
1章 東洋編
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47話 終わりと選択

学校前日にちゃんと夜更かしするこの頃。

いつも通りですね!

先程までの息苦しさが消え、幾分か楽になったのを感じる。

指先や体全体の感覚がない。糸も出せない。

体が冷えきったから?

何が起きた?

わからない...なんてのは現実逃避。わかっている。

私は頸を斬られたんだ。あの男に。

誰かがこちらに向かって歩いてくるのが見える。

視線を上げ顔を見ると、その男は見下した表情で話し出す。


「生きてるか?いや死んでるか。だがもう少し生き抗え。その間に少し話をしてやる」


話なんて...私は死ぬのを待つだけ。話す事なんて...

「お前の姉の話だ」

「えっ?」


お姉ちゃんの話?

どうしてか、その話を聞こうと思った私は死ぬ事に対し抵抗しようとした。

この男の優しさかそれともただ話を聞かせたいのか、男は斬れた頸を凍らせて死ぬまでの時間を作った。

そんなことをしても私が死ぬのは変わらないのに...

ただ、それでも死ぬ前に話を聞きたくなった。

あの姉の話を。


「お前、姉を憎んでんだろ?」

「...なんでそれを?」


話の始まりはまさかの発言。

私も私で否定せず肯定してしまった。

遅れてやってきた絶殺とそのパートナーの少年が驚いた様子でこちらを見ている。

どうせ死ぬならわかりやすく話しておこう。そう思った私は微かな力を振り絞り話した。


「そうよ...私はあの女が憎かった。私より劣ってるくせに姉だからという理由で私より優遇された。あの方も私ではなく姉を先に選んだ」


今思い出してもかなり腹が立つ。


「あの女が私の目の前で()()()に私の欠点ばかりを述べた!私を蹴落として、私より先に異死徒拾伍段、第拾伍になった!」


唐突に込み上げてきた苛立ちを負けた腹いせも含めこいつらに愚痴として吐いた。


「私を自信満々に第拾段になったくせに蓋を開けてみればただの役立たず。二年以上も死徒狩りに遭遇しないように動いて、その度に『会ってない』嘘を吐き続けた...」


姉は自分の実力をよく分かっていたから敢えて遭遇しなかった。戦いを避けた。避け続けた。


「やがて()()()は何の成果も挙げない姉に怒りを感じ無理矢理死徒狩りと戦わせた。そしてたらどうか、その日姉は帰らず死んだと報告を受けた。最初にあなたが言った通り、姉はあなたに殺された。何も出来ないまま」


その後入れ替わりとして私が第拾段になった。姉の時に失った信頼をと大きなプレッシャーを持って。


「姉は私をコケしたかったのよ。自分よりなんでも出来る私の事を羨ましかったのよ姉は!だから...だから...」


それ以上言葉は出なかった。

話す力が尽きたわけでは無い。ただそれ以上話しても怒りが湧いてくるだけだと知っていたから。


「そんなことねぇだろ...」


突然誰かが私の話に口を挟んだ。

声の元へ視線を動かすとそれは絶殺の隣に佇む少年だった。

私だけではなく他の、絶殺やあの男も少年に釘刺しだった。

視線が集まった事に気がついた少年は少し緊張気味に話した。


「あーなんて言うか、俺は兄だから妹のあんたの立場わからねぇけど、兄としての立場で言わせてもらえば...下の子に怖い思いさせるくらいなら嫌われてでも、立場を奪ってでも、()()もんなんだよ。だからあんたの姉もあんたを守ろうとして、自分から異死徒拾伍段になったんじゃねぇの?」


守る?姉が私を?


「そんなはずはない!姉は私を貶した!自分の姉としての立場のために!兄として?あなたなんかに何がわかると...」

「お前の姉は」


私の言葉遮るように今度はあの男が口を挟んだ。


「お前の姉は死ぬ寸前、俺に対してこう言った『私の事はどうぞ殺してくれて構いません。ただ、妹だけは、あの子だけはどうか...あの子には幸せになる権利があります。死徒が何を言うかと思いますが、あの子は優しい子なんです。だからどうか、あの子だけはどうか()()()()()()()()()...』ってな」


お姉ちゃんが?そんなことを?

にわかには信じられなかった。

いまだ疑いの眼差しを向ける私に男は話を続ける。


「あの死徒...お前の姉はお前に死徒としてではなく、人として幸せになって欲しいと願ってた。お前の姉はお前を貶すために異死徒拾伍段なったんだじゃねぇ。お前を戦わせないためになったんだ」

「そんな...そんなお姉ちゃんが...」


その言葉を聞いて私は酷く後悔した。その言葉が真実か確かめる術はない。けれど何故かその言葉は...あの男の言葉は嘘じゃないと思えた。だから私の瞳から大粒の涙が流れたのだろう。

どれくらいの時間が経ったかはわからない。死にかけだからそんなに長くはなかったと思う。

やがて私は涙を流す気力すらも無くなり。後悔したまま意識を失った。


「お姉ちゃん...ごめんね」


------------------------


死徒が消滅したのを見届けた俺達は目的地に向けて歩き出す。

本来ならここで一度拠点まで戻りたいがヒュウガは「これ以上敵はいないだろうから」と進むことにした。

先程の話で気になることがあり聞いてみるが、


「なあヒュウガ、ひとつ聞いていいか?」

「ダメだ」


あっさりと断られる。

いや、せめて質問の内容くらい聞けよ。

するとヒュウガは一度こちらをチラ見だけし話し出した。


「どうせ、なんで妹を殺さないで欲しいという姉との約束を破ったのかだろ?くだらねぇ」


わかってたのかよ。わかってて断ったのかよ。てかくだらねぇって...


「俺だって会うまでは殺さなくてもいいと思ってた。があいつにあって、あいつの罪を知った。姉の言った通り優しい奴だと期待した。そんなことは無かった。あいつは人をおもちゃとしか見てない奴だ。そんな奴が人として幸せを得る権利はねぇ。そう思ったから殺しただけだ」


ヒュウガの表情が暗くなっているのが伺えた。

恐らく最後まで悩んだんだろう。殺すか殺さないか。その上で殺すことを選んだ。

多分、苦渋の選択だったんだろう。だからヒュウガは殺した後に姉の事を話したのだろう。少しの自分と死徒に対する慰めの意を込めて...


「じゃあ逆に聞くが、姉死徒は人と死徒が共存する世界を望んだ。お前らはそれが実現出来ると思うか?」


ヒュウガが足を止め振り返ると唐突にそんな質問をした。


「俺は...」

「無理です」


俺よりも先に隣にいたミアが答えた。


「人がどんなに死徒を攻撃しないよう努力しても死徒は平然と人を傷つける。大切な人を簡単に殺す。そんな奴らと共存なんて出来ません」


いつもの言葉数の少ない口調はどこへ行ったのか、ミアはヒュウガの事を仇を見るかのように睨んでキッパリと答えた。

対してヒュウガは何も言わず俺に視線を向けて、「お前は?」と聞いた。

俺は少し悩み俯いたまま一言「わからない」とだけ答えた。

顔を上げるとヒュウガは驚いた表情をしていた。

何か変なことでも言っただろうか?

俺の言葉に疑問を持った様子のミアが不安と()()込めたような表情で言った。


「カエデから聞いた。アルトは幼い頃に死徒に母親を殺されたって...アルトはお母さんを殺されて、死徒が憎くないの?なんでそこでわからないって言うの?」


妙に感情的なミアに戸惑いながらも俺は思った事だけを答える。


「確かに母さんを殺された死徒を憎く思う。でも、それだけで全て括って(くくって)良いとは思えない。人にも良い人悪い人がいる。なら死徒だって、死徒が元は人間だと言うなら、優しい...良い死徒がいたっていいはず...だから、わからない」


仮に良い死徒がいて俺はその死徒とどう接するか、共存しようと思えるか自信が持てない。

納得いったのか...いや、見た感じ納得のいってないミアは少し冷めた口調で、


「そう...アルトがそう思えるなら...そう思えても共感は出来ない...」


とだけ言って前を向き直した。

ヒュウガは俺とミアの答えを聞いても何も言わず同じように向き直り歩き出した。


------------------------


重い雰囲気のまま俺達は目的地、クロヌスまで何事もなく到着。森の死徒の殲滅と経路の確保を終えた事で今回の遠征は終了を迎えた。

翌日、引率の教師と何人かを残して俺達は来た馬車で学園へ帰還。夕方頃着いた俺達は疲れからか、食事も取らず部屋に戻りベッドにダイブした。


(後から聞いた話だがこの時ベッドにダイブしたのは俺だけで、他の皆はちゃんと飯を食って全部済ませてから寝たらしい。他の皆より先に寝た事は悪く思うが初の遠征だったので許して欲しい)


今回、五日間の遠征で学園側は死徒を約三十体と異死徒拾伍段の拾段、拾弐段、拾参段の討伐。ウヌスからクロヌスへの経路の確保を成した。同時に犠牲となった生徒は二百名以上。

割に合わない数字と戦果と共に俺の初の遠征は幕を閉じた。

地味に課題を残したまま明日(今日)の学校を迎える事にしたリヴァイ論です。

僕、朝起きるのは遅いです。いつもギリギリに起きます。つまり、朝課題をやる事は出来ないということ。


さて今回、ようやく遠征編が終わりました。次回からは日常回を挟みつつ...ですね!

色々話したいけど、敢えて話さなーい!話さない分楽しみにしておいて下さい。というか書く側の自分がかなり楽しみという。

これ以上話すことも無いのでここで終わります。


最後までご愛読ありがとうございます。次回も是非見て下さい。

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