44話 拾と動揺
43話のタイトルを入れ忘れ急いで入れてきたリヴァイ論です。
あぶなかった...
翌日からの遠征は少し変わった命令を下された。
それは、
「待機?最前線の俺らが?」
「うん...」
「どうして?普通最前線待機させるか?」
「ヒュウガさんは昨晩から妙な事が起きてるみたい...」
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この話が上がったのは俺が昨日約束した対人戦の戦い方を教わるためにミアの元へ行った時だった。
「妙な事って?死徒絡みか?」
「多分...なんでも同じチームの人がぎこちない動きで味方を襲う事があるらしくて...」
「その原因がわかるまでは俺らは待機と...普通逆だろ。なんで待機なんだよ」
俺が愚痴らしく吐くとミアは忙しそうに準備する仲間達に目を向け呟いた。
「わからない...ヒュウガさんも今は指示に従っとって...」
ミアのその台詞は昨日と同じく悲しげなものだった。
恐らくミアの過去にそう思えてしまう事があったのだろう。だがそれを俺から聞く事はしない。多分それはミアを悲しませるものだから...本人が話せるようになるまでは待つと俺は決めていた。
俺は微妙に鬱になった気分を晴らすかのように立ち上がる。
「待機なら待機でミアとの特訓の時間が増えるから良いだろ。俺もまだまだ強くならねぇといけねぇし。ヒュウガにいつまでも雑魚呼ばわりは気に食わねぇし」
そう言って俺は座り込むミアに手を差し伸べる。
「そうだね...折角の時間だから大事に使おう...」
ミアは俺の手を遠慮がちに掴み立ち上がった。
翌日、どこから見ていたかは知らないが俺とミアのやり取りをアキハとハヤテに冷やかされた。
本当にどこから見てたんだよ...
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遠征開始から四日が経った。
今日は朝からヒュウガに集合をかけられ、ようやく待機命令が解けた事を聞いた。
ただ今回は最前線に戻ると同時にチームではなくパートナーと行動しろとの事。
どうやらこの指示は教師達からのものではなくヒュウガ独断らしい。
俺とミアや他のチームの仲間もその指示の意図がわからないまま遠征は開始した。
遠征が始まってすぐの事だった。
俺とミアは最速で今進める最前の所までやってくると話に聞いていた妙な光景に出くわした。
「噂通りぎこちない動きでこっちに向かってきてるな」
「動きは遅いけどね...」
(さて、どうしたものか。相手が仲間である以上刀を抜くわけにもいかないし...うーん)
俺が仲間達の攻撃を避けながら対処に悩んでいるとミアがひとつ指示を出した。
「アルト、特訓の...」
確かに。こういう時こそではあるな。
特訓の期間が短かったためあまり自信はないが、このままでは埒が明かないので俺は一番近くにいた直剣を持った男を目掛けて動いた。
まず、相手の攻撃を最小限の動きで受け流し、転ばせるようにして足を取る。そして武器を持った相手の腕を背中に回すようにして固め倒す。
ミアに教わった技のひとつだが、思ったように体が動いたため見事に相手の一人を抑え込むことが出来た。
抑え込んだ男をよく見るとあることに気がついた。
「こいつ...気を失ってる...えっ?てことは今まで意識ないまま動いてたの?」
意外な事実に驚きを隠せずにいると、抑えた仲間の首筋から白い糸のようなものが見えた。
俺はその糸を切ると瞬間、男は電源が切れたかのように動きを止めた。
「まさか...」
「アルト!後ろ!」
声を聞き咄嗟に振り向くと、すぐそこにナイフを振り下ろさんとする女がいた。
「ちっ!」
俺は女のナイフを避け、急いでその場から距離をとる。
一人に気を取られ俺は相手が何人もいることを忘れていた。ミアが声を掛けていなかったら多分やられていただろう。
ただ同時に気を取られていただけの成果は得た。
「ミア!こいつら全員首筋に糸がついてるはずだ!こいつらは操られてるだけで、それで切れば動きは止まる!」
俺の話を聞くとミアは器用な身のこなしで、一瞬のうちに二十人以上の仲間の糸を切った。
流石と言うべきかあまりの凄さに唖然しつつも、俺は張り合うかのように刀を抜き、確かに視認できる糸を切り続けた。
全員の糸を切り終えると最初に倒した男が目を覚ました。
「目覚めましたか操られてたお兄さん?それじゃ話を聞こうか」
男はすぐに状況を理解出来たらしく、何があったかを全て話してくれた。
と言ってもその人が話してくれたのは知らないうちに意識が無くなりいつの間にかこうしていたとだけ。ただ気を失う前に白髪の女の死徒を見たと。
恐らくそいつがこの奇妙な事件の犯人だろう。
その人には他の人達を連れて帰ってもらい、俺とミアだけで先を進むことにした。
道中ヒュウガと合流し、全てを話した。
「糸を使って人を操る白髪の女の死徒か...それってあいつの事じゃねぇか?」
ヒュウガが話を聞き終えると森の奥を指差す。
目を凝らし見てみると、先程同様ぎこちなく動く意識のない仲間とその奥に佇む白髪の女の死徒。
ここまで来ればほぼ間違いないだろう。男の言っていたのはあの死徒だ。
さらに目を凝らしてみると死徒の手の甲にある文字が見えた。
「異死徒拾伍段...第拾段...」
今遠征三体目の異死徒拾伍段だった。
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「また新しい私のお人形さんが愚かにもやってきたのね。お馬鹿なこと」
死徒はこちらと目が合うと行進をやめそう呟いた。
全身に緊張が走る。
仲間を操っていた死徒がすぐに見つかった事とその相手が異死徒拾伍段だと言うこと。しかも拾段。今までの敵で一番強いという事だ。
その事実だけで俺は足が竦みそうになる。
「あら?あなた...そう、彼が言っていたのは、あなたの事だったのね絶殺さん?」
死徒はミアの顔を見るなり死徒が知るはずもないその二つ名を口にした。
「...」
俺一人動揺していると、隣に立つミアがいつもと変わらない落ち着いた様子で死徒に銃口を向けている。
「あら怖い怖い。流石仲間殺しの絶殺と言うべきかしら?」
なんのつもりか死徒がミアを煽る。
仲間殺し。死徒の呟いたその単語が気になりミアの方を見てみると、ミアは怒りを露わにしていた。
「黙れ...」
静かに放たれたその台詞には明らかな殺意を含まれていた。
動揺しないと思っていたミアがここまで動揺しているとは...やはり過去に何かあったのだろう。
ただ、今はそんな事よりも目の前の敵をどうにかしなければいけない。
俺は少し遅れて刀を抜き、ミアを庇うように前に立つ。
「あら?そちらの騎士は新しいパートナー?そんな光景彼に見せたら...彼悲しむわね...」
この死徒はパートナーの制度も知っている?
ここまで死徒がこちらの事を知っているのは不自然だ。
俺はの頭の中に考えたくない事が浮かんだ。
動揺も含み俺の反応が少し遅れた。
死徒に操られた仲間達にいつの間にか詰められていた。
ミアを庇ったせいで後ろに下がれない。咄嗟に刀を構えても間に合わない。
仲間の一人のナイフが俺に刺さりそうになった瞬間、冷たい空気が流れたと同時にそのナイフは俺の目の前で止まった。
「なんだか色々知ってるみたいだな...」
凍りつくような冷めた声。今だけならミア以上の殺気を放つその男は不敵な笑みで死徒に言う。
「だがな煽るなら、煽る相手より強くなってから煽れ馬鹿が」
俺と同じく刀を持ったそいつは、こちらに近づくと同時に足元から氷を作り出し操られていた仲間の動きを止める。
「それと、煽る前に遺言でも残しとけ。今日がお前の命日だからな!」
そいつ-ヒュウガは刀を構え言い放った。
年末でお金のないリヴァイ論です。
先日のカラオケとその後の買い物でほとんどお金がないです。お年玉に期待。
さて今回、ヒュウガ戦うと言いましたがそんな戦いませんでしたね。ごめんなさい!ですが安心してください!次回は絶対戦います!
因みに俺、ヒュウガ推しです。普通にカッコイイのし、口悪いけど仲間思いなのが何より...だから戦うってだけでモチベ爆上がりです。次回はいつも以上に気合い入れて書きます!お楽しみに!
最後までご愛読ありがとうごさいます。次回も是非見て下さい。




