41話 武器の無い異能力者
ブログとかホームページとか作ろうかと思ったこの頃。
そんなことしてる暇あるなら執筆しろよと自分に言い聞かせ手を動かします。
「また、怪我したのか君は」
遠征一日目が終わり拠点に戻って手当てをしてもらっていたが、ユスケは俺を見るなりものすごく嫌そうな顔をして言った。
「いや、まあ、そのすみません...」
彼の異能力の事情を知って以降出来るだけ怪我をしないようにと心掛けて来たが、異死徒拾伍段相手となるとそうも行かない。ハヤテが報告に行った時ユスケもいたから把握しているとは思うが...そこまで優しくはないか。
「別に怪我をしてもいいよ。ただ僕が言いたいのは誰が相手でも怪我をせずに帰って来れるくらい強くなって欲しいってこと」
表情はとても嫌悪感に溢れていたがそれでも、その声はどこか優しさがあった。
「ありがと」
傷を癒すユスケに身を任せながら俺は短く呟いた。
「そう言えば、リヨウとリュウト見なかった?まだ帰って来ないんだけど」
ユスケ思い出したかのように唐突に聞いてきた。
「見てないが...道に迷ったとか?」
リュウト達と同じ班のダイチは見たが二人は見てない。
「それならいいけど...後でハヤテと一緒に探しに行って来て」
「了解」
傷を治してもらった恩もあり俺は快く頷いた。
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同時刻。
「帰りの連絡が来たと思えば...これは帰れそうにないね」
僕がそう呟いたのは目の前に佇んだまま動かない異様な姿をした死徒と目があったからだ。
こちらを見つめるその視線に少し恐怖を感じたのは黙って置きたい。
「素直にダイチについて行くべきだったかなぁ...まあ過ぎたことを言ってもしょうがないか」
僕は適当な言葉を並べながら深く相手を観察する。これは戦いにおいての基本だ。ましてや相手は死徒。何をしてくるかわからない以上、外見でわかる限りのことを頭に叩き込む。
(と言っても...これは本当に死徒なの?明らかに元人じゃないよね...)
死徒とは、人が死徒によって特殊な殺され方をした時、人生に後悔し死に切れなかった者がなる死に損ないだ。
しかし、今僕の目の前にいる死徒はありえないくらい筋肉質な体。刃物と見間違える程長く鋭い爪。腰のあたりから伸びる蛇の顔をした尻尾のようなもの。ライオンのように金色の鬣を生やしていた。
ここまで異様な姿だというのに死徒なのだなと思わされるのは、その死徒が二本の足で立っているからだ。
正直に言えば逃げ出したいのだが、ここで逃げ出せば他の誰かが犠牲になるかもしれない。
僕はマントの陰に隠しておいた武器に触れる。するとその瞬間、死徒が口を開いた。
「我が名はメラキル。貴様が今日の相手だな」
「あっ喋れたんですね。てっきりその見た目だから喋れないと思ってました」
あとどうでもいいけど凄い名前。
「人を...いや、死徒を見た目で判断するのはやめて貰おう」
メラキルは僕の軽口が間に触ったのか眉間にシワを寄せ鋭くこちらを睨む。
うん。怖い。
「ここにいれば私の相手が待っていると聞いたのだが、貴様がその相手のようだな」
「本当は戦いたくないけど戦わないと誰かが代わりにってなるだろうし、見逃してもらえる雰囲気でもなさそうだしそうなるね」
「その通りだ。長く待ったのだ。楽しませよ」
そこまで言うとメラキルは直立の態勢から脚を開き、拳を構える。
そして、殴りかかって...来なかった。殴りかかる代わりに死徒は口を大きく開き、
「うおおおおおおぉ!」
吠えた。
こんな夜中にうるさいと思った時は既に遅く、いつの間にか自分の体が痙攣して動かなくなっていた。
(ッ!これは...超音波!?)
辛うじて動く脳を使い何をされたかを考える。
しかし、メラキルに優しさはなく僕が考えてる頃には既に目の前まで距離を詰めていた。
「終わりだ。今日の相手よ」
体は痺れ避けられず、攻撃を喰らって耐えれるはずもない。
そんな絶望的な状況の中僕は短く呟いた。
「残念だったね...」
メラキルの拳が僕の体に触れる寸前、死徒の腕は吹き飛ばされた。
「ッ!!」
メラキルは腕尾を押え痛みに悶えながら距離を取る。
離れて行くメラキルと僕の間にマント姿の一人が現れる。
痙攣の溶けた僕は彼に言葉を掛ける。
「遅かったね。リュウト」
「悪い。道に迷ってた」
無愛想な彼は申し訳なさそうに答えた。
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メラキルの拳が目の前まで来てほんの少し、ほんの少しだけ死ぬのかもと思った自分がいた。
けれど、そんな考えを一瞬で吹き飛ばすような存在を僕は知っていて線の端で捉えてられていた。
「危うく死んじゃうところだったよ」
「ほんと...悪い」
喋ることが苦手なのかと思わせる程言葉数の少ない彼はこちらに視線を向けないまま謝罪の意だけを示した。
「まぁいいよ。リュウトが来ることはわかってたし、結果的助かったし」
リュウトを軽く慰めて死徒に向き直る。
メラキルの方は既に腕を再生し終えたらしく、攻撃の邪魔をしたリュウトを酷く睨んでいた。
「貴様、公平な勝負に水を刺すとはどういうつもりだ!」
公平な勝負で初手超音波ってどうなの?喉まで出かけた台詞を飲み込む。多分言うとまためんどくさいことなるから言わないでおこう。
対してリュウトは問われたことに対して無反応。興味が無いのだろう。
リュウトとという男は自分より強い相手にしか興味のないやつだ。恐らく最初の一撃でこの死徒は自分より弱いと思ったのだろう。だから、死徒を前にしても表情一つ変えないのだ。
その文字を見るまでは。
夜風が吹き偶然、メラキルの鬣が揺れ額が見えた、拾弐と書かれた文字と同時に見えた。
これには僕もリュウトも息を飲む。
普通の死徒ならと余裕だと思っていた自分の背筋に緊張が走る。
マントに隠しておいた銃剣を握り構える。
こちらの動きに応えるように死徒も再び拳を構る。ただ今回は構えただけでこちらの様子を伺っている。飛び込んでこないのは恐らくリュウトがいるからだろう。
となると、あの超音波は対象が一人の時にしか使えないのかな?
拾弐段の異能力を考える僕の隣でリュウトが小刻みに震えていた。
どうしたのかと思ったけど、表情が笑っているのを見て察した。恐らくリュウトの次の台詞は、
「異死徒拾伍段。しかも拾弐段。いいなぁ!相手として十分だ!」
ですよねー。うん、わかってた。そう言うと思ったよ。だってリュウトだもん。
先程小刻みに震えていたのは恐怖によるものではなく、単なる武者震い。
この戦闘狂たるリュウトはメラキルが異死徒拾伍段だと知って武者震いをしていただけだ。
となれば次の行動は、
僕が考えるよりも先にリュウトは飛び出した。あっという間にメラキルとの距離を詰める。
そして左手で殴るが、
「残念だな。貴様の貧弱な力は我には効かない」
その拳は平然と受け止められていた。
リュウトの拳を受け止めるほどだからさっきの攻撃喰らってたら即死だったんだろうな。とそんなことを考えながら僕は二人の戦いに...正確には力の余波に巻き込まれないように距離を取る。
「貴様の登場は無意味であったが、貴様の我に立ち向かう勇気は認めよう。貴様は...」
「ゴチャゴチャうるせぇな」
「何?」
リュウトの雰囲気が変わる。
普段は大人しくあまり喋ることも無いリュウトだが、戦闘の時はまるで豹変したかのように性格が変わる。今のように。
「俺の力が貧弱だァ?舐めんなよ。それは悪魔で左だからだろ?右ならどうだ?俺の右手は耐えられんのかァ!」
言い終えるとリュウトは右腕を引き構える。そして、異能力を使う。
リュウトの右手の拳に粒子が集まるように青白く光る。同時に、その異様な力に遅れて気づいたかのように森はざわめき大地が揺れる。
リュウトの元に凝縮されていく力がまるで世界そのものを脅かしているようだ。
「貴様...その力は一体...ッ!」
メラキルもようやく自分が殺されそうになってる事に気がついたのかリュウトの元から離れようとする。しかし、先程の受け止めた左手から逆に掴まれ逃げられない。
ある程度力が溜まったのか、リュウトは筋肉のバネを使い右腕を勢いよく伸ばす。
「ちょっ、まっ...!!」
メラキルの静止を聞くことなくリュウトの拳は放たれた。
激しい怒号、力の余波そして風圧。吹き飛ばされそうになりながらもなんとかその場で留まり、リュウトの方を見る。
「相変わらず...加減を知らないね」
リュウトの拳より先に死徒の姿はなく、それどころか背景とかしてた森一帯も跡形もなく消えていた。
地形を変えかねない力を使ったというのに汗ひとつ流さず、体に負担もない。
底の知れない戦闘力と素手で戦うスタイルから、彼は東洋異能力学園で唯一、武器を持たないディフェレンターとされている。
これでAランクなのが本当によくわかならない。
ただ、何より恐ろしいのは...
「なぁリヨウ...」
リュウトが物足りなそうな表情でこちらを見つめる。そして呟く。
「俺、まだ戦い足りない」
彼が何より恐ろしいのは、一度の戦いに満足出来ないからなのだ。
ゲームに新ストーリーが追加されそちらに手をつけたいリヴァイ論です。
新しいゲームもリリースされたし、最近何かとやりたいことが多い。いや、いつも通りでした。
さて、今回はリュウトとリヨウの初戦闘回でしたが…ただのリュウトの無双でしたね。なんならリヨウ異能力使わずに終わりましたし。まぁこういうストーリーですし、次回はちゃんと出ます。
というかリュウト、少し強すぎませんかね。異死徒拾伍段の拾弐段を相手にまさかの一撃で倒すという…リヨウも言ってましたが、これでAランクなのが恐ろしい…!
あと話変わるんですけど、自分って最初の二、三話三人称で書いてたり、漢数字じゃなかったりと色々変なところありますね。今見直すと恥ずかしいです。でもここは敢えて直さずこのまま思い出として残しておきます。逆に直ってたら「あっ、こいつ耐えきれなくなったな」とでも思って下さい。
最後までご愛読ありがとうございました。次回も是非見て下さい。




