38話 仲間の異能
最近Simejiにハマりだしたこの頃。
キーボードを着せ替えできるのはいいんだけど、文字が白いから見えにくいんだよ。
「カエデ!アキハ!そっちに行った死徒を頼む!」
「わかりましたー」「了解」
リーダーの指示を聞き二人は逃げた死徒を追う。
足場の悪さと死徒の身体能力の高さで距離がどんどん空いていく。
別段ここで死徒を逃がしたところで他の誰かが倒してくれるかもしれない。が、逆に考えれば他の被害が出る可能性もある。
カエデはアキハに視線をやり「頼む」と言う。
その一言でアキハはカエデの意図を捉え二丁の銃を取り出し構える。
「水の技境地...水弾・しゃぼん!」
アキハの銃には弾が入っていない。異能力をそのまま弾にするからだ。
自らの発想力と力の掛け具合で殺傷力や能力の変わる銃弾。その弾は死徒の足に触れた瞬間、球体へと形を変え死徒の足を掬った。
「なんだこれは!」
木を飛び越え移動していた死徒は足が水の球体に覆われた事で木を踏めなくなり、地面へと落下していく。
「くそっ!痛ってぇなぁ!このガキ共が!」
死徒は痛みに愚痴を吐きつつ起き上がる。そして、拳を握り二人に向かって来た。恐らく相手が子供だからとでも思ったのだろう。死徒は銃を持っていたアキハに殴りかかった。
死徒の身体能力は人間とは比べ物ならない圧倒的なものだ。
普通に一発殴られれば良くて骨折、悪くて致命傷。下手すれば死ぬ事もあるだろう。しかし、
「軽いな。軽すぎる...」
カエデはその拳を片腕で止めた。
死徒の拳を受け止めた腕は傷一つ付いていない。それどころか、カエデの腕に触れた死徒の拳がみるみるうちに焼け焦げていく。
「蒼炎の技境地...炎斬...」
カエデは手に持っていた巨大剣に蒼炎を纏わせ一振。
死徒の頸は斬れると同時に燃え、一瞬にして灰となった。
「さて、戻るか」
「そうですね」
死徒を仕留めた二人はゆっくりとその場を立ち去った。
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「糞っ!なんなんだあのガキは!ありえねぇ!」
周囲に数え切れないほどの死徒の死体が灰のように消えていくいる。これらの死徒は全て同じ人間に殺された。それは誰か...
「エルモアの奴、死徒を殺してくれるのはいいんだけどその都度先行されるのもなぁ...カザミ頼めるか?」
「言われなくても連れて戻してきますよ。パートナーですし」
カザミは単独で先行し道中の死徒を殺して回るエルモアを追った。風に乗って。
カザミの異能力は風、風を自由に操る能力。その力は自らに風を浴びせる事で飛行に繋がる能力。
飛び出して数秒、少年の姿を見つけた。
「エルモア!」
すぐさまカザミは声を掛ける。エルモアもその声に気が付き、連れ戻しに来たなと理解する。
「よっ、カザミ」
「よっじゃないわよ。全く、こんな遠くまで来て…みんなからあまり離れるなって言われてるじゃない!」
カザミは呆れながらエルモアを叱る。
エルモアは悪びれた様子もなく笑いながら答える。
「俺は連帯行動が苦手なもんでな。それに、俺が独りなったところでカザミが必ず迎えに来るだろ?そこは信頼してる」
悪意のない素直なエルモアの発言にカザミは顔を赤くする。
「ま、毎回毎回そうやって!もう!帰るよ!」
「はいはい。けど、その前に...」
「そうだね。そこに居るのを倒してからだね」
二人は真剣な表情で真っ暗な森の中を見つめる。すると、森の中をから何かが飛んできた。
エルモアは手に持つ小太刀でそれを叩き落とす。
飛んできたそれはナイフのように尖った爪だった。
「なるほど。爪を尖らせて飛ばす能力か」
エルモアが解析すると同時に先程と同じ尖った爪が四方八方から飛んできた。逃げ道はなく、その光景を見れば誰もが死を連想させただろう。
しかし、爪が二人の体を貫くことは無かった。二人の体に触れることはなかった。爪は二人に触れる手前で浮いたまま止まった。
「風の技境地...風壁」
カザミは呟いた。爪はカザミ作り出した風の壁によって動きを止められたのだ。
その光景を物陰から見ていた死徒はすぐにその場を去ろうとする。
しかし体は動かず、視界が逆転する。
「遅せぇよ。三下...」
死徒は気づく。いつの間にか自分の頸が斬られていた事に。
「雷の技境地...雷刀」
目に映らぬその速さ、まさに神速。雷を纏いしエルモアの小太刀は音もなく死徒の頸を斬り落とした。
「お疲れ様。エルモア」
「おう。そっちもありがとな」
死徒を倒した二人は風に乗って、少し離れすぎたグループの元へ帰った。
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遠征が始まって十分程が経っただろうか。
俺達は第一班のヒュウガのチームはただひたすらに森の中を突き進んでいた。
「なぁヒュウガ、俺らどこまで進むんだ?もう拠点見えないぞ」
「今回の遠征の目的はクロヌスまでの道を確保する事だ。なら、何処まで行くかなんて普通にわかるだろ雑魚」
「一々一々雑魚って言うな。お前に雑魚扱いされる筋合いはない」
「筋合いも何も雑魚は雑魚だから雑魚なんだよ。それ以上でもそれ以下でもねぇよ雑魚」
ヒュウガにとって自分より弱い奴は雑魚としてみているのだろう。俺はそう結論付け...性格には相手するのが面倒くさくなり、考えるのをやめた。
すると、話を聞いていたのか隣を歩くミアが俺に耳打ちをした。
「ヒュウガさんはアルトに期待してるから雑魚って言うの...だから、あまりヒュウガさんの言う事は気にしなくていいよ...」
期待してる。ミアに言われると嬉しい言葉だが、ヒュウガに期待されたところでと思う俺だった。
クロヌスまでの道のりは長く。歩き続けるだけの俺は若干飽き出していた頃だった、遠くから爆音らしきものが聞こえたのは。
「ミア!」
「うん。聞こえた。西の方角...アルト!何処に行くの!」
「音がした方角!もしかしたら死徒がいるかもしれない!俺が見てくる!」
「待ってアルト!私も...ッ!」
俺を制止しようとするミアの声が途中で途切れる。振り返ると、そこにはかなりの数の死徒がおりミア達を囲んでいた。
ミア達が必死に応戦している。俺は行くのを辞め援護をしようとした。しかし、
「雑魚!お前はそのまま西の方角に行け!」
「なっ!」
「ヒュウガさん!」
何を思ったか、ヒュウガは援護をせずに爆音のした方へ行けと指示した。当然、その事にミアが抗義を立てる。けれど、ヒュウガは表情一つ変えずに言う。
「この数の死徒相手に雑魚はお荷物だ。居るだけ邪魔だ。なら、何かあっただろう方へ行かせるのが普通だ」
何かあった。ヒュウガはそう言った。そして、その何かを確信付けるかのように言葉を付け足す。
「今のこの学園に、この遠征に来てる生徒の中に爆音を立てられる奴はいない」
それを聞いた俺は何も言わず走り出した。
遠征に来てる生徒の中に爆音を立てられる奴はいない。つまりそれは、爆音を立てたのは間違いなく死徒だということ。それだけで俺が走り出すには充分だった。
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爆音の発生源に辿り着いた俺は無残な仲間達の死体とその中央に立つ一体の死徒を見つけた。
こちらに気づいていない様子の死徒に俺は奇襲を仕掛ける。
地面を強く踏み、一歩で死徒との距離を詰め、懐に飛び込んだところで刀を抜く。
「影の技境地...影斬り!!」
「ふむ、死徒狩りと言えど所詮は子供。やはりこの程度...ぬっ!」
刃が頸に届く寸前で死徒はこちらに気づき、腕を犠牲にして俺の攻撃を避けた。
腕はすぐに再生し、こちらに向き直る。その時、死徒の胸に書いてある文字を見て俺の背筋に凍るような緊張感が走る。
「異死徒拾伍段...!」
胸に書かれた文字は拾参。三体目の異死徒拾伍段である。
「つくづく俺は悪運が強いようだ」
「その様子では貴様は他にも俺の同胞と出会っているようだな。もしや、ユサとカラキを倒したものか?」
「だとしたら?」
「それなりに強いのだろう?相手してもらおう!」
そう言って拾参段は何かを投げてきた。
石だ。拾参段はこちらに目掛けて投石をした。
驚異的な速さではあるが、目に負えないほどでは無い。避けることは出来る。
だが、俺は避けなかった。
「影陰乱舞水無月...陰層天守!!」
なんとなく嫌な予感のした俺は咄嗟に壁を作りだし防御した。
石は弾かれることなく、壁に触れた瞬間爆発した。
別に驚きはしない。事前に爆音が聞こえていた時点で敵の能力は爆発関係だってわかるし、周囲に転がってる死体は体の一部が消えている。そして、実際あの拾参段の投げた石は爆発した。
「なるほど。影を操るのか。これまた面白い」
「そういうお前は手に持ったもの爆弾に変える系か?俺の影を越えられない時点で脅威じゃないな」
「脅威ではないか。じゃあ、これではどうだ!」
今度は石を複数個投げてきた。明らかに先よりも速い。とは言え俺の防御手段はこれしかないので先程と同じように影の壁を作り出すが、
「あっ...ぶっな!!」
石は影の壁を貫通した。なんとか体を捩り回避した。しかし、この結果は俺にかなりの絶望を与えた。
俺の持つ防御手段ではあの攻撃を防げないと言う事。ミアが来るまで時間を稼ぐのもありかと思ったが無理そうだ。
俺は守りを捨て、攻撃をしようと距離を詰めるため地面を踏む。けれど俺はそれ以上前に出ず、逆に後ろへ飛んだ。そして次の瞬間、
俺が踏んだところが爆発した。
「地雷か...」
「その通りだ。察しがいいな。やはりお前は他の奴とは違う。強い奴だ」
拾参段は嬉しそうに笑みを浮かべる。強者と戦える喜びからだろう。愉快な野郎め。
今の俺の状況は防御は貫通され、攻めようにも地面には地雷とかなり不利な状況である。けれど、無理と言うわけではない。
俺は刀を強く握り走り出す。
「地雷があるのをわかってて飛び込むのか!無謀すぎるぞ!」
確かに拾参段の言う通りだ。だが、それは何一つ策がなければの話。
「影陰乱舞...卯月...」
相手の場所に最速で着く方法。単純に縮地でも問題は無いが、それはあくまで一直線の妨害がなければの話。妨害があった場合は…
(最低限必要な歩数で、無駄なく妨害を避け距離を詰める!)
「陰刹の舞...!!」
爆発することなく俺は地雷の中を抜け、拾参段の元へ辿り着いた。そのまま動きを止めず流れで頸を狙う。
「今の技、見事だ。だが、甘い!」
拾参段は俺がここまで来るのを予想していたのか、掌をこちらに向けていた。
掌からは焦げ臭い匂いと赤黒い何かが見える。
身の危険を感じた俺は咄嗟に頸に届きかけた刀を引き戻し、即席で陰層天守を作り出す。
そして次の瞬間、拾参段の掌は火炎放射の如く爆発した。
陰層天守によって直撃は避けたものの強烈な爆風に吹き飛ばされる。
「ぐはッ!」
吹き飛ばされた俺の体は後方にあった木に叩きつけられた。
気絶する程ではないがかなり痛い。それでも痛みを堪え、刀を杖代わりにして何とか立ち上がる。
「まだ立ち上がるか。それでこそ強者だな」
死徒は再び掌を向ける。
先よりも赤黒い何かは濃くなり、爆発する。
見てわかる明らかな破壊力。その火炎放射とも言える爆発は周りの木々を燃やしながらこちらに目掛けて一直線に飛んでくる。
俺は悟る。当たれば間違いなく死ぬ。そして、同時にこれは斬れないと。
何とかに避けようにも体が痛くて動かない。絶体絶命。完全に死んだ。そう思っていた。
「大丈夫かい?アルト」
俺の体は燃えて灰になることも無ければ、体の一部だけを消し飛ばされることも無かった。
ただ、俺の足は地面に着いていなかった。
何かが俺の体を掴み浮かせていた。
俺は俺を掴む何かを確認するため上を見上げるすると、そこにいたのは、
「鷲?」
「鷹だよ。それも君が知るような普通のサイズじゃないもっと大きなね」
「いや、俺を持ち上げてるんだからそうなんだろうけど...なんで、ここにいるんだ?」
「なんでって...それはもちろん、助けに来たに決まってるじゃないか!」
巨大な鷲の上からこちらを見下ろし、上にあがれと手を差し伸べるハヤテだった。
二日で仕上げましたリヴァイ論です。バイトの合間にやったのと、内容が決まってたので長くはなりましたが早く終わりました。
さて今回、タイトル通りの回でしたが…やっばっい!ですね。書いててすげぇ楽しかったです。自分の中では冒頭の入りといい、場面の展開といい、かなり満足に書けました。まだヒュウガやリヨウ達の異能力は判明していませんが、そちらもご期待下さい。
次回はハヤテとアルト対拾参段です。
ちなみに、拾参段の名前はカリクです。
最後までご愛読ありがとうございます。次回も是非見てください。




