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ディフェレンター  作者: 論です
1章 東洋編
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37話 遠征の直前

ディフェレンターに対するモチベが爆上がりのこの頃。

よくよく考えたらいつも通りだったわこの頃とか関係ねぇ。

遠征日当日。

俺はソワソワと落ち着きのない様子で馬車に揺らされていた。

それもそのはず、何故なら、


「ミア、頼むから起きてくれ...」


他の生徒の視線が集まる中、俺の肩に頭を預け安心したように眠るミアがいた。

普段の依頼なら俺とミアは向かい合うように座るのだが、今回の遠征は多くの生徒が行くため向かい合って座るほど余裕がなく、極力ペアの近くにいるべきとの事で隣に座っていたのだが...最近疲れ気味なのか出発から五分でこの有様だ。

起こそうにもかなり眠りが深いらしく少し揺らした程度では起きない。

さらには、可愛い寝息と香水か何かの鼻に透き通る良い匂いが俺の精神を乱す。

馬車は何台かありアキハやハヤテ達とは違う馬車なのが不幸中の幸いだ。

まあはっきり言って不幸と幸が釣り合ってないが、なんなら俺を見る生徒達の視線が怖すぎてアキハ達がいてくれた方がいいまである。視線は主に男子生徒。この遠征中に後ろから刺されないか心配でしょうがない。


「ミア...ほんと早く起きてくれぇ...」


俺の嘆きはミアの可愛らしい寝息に打ち消された。

結局到着したのは夕方で、それまで俺は生徒達の殺気篭った視線に晒させた。


------------------------


今回の遠征目的は、俺とミアが依頼でやってきた北の街ウヌスからその先にある北陸への繋ぎになるクロヌスと言われる街への経路の確保と死徒の駆除。

到着した俺らは街の外で拠点を建て、作戦開始時刻となる夜まで自由に過ごす事になった。と言っても俺らの最初にやる事は決まっていて、


「よう雑魚。お前が俺のチームの仲間と言われると心配になるが、絶殺がいるなら問題ないだろう。お荷物一つ絶殺一人でチャラだ」


相変わらずの口の悪さで俺を罵倒するのは(一応)チームのリーダーヒュウガだ。

俺は溜息を吐きながら隣にいるミアに耳打ちした。


「なぁ、なんでヒュウガが俺らのチームのリーダーなんだ?実力はミアの方が上なんだろ?」

「それは...」

「それはヒュウガ・サキリの方がリーダーシップがあるからです。アルト・シャドウ」


ミアの台詞を遮るようにして口を開いたのはヒュウガの隣で目を閉じたまま話す女性だった。身長は俺やミアよりも高く、髪の色は黒でそこそこ長い。確か名前は...


「アスエ・カルリです。この学園では副生徒長を務めています」


俺が聞くよりも早く名前を名乗ったアスエという女性。その表情は感情見せず未だ瞳を閉じたままだった。

チームの中で軽く顔を合わせをした後、俺とミアはハヤテ達に会いに一度その場から離れた。


------------------------


合流すると同時にアキハはミアに抱きついた。


「ミアと同じチームが良かったです...」

「アキハみっともないからやめなさい。ミアも困ってるでしょ」


カザミが泣きじゃくれるアキハを引っ張って引き剥がした。

すると、アキハは俺の方を睨み涙を拭きながら言った。


「うぅ...アルトはずるいです。パートナーというだけで同じグループなんて...死徒に後ろから刺されて死ね...」

「おい、何物騒なこと言ってんだ。小声でも聞こえてんぞ」

「聞こえるように言ったんですよ!バーカ!」


開き直って普通に罵倒してくるアキハに思わず溜息を吐いてしまう。

アキハと会話してると遠征前なのに気が抜ける。和んでいるのであればいいのだが...


「そういえば、アキハお前のパートナーって誰だ?」


俺は唐突に思い出しそのまま口に出して聞いた。

すると、アキハは間の抜けた顔をしてて答えた。


「あれ?言ってませんでしたっけ?私のパートナーはカエデですよ」

「やっぱカエデか」

「おや?随分と普通な反応ですね。てっきり、えぇ!カエデなの!?知らなかったぁ!みたいにすると思ったですが…つまらないですね」

「いや何となく察しついてたし。昨日あの場所にいたのはこのメンバーで、パートナー分かってないのがアキハとカエデだけだったからさ」


俺の理由を聞くと心底つまらなそうな顔をしてこちらを見つめる。


「ちなみに、俺とエルモア達は別のチームだからここは全員別れだな」


いつから話を聞いていたのか、カエデとエルモアが少し遅れて合流し会話に入ってきた。


「よっ、アルト。今回は初の遠征だな。と言ってもあんま深く考えず指示聞いていつも通りやればいいだけなんだけどさ」


相変わらずの気軽さでエルモアは話し出す。

俺はエルモアのアドバイス(?)を聞きとなり「いつも通りねぇ…」と呟いて隣にいるミアを見る。

俺の視線に気がついたのかミアはこちらを向いて不思議そうに首を傾げる。

俺は視線をカエデ達の方に戻しながら「なんでもないよ」と答えた。

いつも通りだとミアに迷惑かけるから少し気をつけないとな。

その後ハヤテも加わり三十分程談笑を楽しんだのち、教師の方から集合が掛かったので俺達はそこで解散した。

教師からの遠征の説明が終わると一部の生徒達が準備をすべく一気に動き出した。


------------------------


ヒュウガ曰く、学園最強のミアと、ミアに次ぐ実力者であるヒュウガがいる以上主に前線で死徒と戦うことになるだろうから、あまり余計な事はせず心の準備でもして置けとの事。

とっくに心の準備が終わってる俺は軽く荷物整理を済ませたあと、一人で適当に歩いていた。

すると、見た事のある顔に出会った…出会ってしまった。


「ダイチ・ダイガ......お前も来てたんだな」


決戦以来交流が一切なかった相手。正直に言うと一番出会いたくなかった相手。しかし、出会ってしまったものはしょうがなく、俺は渋々声を掛ける。


「...」


当然と言うべきか、なんなら視界にすら入ってないのでは?と思うほど無反応。このまま何も話さず立ち去るだろう。そう思っていた。


「まだ生きていたのか...」


迷惑!雰囲気的に大人しくなったと思えば雰囲気だけか!口は悪いままか!

叫びたしそうな台詞を喉までで留め、去っていくダイチの背中を睨んだ。

ダイチの姿が見えなくなり、俺も前を向き直るとそこに知らない二人の男の顔があった。

一人はガタイのいい茶髪の男。もう一人は逆に細い体格の黒髪の男。


「誰だお前ら?」

「なんともつまらない反応だね。もっとうわぁぁ!誰だお前ら!的な反応を求めてたんだけど…残念だなぁ」

「いや内心はすげぇ驚いてるけど、疑問の方がデカすぎて落ち着いてるわ」

「あーね。それじゃあしょうがないね。普通に名乗ろうか」


茶髪の男が言う。


「僕はリヨウ・リズル。Bランクだよ。そして、こっちがリュウト・ディーゼル。Aランク。君がアルト・シャドウだよね?ダイチを倒した」


何故それを?と聞こうとしたが良く考えれば全体公開の決戦だったので知らない方が珍しいか。


「それで?ダイチを倒した俺になんの用で?」


俺は首を傾げ聞いた。


「いやぁね、僕らダイチと同じ班なんだよね」

「はぁ、それで?」

「いやね、彼、少し前まで自分勝手に行動ばかりしてたんだ。けど、君に負けてからかなり大人しくなってね。お礼を言おうと思ってたんだよ。ありがとう」

「別に俺は自分のためにやったんだ。礼なんて要らねぇよ」

「捻くれてるね」

「ほっとけ...で?話はそれだけか?」


別に急ぎでもないが話がないならとっとチームのところに戻りたかった。

ダイチの残した言葉が微かにも、俺に緊張感を与えたからだ。

だから少しでも落ち着く場所へ行きたかった。

リヨウは俺を見て「そうだね...」と呟き、


「話は以上だよ。それじゃ、お互いに上手く生き残ろう。次君と話す時は学園でゆっくりしてる時がいいからね」


リヨウは笑顔でそういい踵を返した。

二人が見えなくなったところで俺も回れ右をし、ミアのいるチームへ帰った。


(そういえば、リヨウはずっと喋ってたけどリュウトの方は喋ってなかったな...人見知りか?)


それから三十分程が経ち、ようやく作戦開始時刻となった。

作戦開始の合図は特になく、ヒュウガの「行くぞ。お前ら」の台詞で俺達は動き出した。

俺の隣を走るミアが首元の星の形のペンダントを見つめながら、小さく、けれど良く聞こえる透き通った声で言った。


「死なないでね...」


その一言に俺は、自分の首からぶら下げた星のペンダントに触れながら答える。


「もちろん。俺は死なない。絶対に...」


壊れないようくらいの力で星のペンダントを強く握り、絶対に死なないと誓った。

ようやく遠征まで来れて少し感動してるリヴァイ論です。ここまで本当に長かったけど、この先も長くなると考えると...まあ、いいか。


さて今回は、遠征の作戦開始前の話ですね。と言っても正直この話入れるのは遠征回が初めてだからで、二回目の遠征以降はこの回は入れない予定です。入れてもグダるだけだと思いますし。

次回はアルト君以外の主要キャラたちが戦います。カエデとかエルモアとかですね。結構多くのキャラの異能力が判明する回なのでご期待ください。

ちなみに遠征は最低でも五話は書く予定です。


最後までご愛読ありがとうございます。次回も是非見てください。

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